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「頑張ろうじゃないよ、メグ姉ちゃん。心配したんだよ」
気配に敏感な小梅さえ気づいていなかったようだ。
慌てて後ろを振り向くとそこには、翠を筆頭に紫と藍。それと三人の半獣たちが並んで立っていた。声をかけてきたのは藍だろう。両腕を前で組んでいる姿は、井上を髣髴とさせる。小生意気な言い方でも藍が言うと、そう聞こえないのが不思議だ。
「ご、ごめん。で、でも良くここがわかったね」
クーリが本当に伝言を伝えてくれたのだろうか。恵は兄弟たちの元へ駆け寄った。
「メグちゃん。心配したんだからね」
紫が涙目で抱きついてくる。あの時、一人きりになってしまったのは紫も同じだ。しかも紫は恵よりも幼い。どれほど不安だっただろうか。それを思うと、恵は本当に申し訳なく思った。
「本当にごめんね。いつの間にか手が外れてて。紫ちゃんは大丈夫だった?」
「うん。すぐにパパと会えたから」
恵の顔を見て安心したのか、紫の顔に笑顔が戻る。そんな紫の表情に恵は安堵した。
「でも本当に無事でよかったです。メグミさん」
二人のやり取りを黙って聞いていた翠が、気を取り直すように口を開いた。それに便乗するかのように、藍の声が続く。
「メグ姉ちゃんはおっちょこちょいなんだからー」
「心配かけてごめんね」
三人の顔を見回してから、恵は頭を下げた。笑顔が戻った三人の顔に釣られるように恵も笑顔になる。
「それにしても、まさか小梅ちゃんが先に来てるとは思ってもいませんでした」
「本当だよね。私も小梅がここに来たとき、すっごく驚いたよ」
翠の言葉に、後ろでお座りをしている小梅へ視線を向ける。首を傾げながら恵の話を聞いている小梅と目があった。
「でも、パパが可能性はあるっていってたよ。ねえ兄ちゃん、可能性って何?」
「どういうこと?」
恵は翠の方へ視線を戻す。
「昨日、メグミさんの行方がわからなくなった後、とりあえず神殿に戻ってみようということになったんです」
藍はしつこく、翠と恵の間に割って入ろうとする。しかし、誰も藍の質問には応えようとはしなかった。自分が説明してあげた方がいいのか悩んだが、翠の話の続きの方が気になり黙っていた。
「そしたら、小梅ちゃんがいなくって、神殿の中は大騒ぎになってました。父さんが、恵ちゃんを探しに出てったんじゃないかって」
小梅が脱走をしていただなんて、恵は思ってもみなかった。だが、今ここに小梅がいるということはそういうことなのだろう。恵はなおさら申し訳ない気持ちが強くなった。
「ワン」
自慢げに声を上げる小梅に、恵は苦笑した。
「はいはい、見つけてくれてありがとう。でも、それとこれとは違うんだよ。小梅が突然いなくなっちゃったから、きっとみんな心配してるよ。神殿に戻ったら謝りに行こうね」
「クゥーン」
恵は、眉毛を八の字してこちらを見る小梅の頭を優しくなでた。
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