第52話 お返事
甘~い物語を書きたくてもこのレベルになります。
最初に謝ります…すいません!! (逃走
「くぁ…うぅ…」
大きく背伸び、欠伸をしながら白鳳華蓮は目覚める。
そして考えこむ。
「あれ?私は…」
思考を巡らせるまでもなく、直ぐに思い出す。
「あ!蒼井さん!!」
慌てて自室、いや蒼井に借りている部屋を飛び出し一階の居間へと駆け下りる。
「ん?白鳳か…おはよう」
しかし、ここまで来て華蓮は口を開けて『ポカン』としている。
残り一ヶ月の命である花咲蒼井は台所でいつもの『防弾学ランダークピアス』を纏い、エプロンを付け、料理をしていたのだ。
想い人が料理をしてくれている光景。微笑んでしまいそうなその光景の中で輝く蒼井の右目の下には、あの痣が広がっている。
1日であれだけ進行する筈はなく、あの痣は呪いの進行を表しているわけでは無いことが分かるが…その痛々しい傷跡に、華蓮は目を逸らしてしまう。
「今日の朝飯は目玉焼きだ、久し振りに作ったから味の保証は出来ないけどさ…」
そんな華蓮を励ますように言葉を発する蒼井を見て「やっぱり強いな、この人は」と思わずには居られない華蓮。
こうして、朝食が始まったのだが…
「口に…合わないか?」
「いっ!いえ…とても美味しいです!!」
「昨日の戦闘…疲れてないか?」
「全然!大丈夫ですよ!」
会話が成り立たない。
蒼井は必死に話題を探すが、華蓮がその痣を気にしてか上手く話せないでいる。
ただ、チラチラと蒼井の右目の下にある痣を見詰めるだけだった。
そして、彼に何時までも『隠れながら見る』動作が通用するわけもなく…
「嫌……か?」
「え?」
「こんな化け物みたいな痣が顔にある奴と一緒に住むの?」
彼自身、きっと痣については気にしていないのだろう。それは分かっていたのだが、ついつい心配していた。
それが裏目にでたのだ。
「いっ…いえ…そんなことは」
必死に否定しようとするが、心配に心配を重ね涙目の為に蒼井は更に誤解する。
「告白…してたな?」
「はい…」
「はぁ…あの時 告白しなければまだ幸せだったろうに…」
「え?」
「ごめんな…一生のトラウマだろ?
好きでもなかった化け物に抱き締められながら告白されたの……」
そう、実はあの時 蒼井は華蓮を抱き締めて告白していたのだ。
その時のことを思い出し、蒼井は悲しんでいたのだ。
「…ひっぱたき…ますよ?」
しかし、華蓮の言葉に蒼井は顔を上げる。
そして驚いた。
蒼井の顔は、華蓮の胸に沈んでいたのだから…
「白……鳳?」
「あの時の答え…私も好きです」
白鳳華蓮はーー蒼井が告白した時の答え。
ずっと言いたかった答えを今ここに述べた。
「でも…」
まだ何か言おうとする蒼井に「この人は強いのに、なんで恋愛面はダメダメなのだろう」と疑問を抱きながら…
「でもじゃありません!私は昔から蒼井さんが好きです、だから告白を断る道理がありません」
キッパリと言い放つ。
それから暫く、蒼井は華蓮に抱かれていたのだが…2人とも後々顔を合わせられなくなったのは言うまでもない。
-おまけ-
蒼井「読者様から逃げるな…」
作者「踏むなっ!踏むなっ!」