第6話 私情
「何でネイチャーが出るんです?こんな仕事、我々で十分では?」
「お前が意見なんて珍しいじゃないか。サイレント。指揮官がサマになってきたな」
「いや、疑問に思っただけです。あと、何故か過大評価して頂いてるようですけど、私、指揮官とか柄じゃないんで。」
「今私を除いた4人で最上位はお前だ。好き嫌いに関わらず、指揮官になる…と言いたいところだが、今回は私が直接現場で指揮する。」
「仕事に私情を持ち込むのは厳禁ですよ♪」
「おまっ…何でそれを…」
「当たりですか?この前のスラッシャーとの会話、丸聞こえでしたよ。あんなデカい声で話してたら当たり前でしょう?
だからこの前事務所のレイアウトを変えようって話してたじゃないですか。仕切りだけじゃ限界がありますよ。
私も恵さんも、下のセンシティブな話を聞かなきゃいけない立場でしょう?」
「ああ…すぐにでも変えよう。
でも何で今回の件が私情だと?」
「普通ならこんな任務、絶対恵さんが出る規模じゃないですよ。前の左翼集団のときも言ってたじゃないですか。『小規模な任務こそ、下に経験値を積ませるチャンスだ。だから今回はお前に任せる。』って。
今回の仕事、『反乱疑惑のある陸軍将校の殺害』でしょう?それこそトーキーとインディーズ辺りに任せても良いくらいですよ?」
「はぁ…つくづくお前は向いてるよ。この仕事」
「まぁ私情と言っても疑惑くらいなんだが、今回の仕事のターゲット、兄かも知れない。」
「はぁ…親族ですか。あ、お兄様、軍出身なんですね。」
「まぁこの宿舎に兄がいると言うだけで、部屋までは知らんからな。」
「お手紙とか送らないんです?」
「よほどプライベートな事じゃなけりゃ軍の官職宛に送った方が確実だよ。兄はそれなりに偉いからな。それに手紙なんて送らない。」
「なるほど。で、ターゲットがお兄様だったらどうするんです?」
「撃つよ。これで私も人生を一歩先へ進めることができる。」
「部下には私情は禁物と言った癖に、自分は私情たっぷりじゃないですか」
「スラッシャーには言うなよ。」
「了解。ボス」




