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二人目


「ハァ……とりあえずお前さんに必要そうな職業で、女性の冒険者を紹介するということでいいかの」


 ため息をつきながら提案する老店主。その姿からは、厄介な注文を受けてしまったことへの心労がありありと見て取れる。


「できれば、ツンデレのコを最低一人はよろしく」


「そこまで面倒見きれんわい。自分で確認してくれ」


「自分で確認……デレさせていくということか。うん、悪くないな」


 一人頷くシリウスの姿を見て、老店主の頭に浮かんだのは、

(人間とは知られざる一面があるんじゃな……)

という真理だった。彼とはそこそこ長い付き合いだったが、こんな一面は知らなかった。というより、知りたくなかった。


「では、お前さんのLvレベルに近い仲間を探しておくから、適当に座って待っておれ」


「分かった。あ、それとなんか食い物ない?」


「パンでよければ、ここにあるぞ」


 黒パンのつまったバスケットを手渡し、老店主は再びリストを手に取った。登録されている冒険者の情報が記載されたリストだが、当然、ツンデレなどといった情報は書かれているわけもない。


 幸せが大量に逃げていきそうな重いため息をつきながらリストをめくっていると、不意に手元に影が落ちた。老店主が顔を上げてみると、


「ご老人。作業中にすまないが、少しよろしいだろうか」


 いつの間にか、目の前には一人の冒険者が立っていた。凛とした雰囲気と鴉の濡れ羽を思わせる長髪が特徴的な女性の冒険者だ。剣をたずさえていることから、剣士に関係する職業であると推測できる。


「おお、かまわんぞ。お前さん、見た覚えのない顔じゃが――新顔かの」


「ああ、私は魔法剣士のアスク。先日、この町に越してきたのだが、ここは冒険者協会公認の酒場でよろしかったか?」


「うむ、その通りじゃ。それで、いったい何の用かのう?」


 マトモな冒険者の応対ができると知り、老店主の顔がほころんだ。


「仲間を探している。条件は、男の娘な魔法使いと眼鏡男子のガンナー。それにケモミミ錬金術師だ」


「…………………………」


「ああ、それと性別は別にどちらでも構わないぞ。私は可愛くさえあれば、男だろうと女だろうと等しく愛でることができるからな」


(……ふ、二人目……)


 ひきつった笑顔を貼りつけたまま、老店主はその場で途方とほうにくれてしまった。


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