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第44話 告白

なんか色々とやってしまった感があるのですか、第44話更新です!

どうぞお楽しみください!!

『良いか?花ってのはな、すぐに枯れちまうもんなんだ…』

そう言って【あの人】は、枯れた花を生けた花瓶を持って泣きじゃくる私をそっと撫でてくれる。


『そういう儚ねぇもんなんだ…』


その瞳は、悲しみを感じさせる…。





昔の………ずっと昔の記憶…………。

温かいのは此処まで、この後からは、思い出したくもない。



「……」

いつの間にか、涙が流れ出していた。



また失った




花のように儚く




華のように美しく




闇のように重くて




壊れたように思考がシャウトして




【泣いたら済む】なんて思っているわけではないけれど、それでも泣かずにはいられない。



「蒼井さんも、どこかに行っちゃうのかな…」


声を漏らす。

自分を拾ってくれた親同然の人も、助けてくれたプチ蒼井も居なくなってしまった…。

このままでは蒼井までどこかに行ってしまうのではないかと、不安が募るばかりだ。


「寒い……」


そんな虚しさ、辛さ、悲しみが【寒い】という感情を作り上げている。

心と体、両方が寒いのだ。




プログラムの事件の後、華蓮の姿も元に戻り、再び平和な日々が返って来たのだが、プチ蒼井が居なくなってしまったことは華蓮に取って大きなダメージになってしまったようだ。

あれから3日経つが、華蓮は毎晩ベッドの上で泣いている。

「コーヒーでも飲んで来よう…」


余りの寒さに、それを掻き消そうとピンク色のパジャマの上から、白いジャンバーを羽織り、台所へと足を向ける。










「……………」


同時刻蒼井は思考を巡らせていた。

(白鳳…)


思いがけるのは、保護対象だから。というだけでは無いだろう。


「何故、俺はあの程度のプログラムの侵入を許した……!」


静かだが、自分へと怒り狂う。


「俺があんなことにならなければ…!

白鳳は傷つかずに済んだというのに……!!」

拳をベッドへと叩き付ける。

【ドンッ!】という鈍い音の後、ジンジンと痛みが走る。

しかし、それさえも自分への【戒め】としてだろうか?ぐっと堪える。

いや…そんな痛みを気にしていられない程に後悔しているのか。


「花咲蒼井…」


自分の名前を口にしながら、下唇を噛み締める。


「お前は誰だ……」


自分自身への、意味のない問い掛け。


「何が出来る……」


下唇をより一層強く噛み締め、拳には怒りその物を表したような力が反映される。



華蓮が泣いていることを知っているからこそ余計に…だ。

自分がプログラムの侵入さえ許さなければ、華蓮はプチ蒼井とやらに会わずに済んだ。

何も失わずに済んだ。


だから、その事が悲しくて悔しくて…怒りが込み上げて来る。

怒りでオカシクなり掛けたその時…



「!!」


1階の台所から、物音が聞こえて来た…………










そして、台所に立っていたのは華蓮。

【寒さ】を紛らわせる為に温かいコーヒーの入ったコップを口に運んでいた。


「白…鳳?」


急に後ろから掛けられた声。


それに驚き、振り向けばーー【愛しき人】の姿が。

それを見た途端…華蓮からは涙が流れ落ちてしまう。


「お、おい…何泣いてるんだよ!?」

急な展開に驚きつつも、華蓮の下に駆け寄る蒼井。


「う……うぅ…」


涙が止まることを知らないかのように、流れ続けている華蓮。


「また…蒼井さんも、みんなみたいに……ヒグッ、居なくなっちゃうんじゃ…無いかって」


正直に不安をぶつける。

それは、蒼井と一緒に居たいと心から思っているからだろう。


「白鳳……」


「………蒼井…さん?」


蒼井は泣いている華蓮に一度、微笑んで見せてから抱き締める。


「安心しろ…俺は、どこにも行かない。

ずっとお前の傍にいる。」


「……………」


優しく言葉を掛けるも、華蓮の顔が晴れることは無い。


「だって…だって俺は、お前が…白鳳華蓮が好きだから!」


理由…傍にいる理由、それは白鳳華蓮を1人の女性として愛しているから。

それを聞くと華蓮の顔は晴れて行く。


そして、そのまま蒼井を抱き返し、泣き続けた。


【嬉し泣き】だ。


プチ蒼井が死んでしまったのは後悔以外の何でもない。

しかし


(プチ蒼井さん…助けてくれて有難うございます)


白鳳華蓮がそれについて流す涙が【悲しみの物】から【感謝の物】に変わったのは事実だ。

まだ物語的に序盤なのに、告白なんてしちゃって良かったのかは疑問ですが…頑張って行きますので、次話も宜しくお願いします。

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