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第百二十八話

私は黒い髪を風で揺らして彼を眺める。

そういえばこうしてはっきりジャンと対立したのは初めてだな。

「私だってそんなに弱いわけじゃないんだよ」


弱いけど。

そう脅し文句を言って手首を慣らす。

「そんなに黒騎士になりたいんだ?」


彼は黙って私をみつめる。

「教会の言いなりになって。靴も舐める?」

「……任務中だぞ。くだらん感情論は止めろ」


私は彼を罵るのをやめない。

「妹を助けたいんだっけ? 無理無理」

私は笑う。


「死んだ人間が生き返るわけないじゃん」


言った後で森に静寂が広がる。風で葉が地面をかすめていく音しか聞こえない。


「……止めようよ。こんなこと。過去になにがあったか知らないけどさ。大切なのは未来でしょ? 私で良かったらさ」

頬をはたかれた。


唇が切れたのか血の味がする。

「ふーん。黒騎士らしくなってきたじゃん。迷いなく女を殴って」

私は袖で血を拭う。


「このっ」

そう口を開こうとしたら腹部に蹴りを入れられた。

「ぐぶ」


私は枯葉に転がる。

仰向けになってると下腹に足を立てられた。

「説得する時間は無い。内臓を潰されたくなかったら戦え」


足底の圧力が強まってくる。

「ううっ」

足を両手で掴んでどけようとするがびくともしない。


「お前のくだらん偽善者ごっこに俺を付き合せるな」

そう彼は冷たい声で言った。

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