番外編 ファーストコンタクト
蒼井「またまた何故番外編?」
作者「書いてる途中で本文が何故か消えてしまって手早くすませる為に番外編にしました。
毎回楽しみにして下さっている読者様、大変申し訳ありません」
俺、花咲蒼井はただ延々と降る雨の中で50人はいるだろう不良の軍勢と拳だけで向き合っている。
「とっとと来いよ?」
相手を挑発すると
「舐めやがって!!テメー等!行くぞぉ!!」
簡単に乗って来た。
馬鹿だな。うん、絶対馬鹿だ。
まずは踵落とし!すぐに踵落としに使った方の足を軸にその場で回し蹴り。
大半が吹っ飛ぶ。
いつも通りだ。
ムカつくから喧嘩をふっかける、ふっかけた喧嘩で勝利する。
それ以上でもそれ以下でもない。
ただ
「あくびが出るな?」
つまらない
今回も簡単に潰す。
そう、これは俺 花咲蒼井がまだ元不良ではなく、ただの悪として暴れていた時の話。
「憂鬱だ…」
そう言って煙草に火を付ける。
最近はこれがないといつも以上にイライラする。
きっとニコチン中毒という奴だろう。
ドン
誰かと肩がぶつかる。
「ちっ!痛てぇじゃねえか?」
青い制服に茶色のズボン。
なんだか良く分からない学校の生徒に絡んじまった。
だが、そんな事は関係ない。
「痛てぇだろ?謝れよ!!」
相手の胸倉を掴んで壁に叩き付ける。
「すっ!すいません!!」すぐに謝る、張り合いが無いったらありゃしねえ…。
「金…出せよ」
「え?」
「良いから出せよ!!」
相手を殴り付ける。
下らねぇ、殴ってやったのに向こうからは怒りも何も伝わってこねぇ…。
あるのはまるで自分を『悲劇の主人公』とでも思うような腐った脳みそ。
「はい………」
ほれ!無様だ!どうせお前は『はい』しか答えられないと知っていたから、笑えもしねぇ…。
「ったく!これっぽっちかよ」
相手の財布から出てきたのは2000円、中学生の持ち金としては多くもなく、少なくも無い額だが今まで金持ちからの渇上げで20000とか奪ってた俺には少なすぎる額だ。
「あのぉ…」
うるせえな!そう思いながら
「なんだ?」
精一杯のお情けで聞いてやる。
「財布だけは返してください…死んだ祖父から貰った物なんです」
ほお、なけなしの勇気を振り絞ったか。
面白い。
「良いぜ?」
にこりと笑うと
「ありがとうございます。」
向こうも少し明るくなる。
そして俺はその財布を近くの川へと投げ込んでやる。
「後は自分で拾いな…」
相手の顔が絶望に変わる。
「そんな…うわあああああああ!!」
やっとやる気になったか、向こうは拳を構えて突進してくる。
まぁ、簡単にカウンターパンチを顔面に叩き込んで終わらせる。
「ううぅ…くっ」
何だよ?真面目に終わりか?
つまらねぇ…。
そして俺はその場を後にした。
未だ泣いている男の所へと、男と同じ制服の男が歩み寄る。
「これは貴様のだろう……?」
金髪に眼帯、一目見た通り不良である。
「隼さん!?」
しかし彼、茶翼隼は不良兼風紀委員という不可思議な立場に居たため、男も不良の接近に恐怖しなかった。
「ありがとうございます!!」
男はそのまま走り去って行く。
隼は 「花咲蒼井…危険因子だな……」
と一人呟く。
そしてその日蒼井は自分の家のポスターに入っている一枚のトランプを見付ける。
【joker】
そして一枚の手紙。
「ハッ!明日は楽しめそうだ…」
-翌日-
財布を投げたのとは違う川の土手で俺は金髪眼帯君と向き合う。
「………うちの生徒に手を出す危険因子は排除する」なんかほざいてる。
「見たところ君も不良だろ金髪眼帯君?」
どうせやるなら早くやろうぜ?喧嘩さぁ…
「風紀委員だ」
嘘ぉ!あの金髪で風紀委員!?
校則甘!
「まぁ良い!お前もうっすら分かってるだろ?
話し合いじゃあ解決出来ねぇよ?」喧嘩喧嘩喧嘩喧嘩喧嘩喧嘩喧嘩喧嘩だぁ!!
「…仕方がない」
その言葉とほぼ同時に金髪眼帯君は消える。
そして直ぐに俺の頭上に現れ踵落としを繰り出す。
何のこれしき!
俺は拳で相殺する!
そして二人の目が合う。
これが彼ら、『花咲蒼井』と『茶翼隼』のファーストコンタクトだった。
そう、あの頃の俺は超能力も何も知らなかった。
喧嘩の結果もうろ覚え。
確か互角だったと思う…。
しかし、確実に言えるのはあの時は隼がちゃんと俺のことを『蒼井』と呼んでいたことだけだ。
そして、あの頃の俺はどれだけバカだったのだろう。
煙草なんて吸って、渇上げ。
未来の親友と殴り合い、蹴り合いの大喧嘩。
自分で自分に呆れてしまう。
そしてここからだ、俺が今までの罪を償う為に良いことをする不良、『善良不良』になったのは。
蒼井君と隼君のファーストコンタクトはこんな感じで…
てか蒼井が凄いダークに仕上がっちゃいました……(苦笑い)
今後とも善良不良をよろしくお願いします。