(1)
詩を書くのも大好き!
はじまりますー
彼が彼女を傷つけるのは
彼女のすべてが見たいからかもしれない
彼女がクラスじゃ絶対見せないような
怒った顔やぐちゃぐちゃの泣き顔
そういうものが見たいからかもしれない
彼女はそれがわからないから、
いや、もしわかったところで
傷を負わされた魂は
世界がどんどん こわくなり
ひとがどんどん 恐ろしくなるのだった
寝汗の一滴でさえも、
起床後ただちに拭い去り
もし誰かとキッスをすることになれば
お互いのくちびるを
ルゴール洗浄液で
厳粛に消毒する必要があるようだ
(彼はまだキッスをしたことがなかった。
だから、これは彼の想像だけれど。)
出かけた場所、時間、出会ったひと
すべての縷述が求められるのは
彼らのいのちが守られるためだが、
自分でも説明できないジブンの心があることに
彼らは慌てふためいている。
捉えきれない感情が
監督不行届と罵られることは
あるだろうか。今ならあるかもしれない
あってもおかしくないだろう
(彼の自問自答。)
彼は思う
彼の心も彼女の心も粉々に撃砕して
すべてまぜこぜにできたらどんなにいいだろう
どれがどちらのものだかわからないくらいに
君も僕も、好きも憎いも全部撹拌して
わかちがたい混沌になってしまえばどんなにいいだろう
(一杯のコーヒーに、ポーションミルクを2つ。マドラーで、掻き混ぜる。
物理の授業で習ったエントロピーという言葉を、思い出す彼。)
続きます^_^