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「なあ、アンタは帰らなくていいのか?」
恵がサツキとヤヨイをなでている所へイギーが近づいてきた。どこか、遠慮がちな彼の言葉に恵は笑顔で応え返す。
「うん。だって決めたんだもん」
恵の言葉にイギーは不思議そうに首を傾げる。だが、すぐに真面目な顔になり、恵に頭を下げた。
「すまなかった」
突然のイギーの行動に、恵は逆に戸惑った。しかし、その後に続くイギーの言葉は恵の心を温かくするものだった。
「謝ってすむ話じゃないと思うけど、行く前に言っておきたかったんだ」
「いいよ。怖い思いもしたけど、ここに来れて逆に良かった。だから、許す。その代わり、イギーは絶対、みんなと一緒に帰ってきてね」
「……ありがとう」
再度、頭を下げるイギーの元へ一匹の半獣が近づいてきた。エルティオの半獣、クーリだ。じっとこちらを見ているクーリに向かって、恵は手を振った。恵が気づいたことに満足したのか、クーリはイギーを置いて元来た道を歩き始める。その後を追うようにイギーも歩き始めた。
「じゃあ、行ってくるから」
集落の入り口付近には、イギーを見送る集落の民が集まっていた。それぞれに、思い思いの言葉をイギーにかけ、イギーもそれに応える。その最後にヘリアの姿があった。
「気をつけるんだよ」
「わかってるって。婆ちゃんも体辛いんだろ? ちゃんと連れて帰るから大人しく寝とけよ」
右手を挙げて大きく振りながら、イギーは笑顔で集落を出て行った。




