118/242
第百十五話
「頼みますよー働かせてくださいよー」
そうジャンが城の門を叩く。
「仕事が無くて困ってるんですよー」
私は横目でいつもの彼の饒舌な人格を眺める。
毎度毎度なんなんだこれ。
ひょっとしたら彼の憧れの性格なのかな。
普段真面目にしてるから演技の時くらいはめを外したいとか?
たまには発散させてあげたほうが良いのかなあ。
今度気晴らしに散歩でも連れてってあげよ。
それにしても。
そう雪が降る城を眺める。冬の城って絵になるな。
小さな城だけど中々しっかりした造りだ。
そんな風にしてると城の門が内側に開く。
そこからひょっこり頬のこけた男が顔を覗かせた。




