第4話 ネイチャーメイド
人生か。
他人に言っておいて、自分では考えたことが無かったな。
軍人の家系だった私は、2人の兄と同じように軍に入り、そこで挫折した。
男社会の軍で、准将の娘。
軍が私に張ったレッテルは、お姫様、出世の道具、そのどちらかだった。
部下、そして上司でさえ私を腫れ物のように扱った。あの視線は今も忘れられない。
そして要職には就けず、兄よりも出世も遅かった。
だから辞めて民間軍事会社に入った。
ここは良い。完全に実力主義だし、働き方も選べる。何より、メイド服が可愛い。
またいい意味で家族の存在はパイプとなって、会社に還元することができる。
そうしてるうちに可愛い部下もできた。
強盗に両親を殺された被虐待児、順風満帆な人生を蹴ってここに転がり込んできた狂人、スラム上がりのナイフ使い…
軍人はまず軍人だ。軍にはこんな滅茶苦茶な経歴の奴らはそうはいないが、だからこそやり甲斐がある。
だからスラッシャーに「やめてもいい」と言った自分に自分が一番驚いていた。ただ、冷静に考えればそれが良いのかも知れない。
まぁコイツは因果な商売だ。いつ死ぬかも分からない。親心が肥大してアイツらを死地に行かせたくない気持ちが芽生えてるのか?
いや、そうじゃないな。スラッシャーは優しい奴だ。そもそも「向いてない」
アイツは、アイツこそ軍人に向いてるんじゃないか?
軍はああ言う仲間思いの人間が重宝される組織だ。まぁ下士官までだけど。
まぁアイツもアイツで考えて結論出すだろう。
結論のでないことを考え過ぎるのは悪い癖だ。まぁでも思考を整理出来て無駄って程じゃない。
さっさとホットミルクでも飲んで寝よう。砂糖をたっぷりかけたやつを飲めば、悪夢も見ない。
長兄は何をしてるだろう。確か軍は演習の時期だ。私なんかと違って、彼は陽のあたる道を歩くのだろうな。
…ああ、私は、こんなところで終わるんだ。いっそ、どこかに嫁いで子供を産んで、女の幸せとやらを手に入れるか?
私が?子を?
馬鹿馬鹿しい。まだ、私は自分の人生を手放せない。手放したくない。
それに、さっき自分でいい仕事だと言ったじゃないか。軍が嫌でここに来たんだろ。
ああ、人間は手に入らなかったモノを追い求める。こうして少しづつ、少しづつ狂っていくんだろう。
人間とは、弱いものだな。




