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第百十九話

「私はお金も名誉も求めません」

彼女は凛とした態度で言う。

「自分らしくあれる場所があればそれで満足なんです」


すごい力強い言葉だ。

こりゃ説得は無理だな。

諦めて帰るしかないね。そうジャンを見る。


「……才能があるのに埋もれるのはもったいなくないですか?」

その言葉に彼女の身体が震えたのがわかった。

一瞬だけど私も見逃さなかった。


流石教会の人間だ。

嫌な連中だけどこういう心理戦は本当に上手だと思う。

きっと『わざわざ強い言葉で言った』って所に着目したんだ。


自信がないから。

ホントは気づかれたくないから。

人は大きな声をだしたり大袈裟な言葉を使う。


きっと彼もそれだけで其処が彼女の心の弱点と判断したわけじゃないんだ。

だからかまをかけた。

そうだろうと思った事を弱い言葉で確認していく。


彼女の弱点を予想してみた。


自分の功績を世間にもっと知って欲しい。

もっと賞賛されたい。

たくさんの人の眼に触れられたらもっと違う世界にいけるかもしれない。


あの美しさだ。自尊心だってあったんだろう。

誰にも見られず朽ちてく悔しさの気持ちだってあったに違いない。

彼は才能って便利な言葉でその弱さを引き出したんだ。


才能なんて抽象的な言葉は聞き手によって何にでもとれるもんね。


好きな人なのに。

そういう所がすごい嫌になる。

嘘を簡単につくの止めてよ。


私のこの気持ちまで嘘みたいに思えてくるから。

思わせぶりな言葉ばっかり言ってさ。

ほかの魔法使いでもそんなこと言ってたの?


そんなに上手いとさ。

本当は誰でも良かったって気がしてくるよ。

私が勘違いしてただけで。


舌に飴の甘さが残ってたけど気持ちは虚ろだった。

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