第5話 革命家かぶれ
古来、人間は助け合っていた。
狩りをして、皆が同じ立場で、集落を作って細々とだが暮らして居たんだ。
しかし、農耕が全てを変えてしまった。
小麦を作り、蓄える事で人間は繁栄した。しかしそれは誤りだった。
農耕こそが格差を産み、戦争を産み、優劣を作ったのだ。
軍には食えなくなった貧民がたくさん来る。彼らは軍を、国防の道を選んだのではない。「それしか選べなかった」のだ。
命を削って、死んだ者も沢山いる。彼らがそれを「選んだ」のならそれも良い。しかし大半がそうじゃない。
私は1人の兵卒が死ぬ瞬間を見た。テロだった。
死の間際、彼は「こんなところ、来るんじゃなかった」とか細い声で言っていた。何度も!何度もだ!
あの声が頭から離れない。
私は国防を志し軍に入った。国家のため、命を賭す覚悟だ。
しかし、資本家の為に賭ける命はどこにもない。
資本家共は現代の貴族だ。
いや、建前上「人間は平等だ」と言っているから更に質が悪い。
そしてAIやロボットといった最新技術は「持たざる者」から技術も労働力すらも搾取する。
格差は広がるばかりだ。
そして奴らは不要になった「持たざる者」をヤク漬けにした。
今のスラムの惨状を国は知っているのか?
スラム出身の部下は泣いていた。
資本家も権力者も最後まで労働者の人生を愚弄するしか能が無いんだ。
だから…だから最早労働者革命を起こすのは武力によってでしかあり得ない。
いくらか人は死ぬだろう。だがいずれは皆死ぬのだ。
死者よ。許してくれ。私も一緒に死ぬからさ。
そして許してくれ。父よ。弟よ。
そして最愛の妹、恵よ。
こんな馬鹿をやる兄を許してくれ。




