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お兄ちゃんは超絶シスコン

幼馴染の彼にバイバイをして家に入ると、たけ兄はまだ少し不服そうな顔をしていた。

駒子が俺に冷たいと背中を丸めて、暗いオーラをまとってリビングに置いてあるソファーに不貞寝する。

そんなにひどいこと言ったつもりないんだけどなあ。

わたしは絶対に悪くないと思うのだけど、たけ兄の不機嫌に次男が巻き込まれたら大変である。

図体のでかい兄にうじうじいじけられたら、面倒で敵わない。

この歳でこれを言うのは恥ずかしいけど、仕方ない。


「ね、たけ兄。落ち込まないで?」

「…いいんだ、どうせ兄ちゃんはうざいんだ」

「心配してくれたんだって、わかってるよ。素直になれなくてごめんね、たけ兄大好きだよ」


こんな猫なで声に甘い台詞を、同級生に聞かれたら恥ずかしさで憤死しそうだ。

でも現在リビングには、妹に甘い長兄しかいない。

寒くて仕方ないが不機嫌な兄を相手にするくらいなら一時の恥くらい!

ちらり、たけ兄がわたしを窺う。

う、この目は、ワンモアプリーズを要求している。


「た、たけ兄大好き!」


半ばやけになって叫べば、たけ兄が二回も言うなよおとご機嫌になったものの、背後で不吉な音がした。

振り返れば我が家のエリートサラリーマンが、鞄を床に落とし、わなわなと震えていた。

うわあ、次男、りょう兄のご帰宅だ。

りょう兄は帰ってくるなり膝から崩れ落ちた。


「な、なんで?なんで武くんとこまちゃんが俺を差し置いていちゃいちゃしてるの?頑張って仕事してきた俺におかえりもなく二人の世界作ってるの?ひどい、俺だけ除け者にして、ひどいよ!」


外ではキラキラした爽やかなイケメンのはずなのに、りょう兄は家だと途端に残念になる。

うざさ炸裂させている兄に若干引いていると、たけ兄が話が長いと一刀両断した。


「で、結論は?」

「俺にも大好きって言ってよ!こまちゃん!オプションでりょうお兄ちゃんって付けて!」

「うわあ…」

「ドン引かないで!でもそんなこまちゃんもかわいい!」


泣きながら一眼レフを探すりょう兄と、自分だけ大好きだと言われたことに優越感に浸るたけ兄。

強烈な兄二人に囲まれて、わたしは大きな溜息を吐いた。


うん、こんな二人に先輩のことなんて絶対言えない。

いい加減妹離れしてくれないかな。


ようやく一眼レフを見つけて歓喜しているりょう兄から逃げ、自分の部屋に戻る。

しばらくはお付き合いのことはひた隠しにしなきゃと思っていると、制服のブレザーのポケットに入れていた携帯が震えた。

先輩かもしれないと目を輝かせてみれば、表示された名前は親友のもの。


なぜだろう、嫌な予感がする。


わたしの親友は、兄や幼馴染と張るくらい強烈なキャラクターなのだ。

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