第百十話
あるところにふたりのまほうつかいのきょうだいがいました。
ひとりはくろの。
もうひとりはしろのまほつかい。
ふたりはとってもなかよし。
おにいさんはりょうりのめいじん。
やくのも、たべものをとっておくのも、とくいでした。
くろまほうというふしぎなちからがつかえたからです。
おとうとはとってもひとおもい。
ひとのけがをなおしたり、はなしをきくのはおまかせです。
しろまほうというふしぎなちからがつかえたからです。
ふたりはいつもなかよくくらしていました。
むらのみんなもきょうだいがだいすきでした。
まほうのちからをみんなのためにつかってくれたからです。
あるときくろのまほうつかいはおよめさんをもらいました。
こどももいっぱいできました。
くろのまほうつかいはとてもしあわせでした。
かぞくがすきですきでたまらなかったからです。
もっともっとしあわせにしたいな。
くろのまほうつかいはおもいました。
だからさいしょはかじやのイワンからおかねをもらいました。
どうしておかねをとるの?
ぼくがひをだしたんだからとうぜんさ。
つぎはさかなやのニーチからおかねをもらいました。
どうしたのきゅうに?
ぼくがこおりでひやしたんだからとうぜんさ。
そうやってみんなからおかねをあつめました。
くろのまほうつかいはあっというまにおかねもち。
こどももおくさんもしあわせにできてうれしいな。
くろのまほうつかいはしあわせでした。
すてきなきぶんでさんぽをしているとふとめにとまるものがありました。
しろのまほうつかいです。
おかねもとらずにひとのけがやびょうきをなおしていました。
むらのみんなはしろのまほうつかいがだいすきでした。
とてもやさしかったからです。
くろのまほうつかいはそれをみてくやしいきもちになりました。
あいつばっかりみんなにあいされてずるい。
くろのまほうつかいはいじわるなかおになりました。
しめしめいいことをかんがえたぞ。
くろのまほうつかいはくちがみみにつくぐらいわらいました。




