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犬神様の乳母  作者: 高木一
6、嫌い、が変わるとき
58/81

6-3

「次は、さっきと同じように小梅が掘り返してくれたところの石をここに頂戴」


 先ほど独断で決めた石置き場へ、小梅にもらった漬物石を抱えて歩いて行った。もちろん、その後ろを小梅がついてくる。


「ワン」


 石が土の中から飛び出すように出ては、次々と重なる。すでに小山ができていた。たった畳一畳くらいの大きさなのに随分と石があるものだと逆に感心する。


 小梅によって全ての石が取り除かれると、そこは立派に種を植える前の畑に見えた。だが、何か物足りない。恵はうろ覚えの記憶を呼び戻すかのように腕を組んで考え込んだ。


「あっ、うねだ。畝って言っても小梅にはわからないよね。うーん、なんて説明したらいいんだろう?」


 恵は、地面に置いておいた平たい板のような木を拾い畑へ足を運んだ。


「確か、穴を掘るようにしてその土を横に置くんだったかなー」


 独り言を呟きながら、木を使って土を掬う。小梅の力で土は柔らかくなっており、簡単に掘り返すことができた。それを横に落とすと、小さな山ができる。


「小梅、こんな感じの奴、ここからあのはじっこまでできる?」


「ワフッ」


 すぐ傍で見ていた小梅にちゃんと伝わったか、自信が持てなかった。だが、ちゃんと伝わっていたようだ。恵の言葉通りに、小梅は真っ直ぐな畝が完成させた。


「ありがとう、小梅。すごい! やっぱりうちの仔って天才かもしれない」


 恵は感謝の気持ちを込めて、小梅の好きな胸骨部分をなでてやる。それが気持ちいいのか、小梅は左後ろ足で地面を掻いていた。


 もしかしたら、こんな風に半獣たちは相方である人と一緒に力の使い方を覚えていくのかもしれない。半獣と仔神は違うのかもしれないが、小梅と意思疎通ができるのだから、例え小梅の力がどんなものかはわからなくとも、なんとかなるような気がする。そう思うと、恵は俄然やる気が出てきた。


「よしっ! 小梅、一緒に頑張ろう!」


 そこへ、恵の出鼻をくじくような、呆れた声が後ろから聞こえてきた。






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