第百十一話
くろのまほうつかいはりょうりをします。
もうそれはうでによりをかけて。
しろのまほうつかいはよろこびます。
おにいさんとひさしぶりにあえたからです。
おにいさんはいいな。
かぞくがいて。
そうかい?
ぼくはおまえがうらやましいよ。
みんなにあいされて。
にくをじゅーじゅーやきます。
やくそくをまもってる?
まほうをみんなにおしえちゃだめだよ。
くろのまほうつかいがいいました。
なんで?
ぼくはみんなをしあわせにしたいよ。
しろのまほうつかいもいいました。
このふしぎなちからがみんなのものになったらね。
くろのまほうつかいがいいます。
だれもぼくたちをあいしてくれなくなるよ。
しろのまほうつかいはいいます。
それでもいいよ。
じぶんがあいされなくても。
だれかがしあわせになってくれれば。
くろのまほうつかいはあかいめになります。
こころのなかでいいました。
うそつき。うそつき。うそつき。
それでもめいいっぱいやさしいかおをします。
さあおたべ。
わあうれしいな。
しろのまほうつかいはよろこんでおにくをたべました。
おにいさんのりょうりがおいしいことをしっていたからです。
ところがどうしたことでしょう?
しろのまほうつかいがくるしそうなかおをします。
どくがはいっていたのです。
なんてかわいそうに。
しろのまほうつかいはしんでしまいました。
くろのまほうつかいはまたくちがみみにつくほどわらいました。
これでじぶんだけがあいしてもらえるぞ。
だってもうほかにまほうつかいはいないんだから。
そうよろこんではねてくろのまほうつかいはむらにむかいました。
まだじぶんにどんなうんめいがまっているかしらないのです。




