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犬神様の乳母  作者: 高木一
7、大団円までの道のり
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7-14

「もしかして、これをやりたいって言いにきたの?」


「オフッ」


 小梅は目を輝かせ、正解だと言うように吠えた。小梅がこの国を守ろうと自分から動き出した。それが恵には嬉しかった。


「いい、小梅。畑で石だけを取ったことがあったでしょう。あれと同じ要領で地中の中にある魔力だけを取り出して」


 恵が話し終えると同時に小梅は一声吠える。そして障害物のない広い場所まで駆けて行った。それは恵に近づくなと言っているようで、恵はその場に留まり視線だけを小梅に向ける。人気も木々もない場所にたどり着いた小梅は、一点を見つめると動かなくなった。恵は祈るように両手を前で組み、小梅を見守る。


 小梅の前に小さな緑の玉虫色した球体が浮かび上がった。ビー玉くらいだった大きさが、少しずつ大きくなっていく。あれが、地中にある魔力なのだろうか。光の加減でたくさんの色に変化した。


「これが仔神の力」


 いつの間にか隣に立っていたエルティオの呟く声が聞こえた。悔しそうな、でも安堵しているような何とも言えない表情になっているエルティオを見て、恵は複雑な気持ちになった。小梅が仔神であると理解していたし、実感もしていた。だけど心の片隅では、違うことを望んでいたのかもしれない。エルティオに小梅のことを認められた喜びと相反する思いが恵の中で入り混じった。


「メグミさん! 小梅ちゃんに、あの大きな球体をこの棒を近づけるよう言ってください」


 俯こうとしていた恵を止めたのは翠の声だった。翠と紫がリアカーを引っ張って小梅に近づこうとしている。恵は気を取り直し、小梅に向かって大きな声を出した。


「小梅、その球体をあの棒に近づけて」


 サッカーボールくらいの大きさだった球体が、今は恵が両手を広げても抱えきれないくらい大きくなっている。それがゆっくりと樽の方へ近づいて行った。すると樽の棒が魔力に反応したのか、モーター音が大きく唸るように動き出した。そして、棒の先が球体を吸い込み始める。掃除機のように吸い込まれている球体は少しずつ小さくなっていった。


 時間にしてどのくらいだろうか。長いようにも短いようにも感じた。不意にエルティオの元に一人の兵士が駆けて来た。


「エルティオ様、噴火が止まりました」


 その言葉に恵は翠たちと目を合わせて喜んだ。


「恵、今ある球体は転送させろ。それが終わったら魔力を取り出すのを止めていい」


 恵が笑顔のまま頷く。エルティオは隣にいる兵士を連れて、兵士たちのいる方へと駆けて行った。


「頼んだ」


 照れくさそうに呟いたエルティオの言葉にほくそ笑みながら恵は小梅に声をかける。後方からエルティオの指示する大きな声と活気溢れる兵士たちの声を聞こえてきた。






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