第14話 戦いの加速
アンケートは続けると言う結果になりました。
止めて欲しかった方は残念ながら回れ右して頂く方針でお願いします。
地獄ーそれは一方的に自分だけが苦痛を感じる物だけを指すのではない。
蒼井が泣きながら走り出そうとしている頃、隼達は地獄を見ていた。
2人は数に物を言わせて無理矢理、接近戦に持ち込まれていた。
2人共 接近戦が苦手という訳では無いが、こう距離がないと槍も銃も余り役に立たない。
自分でも気付かない内に2人の先方は撃つ、投げるから殴る、蹴るに変わっていた。
「っ!!」
最近、接近戦は愚か通常の先頭も訓練程度しかしていない隼が、遂に懐への相手の拳の侵入を許してしまう。
かなりの威力ー。
つい片膝を付く
迫り来る拳
なんとか避けるが
追撃が仕掛けられる。
さっきまでの地獄はまだ自分に苦痛がない。
それが優しかったと隼は気付くー。
新たな地獄の始まり
しかしその始まりは
「ううぅぅあああああああぁぁぁぁぁ!!」
突如、警察署から出て来た涙を流す黒い学ランーー蒼井によって中断される。
何故涙を流しているかは分からない
しかし
「鉄拳!!」
蒼井が元元不良に放った鉄拳を見て分かることが1つある。
蒼井の拳が、ただのパンチが
龍に見える
ただの龍ではない、輝く黒い鱗の付いた美しき龍ー。
その龍に呑まれる元元不良を見ながら
「…煌龍がキレている」
隼は呟いた。
それが八つ当たりだと彼は知らない。
呟いた声はグリエスの耳には入らなかったが
「オイ!隼ァ、あれって蒼井はキレてるのか?」
周りの敵を一掃したグリエスが、地獄の入り口を殴りつけた隼の肩を掴み問い掛けるグリエス。
その問いに隼は『コクリ』と頷く。
そして
「…鉄拳、蒼井の親からの遺伝。
これを使うのは蒼井がキレた時だけだ…」
何故その結論が出たかを語る。
「遺伝かぁ、つまり奴の家族はあんな化け物じみた力を超能力以外で使えるのか?」
グリエスが質問を続ける。
「親父が使えたらしい…」
「……………」
『使えたらしい』過去形の言葉を聞き、グリエスは沈黙する。
自分も親が居ない苦しみを知っているから…
悲しかったが、予想外の仲間の存在に不謹慎ながらもホッとする自分が居ることにグリエスは怒りを覚えた。
「…しかし、相変わらず過ぎる…」
「昔からなのか?」
「ああ…」
「昔からこの破壊力」
「落ちることなくな…」
蒼井の鉄拳は凄まじい破壊力だった。
その一撃だけで元元不良は大半が倒れ伏していた。
「オーイオイ、なんだよこらぁよぉ?」
不意に響いた後ろからの声に驚き振り向く2人。
「お前が『警察官程度なら奴らだけで十分!遅れて行こう』などとほざくから…」
「うるせぇ!テメーもこんなん予想出来たかよ!?」
「まぁまぁ!落ち着きなさいよ!零汰、剛」
明らかに今までの奴とは違うーー実力者3人の登場に驚く事しかできない。
「なんだ?お前ら?」金髪で頭にバンダナを巻いた男ーー剛が顔を近づけ一際大きな声で尋ねる。
「生血見だ、名前くらいは聞いたことあるだろ?」
そこに鉄拳で倒せなかった残党を潰した蒼井も参戦する。
その顔は少なからず落ち着いていた。
十分に八つ当たりしたのだろう。
「生血見…貴方達のような人が出て来ると此方としてもやりずらいのですが…
手を引いて頂けませんか?」
丁寧ながら氷のように冷たい言葉を吐く男ーー零汰が取引を持ちかける。
「そういう訳にはいかないね
こっちも仕事だからな」
その取引を蒼井は当然断る。
「なら喧嘩だぁ!破壊だぁ!」
剛が叫びだす
それは3人の中でまだ蒼井達に言葉を掛けていない女によって制される。
「どうしても…なんだね」
交渉決裂を再確認される
「もちろん」
先程と答えは変わらない。
「なら、あんたは私と…剛はそこの髪長!零汰はそこの眼帯!」
女は適当に1対1を指示する。
そうして互いは向会う。
「ああ〜!てめ〜は強ええんだろうなぁ!?」
剛は自身の神のご加護、ベルトのバックルを戦闘携帯ーー先端に細長い爪が3本生えた拳、『エッヂ』にする。
「強ええに決まってるだろ〜が!」
グリエスが叫ぶ
剛に負けず劣らずの大声だ
「おもしれえええ!
名乗っといてやる!鉄天剛だぁぁぁ!!
てめ〜の名前がききてええぇぇ!
名前を聞くにはまず自分が名乗るのが筋らしいからなぁぁぁ!」
戦闘馬鹿だ、コイツ…グリエスはそう思った。
自分と同じで好戦的でも悲しい限りだ
そして口を開く
「馬鹿と弱者には名乗らねえ…
お前は前者だ」
落ち着いた声で静かにそう言った。
「うるさいですねぇ…
剛は……」
「…………………」
こちらは剛達と違い、静か過ぎる。
「死ぬ前に貴方のお名前をお聞きしましょう……」
一見すると優等生。
着こなした学ランに目元の小さい眼鏡が特徴的な零汰は隼に尋ねる。
「………………」
しかし隼は口を開かない
「どうしました?……怖いんですか?
生血見ともあろう方が?」
その瞬間、零汰の隣を一筋の閃光が翔る。
そうしてようやく口を開く
「生血見じゃない………全日本友好及び完全制覇組合茶翼組首領…」
一度区切る
「茶翼隼だァ…」
零汰を睨みつけて静かに叫ぶ
「あんたみたいな奴が仲間に欲しいが無理だろ?」
俺の前に居るのは女…
やりづらいことこの上ないよ
「無理に決まってるだろ?」
取り敢えず質問に答える。
そして、思ったことを言ってやる
「テメー等は下らねえことをしているだけだ
わからないか?
元元不良ともあろう者が…恥はないのか?」
「……無いよ」
ロングスカートのセーラー服を着た女はどこか寂しそうに答える。
「なら、俺が恥を教えてやる!
妖刀黒桜!」
黒桜を抜く
「どうでも良いけどさ?
そういうカッコいい台詞を言うときは相手の目を見て言った方がもっとカッコいいと思うよ?」
痛いんだよ!女の目を見ると痛いんだよ!!
「とにかく倒すぞ、名前は花咲蒼井だ」
さすがに名乗っておくのが礼儀かな
「紅花乱…」
互いに日本刀を片手に走りだす。
私の力不足で零汰の名字を文中に書くことが出来ませんでした。
なのでここで表記させて頂きます。
『雪永零汰』です。
覚えてくださると幸いですm(_ _)m
それと訂正、第7話が無いことに気付きました。
番外編が第7話ということにしてください。
あとはいくつか誤字がありますがご了承ください。
蒼井「で、何故0:00に更新なんだ?」
作者「悪魔で金曜日が締め切りだからさ!!」