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犬神様の乳母  作者: 高木一
2、キニギアースの神様
25/81

2-7

「ホークが帰ってきたようですね」


 井上は立ち上がり、扉へと向かう。それでも小梅の警戒はなくならなかった。犬友達のホークならば警戒する必要などないはずだ。それなのに小梅は、恵を守るように扉を見つめたまま恵の太腿に前足をのせる。


 ノック音もないのに井上は扉の前に立つと、ドアノブに手をかけた。


「わざわざ、ご足労頂きありがとうございます。オリス神官長殿、オルク神官長殿」


 井上が開けた扉から、ホークではなく、二人の人間が入ってきた。神殿の中庭で会った集団と同じ服装をしている。


「とんでもございません。ブロード殿は地球で仔神様と共に過ごされた方。

 ましてや仔神様がいらっしゃるのなら、我らはどこへなりとも馳せ参じましょう」


 あの人は確か、自分に話しかけてきた人物だ。もう一人のオルク神官長と呼ばれた人も、やはりあの集団の中にいたのだろうか。


「お二方共、こちらへ」


 井上は、恵たちが座っている方へ二人を促すように腕を上げる。そこへ麻由美が井上に話かけた。


「ブロード。紅茶のおかわりを持ってくるわね」


 井上が立ち上がったのと同時に麻由美も席を立っていたようだ。扉に視線を向けていたため恵は気づかなかった。


「えぇ、よろしくお願いしますね」


「任せて。……ホーク行きましょう」


 やはりホークが神官長たちをこの場所まで案内してきたらしい。神官長たちの姿で見えなかったが、後方にホークがいたようだ。二人の後ろから、すり抜けるようにホークが部屋に入ってきた。


 ホークは井上の元へは行かず、麻由美の足元にすり寄る。麻由美は、そのままホークを連れて部屋を出て行った。






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