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そーゆうこと

「――つまり、男の娘とは少女特有の柔らかさと優しさ、少年特有の庇護欲をそそる可愛らしさと意思の強さを合わせ持つ奇跡の存在なのだ。分かっていただけただろうか、ご老人」


「うーん、さすがに男はな……いや、待てよ。男として育てられて性別を勘違いした美少女、ゆえに男でありながら美少女でもある、という場合ならありか、ありだな。――で、これでもう五回目くらいの質問だけど、あんたの名前は? 職業は剣士でいいんだよな?」


「パーティーを組む理由なのだが、実はとある迷宮ダンジョンに挑戦しようと考えていてな。無論、パーティー間の連携が十分に形になってからだが」


「……おい、じいさん。俺はいったいどうすればいいんだ?」


 問いに全く答えずに話を続ける魔法剣士に、さすがのガンナーも心が折れたようだった。


「これはあれか、ムシデレだな! まさか新ジャンルを開拓させてくれるとは、嬉しさでどうにかなっちまいそうだ!」


 いな。折れるどころか、さらに頑強がんきょうになっていたようだった。


「……ご老人。度々すまないが、少しよろしいだろうか」


 アスクがまだ見ぬパーティーへの思いを一時中断し、老店主に話しかけた。


「どうかしたかの?」


「ああ、隣の客の声が少々わずらわしい。悪いが、静かにするようにいってはもらえないだろうか」


「ほ? と、隣の客じゃと?」


 驚いたのは老店主。アスクの隣に座っている客とは、シリウス以外にはあり得ない。


「お前さん、シリウスが見えとるのか?」


「シリウスとは、先程から隣の席でしきりに私に話しかけてくるガンナーのことだろう? もちろん見えているぞ。視力に問題はないと伝えたはずだが」


「じ、じゃがワシがシリウスを仲間にどうじゃとすすめたとき、そんなガンナーは見当たらないというたではないか!」


「ご老人こそ何を言っているのだ。寄る年波で目が霞むのは仕方ないが、それでも括目かつもくしてほしい。いいか、ご老人。彼はな――」


 ビシリ、と隣のガンナーの顔を勢いよく指差す魔法剣士。


「確かに眼鏡をかけてはいるが、壊滅的に似合っていない!! 素材は悪くなさそうだが、眼鏡をかけることで素材の良さと眼鏡の良さを完全に相殺してしまっている! 分かっているとは思うが、眼鏡男子とは眼鏡が最高に似合う男子のことをいうのだ! 眼鏡をかけることで自分の魅力を引き出し、なおかつ眼鏡という本来ならば異物でしかないものをあたかも自分の身体の一部として自然に周囲に受け入れさせる、完成された存在を指す。ひるがえって見て、彼はどうだ!? 似合ってもいない眼鏡をかけている、結論として彼は眼鏡男子ではない!!」


 つまり、老店主と女剣士の認識の違いが問題のようだった。


 よって、ガンナーはちゃんと生きてた。


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