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「ホークが帰ってきたようですね」
井上は立ち上がり、扉へと向かう。それでも小梅の警戒はなくならなかった。犬友達のホークならば警戒する必要などないはずだ。それなのに小梅は、恵を守るように扉を見つめたまま恵の太腿に前足をのせる。
ノック音もないのに井上は扉の前に立つと、ドアノブに手をかけた。
「わざわざ、ご足労頂きありがとうございます。オリス神官長殿、オルク神官長殿」
井上が開けた扉から、ホークではなく、二人の人間が入ってきた。神殿の中庭で会った集団と同じ服装をしている。
「とんでもございません。ブロード殿は地球で仔神様と共に過ごされた方。
ましてや仔神様がいらっしゃるのなら、我らはどこへなりとも馳せ参じましょう」
あの人は確か、自分に話しかけてきた人物だ。もう一人のオルク神官長と呼ばれた人も、やはりあの集団の中にいたのだろうか。
「お二方共、こちらへ」
井上は、恵たちが座っている方へ二人を促すように腕を上げる。そこへ麻由美が井上に話かけた。
「ブロード。紅茶のおかわりを持ってくるわね」
井上が立ち上がったのと同時に麻由美も席を立っていたようだ。扉に視線を向けていたため恵は気づかなかった。
「えぇ、よろしくお願いしますね」
「任せて。……ホーク行きましょう」
やはりホークが神官長たちをこの場所まで案内してきたらしい。神官長たちの姿で見えなかったが、後方にホークがいたようだ。二人の後ろから、すり抜けるようにホークが部屋に入ってきた。
ホークは井上の元へは行かず、麻由美の足元にすり寄る。麻由美は、そのままホークを連れて部屋を出て行った。




