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犬神様の乳母  作者: 高木一
6、嫌い、が変わるとき
57/81

6-2

「ウォフ」


 小梅の鳴き声のすぐ後に、地面が盛り上がった。筍がアスファルトを割って出てくるのによく似ている。だが、アスファルトとは違い、畑からは何も生えてこない。本当にモグラが出たのだろうか。恵は盛り上がった場所から目を離さず見つめていた。すると小梅がまた一声吠えた。それと共に、恵が睨みつけるように見ていた場所のすぐ隣が、再度盛り上がったのだ。


「え? まさか、これ小梅がしたの?」


 どうやら仔神の力を使って小梅が、モグラのように土を掘り返したらしい。いつの間にそんなことができるようになったのか。恵はしばらくの間、目を見開いたまま小梅と畑の間を何度も見比べていた。


 半信半疑のまま、恵は小梅にもう少し多く掘り返してもらうよう頼んでみる。本当に小梅がやったことなのか、確認したかったからだ。


「ウォフ」


 小梅の一鳴きで、恵と小梅が立っている場所の畳一畳分くらいが一気に掘り返された。その光景に恵の両腕は鳥肌が立つ。正直気持ち悪くもあったが、それ以上に小梅の力を喜んだ。


「すごい。すごいよ。小梅。もしかして、土の中から石だけとか取り出せるんじゃないの」


 小梅が掘り返した土の中から見え隠れする石。恵はこれも小梅の力でどうにかできるのではないかと思った。しかし、小梅には難しかったのだろう。首を傾げるだけで何も変わらない。


「うーん、ちょっと難しかったかなー。あっ、わかった。小梅、あの石をここから私に頂戴」


 ちょうど真ん中辺りに恵の拳くらいある大きさの石が見える。恵はそれを小梅に見えるように指差した。


「ウフッ」


 小梅の声に反応するように、石だけがゆっくりと浮かんで恵の方へ近づいてきた。


「上手、小梅。お利口さん。って大きいな、その石ここに落として」


 拳くらいだと思っていた石は、土の中に大部分が隠れていたようだ。恵は漬物石くらいの大きさで近づいてくる石を、手のひらで受け止めるのは無理だと判断して慌てて小梅に指示した。


「ありがとう、小梅」


 恵が小梅の頭をなでると、小梅は嬉しそうに瞳を細めた。






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