第45話 通学
作者「風邪引いたかな…?」
蒼井「お前はしょっちゅう何か起こすな」
作者「でも…ワザとじゃないもん」
蒼井「はいはい…」
「やっちまった…」
朝、花咲蒼井通学中の1人言である。
「幾ら場の空気があれだからって……ヤりすぎだ」
頭を抱えてさらに嘆く。
彼が悩んでいる理由は当然、昨晩の事だ。
告白ーー人生最大の賭博なのかもしれないそれを蒼井は勝つ確率が極めて低い状態で行ってしまった。
お陰で朝は華蓮と別々に登校である。
いや、いつも華蓮に起こしてもらう蒼井は、今朝華蓮に起こして貰えなかった分、家を出るのが遅れてしまったのだ。
(白鳳の初登校だってのに…最悪だ)
遅刻に関しては、もう決定的な時間の為諦めるとして、気掛かりは今日が華蓮の初登校日だということ。晴れ姿を見られないことと、昨晩のことで華蓮が失敗しないかという恐怖ー心配とが入り混じり…蒼井を落胆させる。
「蒼花~!!」
気を落として、今にも倒れてしまいそうな蒼井に、明るい声が掛けられる。
がらがらがら…
更に聞こえるは車輪の音。
この声と音の主は…
「大牙ぁ!!」
蒼井の友人であり、江木常高等学校2年生の遊楽大牙である。
クリーム色の髪を逆立て、スケートボードに乗る、イヤホンを付けたその姿はまさしく『不良』と云った感じだ。
「な~にをガッカリしているんだよぉ」
しかし中身は楽しい、気の良い奴である。
「あぁ…いやなんでもない…」
「またソッチでの悩みか?」
「いや生血見関係ではない…」
大牙は蒼井の悩みが重大なのではないかと、感付き始め『生血見』関係なのではないかと問うが、呆気なく否定される。
「可愛い女の子にでもフられた?」
ふざけたつもりだった…。
しかし
「いや!おまっ!!」
今の蒼井は、それに近い状態だったためかなり取り乱す。
「ハッハーン…図星?」
「だから違うっ!」
端から見れば他愛のない会話だが、蒼井からすれば、正直辛い。
大牙は天国、蒼井は地獄の会話をしながら歩いていると、大牙には5分、蒼井には50分と感じた時間で学校に到着する。
そこで思い出すーー遅刻していることに。
急いで廊下の階段を駆け上がる。大牙はスケートボードを抱えている分、辛そうだ。
息を切らして、教室のある階ー3階に到達したその時…
ヒュンっ!!
『竹刀』が蒼井目掛けて飛んで来た。
焦っていたためか、それを避けることが出来ずに直撃する。
「痛って~!!」
竹刀の先を見ると、オレンジ色のストレートヘアーに白い和服を着た男が立っている。
「疹!」
大牙がその男の名を叫ぶが
「この馬鹿者!!」
怒鳴られる。
この男こそ、蒼井と大牙の友人兼天敵、剣道部主将・泊眞疹だ。
「20分も遅刻だ!!」
天敵の由来は、真面目な堅物だからである。
制服を着用せずに白い和服を着ている辺り、真面目と考えて良いのかは分からないが……。
「早く教室に入れ!」
「お前も生徒だろっ!」
「なんで教室から出てるんだよ!」
2人も素早くツッコミを入れるが
「儂は構わん!」
無駄であった。
その後、反論も出来ずに2人は疹に教室まで連行された。
毎回ご愛読有難うございます。
読者様には感謝の気持ちでいっぱいです!!