表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/49

1章 14話 予想外はまたも仲間を増やす。 

僕はやることがすべて終わりたくさんお金等を手に入れて気分ルンルンで帰ろうとしていた。

すると、唐突な声が洞窟の出口に響いた。


「待ってください! リュリュのこと、忘れてないですかっ!?」


僕は振り返り、そこに息を切らして走ってくるリュリュの姿を見て――ああ、と頭を押さえた。


(……すっかり忘れてた。完全に帰る気でいた)


ぬいぐるみの手をひらひらと振ると、リュリュは頬を膨らませて僕の前に立ちはだかる。


「それに、きちんと約束の報酬ももらってません! あ、さっき外に出て行った人たち――盗賊とか冒険者とかを運んでいった人たちって、いったい何だったんですか?」


リュリュの顔は純粋な疑問と、若干の怒りでできていた。


「ああ、あの人たち? 後片付けと情報収集の係だよ」


「……??」


リュリュの頭の上に、見えるように「?」が浮かんでいた。理解する気がまるでない。やれやれ。


「まあいいや。これ、今日の報酬ね」


僕は金貨十五枚と、さっき拾った漆黒の短剣をリュリュに手渡した。


「えっ!? こ、こんなに!? しかもこの短剣、凄そう……っ!」


リュリュの目が輝いた。いや、輝きすぎている。星でも宿してるのかというぐらいだ。

(……でも、金貨15枚は僕が得た財宝の一パーセントにも満たないんだけどね)

庶民基準で考えると超高額なのだろう。よくて金貨一枚が庶民の月収であり、金貨三枚がメイドの月給らしい。十五枚なら半年分。安上がりだ。

まあ、その短剣の魔剣についてはおそらく、今回最も価値があるもので、金貨数数十枚はくだらないぐらいの価値があるだろうけど、僕にはいらないから僕にとっては無価値だ。


リュリュは短剣を抱きしめ、うっとりと呟いた。

「アール様、これ……ぴったりです。なんか、すごく力が湧いてくる気がします」


(気のせいだよね?)


まあ、でも満足しているならそれでいい。めんどくさい要求を防げるなら安い投資だ。


「そういえば、さっきの戦いの時のあれ――なんだったの? 急に覚醒でもしたの?」


僕は思い出しながら尋ねた。あの戦闘中のリュリュ、厨二病が爆発してた。語彙の半分が黒歴史で構成されていた。


「あー……あれですか? あれはですね、初めてでよくわからないんですけど、盗賊に殺されそうになった時に、なんか“吹っ切れた”んです。それで、頭の中がスッキリして、気づいたら“かっこよく”戦ってました! あの時の私は、たぶん……覚醒してましたね(^^)」


(自覚なし、そして誇らしげ。末期だな)


「なるほど。そうなんだ」


「はいっ! また、あの感覚に浸りたいです!」


リュリュはうっとりした表情で、まるで神聖な儀式でも思い出しているようだった。なぜだろう、彼女の頭の中では“厨二=神聖”という等式が成り立っているらしい。世界の七不思議の一つに加えたいレベル。


そんな彼女が、急に僕の背後を指差した。


「それと、さっきから気になってたんですけど……後ろの子、どうするんですか?」


「え?」


振り向くと、そこには小さな少女が立っていた。牢屋にいた一人――七歳くらいの、まだ幼い子だ。

僕が渡した白いぬいレイを胸に抱きしめ、まるで宝物のようにぎゅっと抱いている。瞳はガラス玉みたいに澄んでいて、まっすぐ僕を見ていた。


「……商人たちと行かなかったの?」


問いかけると、少女はこくん、と静かに頷いた。


沈黙。


(なるほど、帰るところがない、ってやつか。典型的な面倒なパターン)


ぬいぐるみを抱いてる姿が妙に似合ってるし、見捨てるのは……うーん、ちょっと罪悪感がある。

でも、このまま連れて行くのはもっと面倒だ。


「まさか、ついてくる気?」


少女は、迷いのない瞳で頷いた。

「……帰るところ、ない。」


可愛い。だが面倒くさい。

うん、ダメだ。こういう子に情を移すと、あとで後悔する。


僕はため息をつき、すぐに“解決策”を思いつく。


「リュリュ、任せた。」


「え、えぇっ!? なんでリュリュが! リュリュにそんな責任、ないですっ!」


予想どおりの反応。だけど、予想どおりの解決法もある。


僕は懐から金貨二十枚と、リュリュが好きそうな装備を取り出す。黒地に金の縁取りがあるマント、派手な装飾の指輪、意味ありげな模様が刻まれた剣。いかにも“中二の象徴”だ。


「引き受けてくれたら、これもあげる」


リュリュの瞳が一瞬で変わった。


「き、金貨をこんなに!? しかもこのマント……かっこいい!このセンスの塊のような見た目。 ……もうっ、仕方ないですね! リュリュが引き受けるです!」


はい、釣れた。実に分かりやすい。

彼女は報酬を抱えて満面の笑み。完全に「金貨と厨二」でできた人間だ。


「でも、その子については、完全には責任取れませんからねっ! “対応”はしますけど!」


口ではそう言いながら、リュリュは嬉しそうに少女を抱き上げた。まるで救世主にでもなった気分らしい。少女も抵抗せず、ぬいぐるみを抱いたまま、リュリュの胸に顔を埋めた。


「ふふっ……大丈夫よ。リュリュが守ってあげる。闇を断ち、光を導くこの手で……」


(……始まった。中二詠唱モード)


「ねぇ、リュリュ。最後の一文だけ、どうしても厨二要素入れなきゃダメ?」


「これは誓いの言葉ですっ!」


もう手遅れだった。完全にスイッチが入っている。


僕は頭を押さえて深くため息をついた。


(……まあいい。面倒は全部押し付けたし、リュリュが勝手に世話を焼いてくれるなら、僕の手間は減る)


少女がリュリュのマントを触って「ふわふわ」と笑った。その無邪気な笑顔に、一瞬だけ胸の奥がくすぐられる。


(……まあ、可愛いし。悪くない拾い物、か)


僕は踵を返し、洞窟の出口に向かう。背後では、リュリュの“聖なる自己陶酔トーク”が続いていた。


「さあ、小さな魂よ。リュリュと共に歩むのです! この黒きマントの誓いのもとに!」


……あのテンション、どこで習得したんだろう。

内なる本当の自分に目覚めちゃったってところかな?

ほんと、頭おかしい。だが、そこがリュリュの良いところでもある。


ちなみにお金の設定(あまり必要ない)

白金貨、金貨、銀貨、銅貨とあり、価値は上にいくほど100倍の価値がある。つまり金貨1枚=銀貨100枚

銅貨の価値は100ヌラ

「ヌラ」はこの世界のお金の単位という設定。

円と同じ価値だと思って。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ