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第百三十三話

「はぁはぁ畜生。教国の糞野郎どもめ」

「己の野心だけで戦争を起こす貴様らより帝国の方が数段ましだ」

私は彼らの言葉に意味もなく頷く。


頭の中に、良かったあ、の言葉が溢れてくる。

死人が甦ったのかと思ったよ。

さっき私が否定したばっかりなのに。


「女一人なら俺達だって殺せるぞ」

「逃げる前に楽しませてもらっても良いかもな」

そう息を荒らげる兵士達。


ある意味おばけの方が良かったかも。

こう対峙すると人間の方が遥かに嫌だな。

彼らが距離を詰めてくる。


どうする?

掌を前にだして紫の光を放つ。

彼らが驚いた表情をした。


よしよし。びびれ。びびれ。

「知ってるだろ。私は魔法使いだ。逃げ出すなら今のうちだ」

言ってて私ってどうしてこう脅し文句が格好悪いんだろと泣けてくる。


彼らが足を踏み出す。

なに? 来るのか?

「おうっ。最後くらい華咲かせてやろうじゃねえか!」

「俺も女を抱いてから死にてえよ」


思わず舌打ちをしてしまった。

最後の最後で変な根性や下心出しやがって。

人間限界まで死に追いつめられるとこんな風になるのか?

しかし笑い事じゃない程まずい。


脅し意外に手がないんだ


本気で魔法を使えば城が壊れてしまう。

どうしたら良い。考えろ。考えろ。

彼らが距離を詰めてくる。


「ひっ」

石の壁に背がついてしまった。それにひって言っちゃった。

彼らもその言葉に自信が満ちた表情になる。


こいつは弱い。そう見抜かれたんだ。

指がゆっくりと伸びてくるのが見える。


頭を全力で回転させる。今を打破する方法を考えるんだ。


アマリアさん。

リリィさん。

ルシエさん。


駄目だ。

系統が違うから全然参考になんないよ。

死ぬよりひどい目に合うのか……。


『これ程の炎を出せる魔法使いは少ない』


その言葉がはっと思いついた。


教室で見た炎が眼に浮かぶ。

あの時見た炎。感じた炎。先生の炎。

再現できるか私に。


蓄積した魔力を少しずつ放出するイメージだ。

あんなに大きな爆炎を出せるんだ。

出来るはずだ。


そう思った瞬間辺りが赤く輝いた。

兵士達が大きな口を開きたじろぐ。後ずさりすらしている。

その様子を見た後に自分の両の掌を眺める。


私の両手に揺らめく炎が宿っていた。

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