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1章 26話 新たなカモ候補 貴族ノルト家

リュシエルの声が完全に聞こえなくなった時、リュリュがベッドの上で目覚めて早々叫んだ。


「あれ!? リュリュの上にぬいレイがたくさん……! しかも、引っ付いてきて離れない! 離れて、お願いだから!」


リュリュは、顔や頭、足に引っ付くぬいレイを取ろうと必死に手で払っている。その様子は、まるでぬいぐるみに襲われているかのようだ。リュリュはついにキレて、「離れろこの野郎!」と叫び、ぬいレイを全力で引っ張る。だが、ぬいレイはびくともしない。そして、リュリュはついに降参した。


「うー……ユラちゃん、取ってください~……」


リュリュは、涙目で僕に助けを求めてきた。僕は、アールを抱きしめたまま、ぬいレイに指示を出すと、ぬいレイはリュリュから離れ、どこかに隠れて消えた。


「リュリュ、楽しかった?」


「まさか、ユラちゃんがやったんですか! もう! 大変だったんですからね! というか、急にやられると、可愛いぬいレイでも、あの数、怖いですよ!」


リュリュは、プンプンと怒っている。


「あ、そういえば、さっきユラちゃんと一緒にいた人、誰なんですか? 今思い出すだけでも背筋が凍りそうなんですけど……もしかして魔王?それともこの世界の創造主だったりして」


「まあ、それはおいおい話すよ。正直、僕もあまりわかってないから。それよりリュリュ、夜の活動……名前がかっこ悪いね。まあとにかく、そろそろ規模を大きくしたいんだけど、何かいいところないかな? どうせなら、強いの倒したい。それと、精霊についても関係してるところなんかない?」


僕は、ぬいレイを今日の分作りながら、リュリュに尋ねた。



「そんな都合がいいところなんて、さすがにリュリュは知りませんよ。うーん、この周辺にいる強い人といえば、最初に倒したリンネさんとか、盗賊のリーダー、あとはギルマスとうーん……。あ、この国の王国騎士団の各団長たちが強いですよ」


「ギルマスも王国騎士団長も、完全に都市内部にいるから活動しづらい。それに何より、敵を作りすぎちゃう。敵は最小限に抑えるのが大切だよ、リュリュ」


リュリュは呆れたように、「でも」と話を続ける。


「冒険者をあまり殺してはいないとはいえ、たくさん襲って、冒険者協会では、『ぬいぐるみの魔王アール』なんて言われて、最危険人物として恐れられているぐらいですよ。それに、国でも指名手配されちゃって、今更どうしようもないですよ」


リュリュは、「やれやれ」といった感じで肩をすくめる。(確かにどうだけど、リュリュに言われるのはウザい…….)


「リュリュなんて、『漆黒のメイド』なんて言われているんだよ。しかも、本名で名乗っているせいで、名前までバレてるし」


「うっ……言わないでください。テンションが高いとうっかり名乗っちゃうんですよ」


リュリュは頭を抱える。


「うーん……でも、本当にどうしよう。もうギルドに侵入してみようかな?」


僕がそう呟くと、リュリュは何かを思い出したように言った。


「あ、そういえば、昨日ユラちゃんのお母さまが何か言っていましたよ。確か、悪い噂とか表上の書類も、特に不正は見当たらないけど、逆に怪しい箇所がある貴族がいるとか」


(貴族か……。確かに、何かを不正したり悪いことをしている貴族なら、面白い敵に会えるかもしれないし、何よりお金がたくさんあるはずだ。逆に、普通の善良な貴族は、大してお金を持っていないから襲っても効率が悪いし、盗賊のほうがあたりがある確率が高い)


「その貴族の名前、分かる、リュリュ?」


「えーっと。確か、ノルト家だったはずです。噂によると、有名な暗殺者サシガメという人を雇っているという噂もあって、最近なんでも精霊使いを集めているとか」


「本当にちょうどいいじゃん。ちなみに、そのサシガメって強いの?」


「それはもちろん。Sランク冒険者でもたやすく葬り、どんな場所でも侵入してターゲットを殺す人で、ユラちゃんとリュリュが指名手配される前は、一番の高額指名手配だった人です。実際のところは情報がなく噂だけなんですけど。でも、そんな人物がノルト家に仕えているとは思えませんが、もし本当に雇っているなら、黒確定です。あ、時間帯的に、ユラちゃんのお母さまとお父様がノルト家を視察するあたりの時間です」


「そういえば、確かに視察しているんだったね。それじゃあ、ぬいレイで様子を見てみよっか。いいターゲットだといいな」


僕は、そう言って、アールを抱きしめたままニヤリと笑った。



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