ボッチ50 ボッチと人里(仮)
年末年始投稿です。
《経験値を獲得しました。
ステータスを更新します。
“異世界勇者”のレベルが70から71に上昇しました。
“勇者”のレベルが0から30に上昇しました》
ステータスの変化はこれで終わらなかった。
《魔法〈空間属性魔法〉のレベルが1から5に上昇しました。
パッシブスキル〈魔力操作〉のレベルが1から2に上昇しました。
アクティブスキル〈空間属性魔術〉のレベルが4から6に上昇しました。
名声を獲得しました》
へ? 名声を獲得? 何故?
《名声を最適化します。
二つ名【献身賢者】【絶空の魔導師】【人類の恩人】を獲得しました》
人類の恩人!?
《条件を満たしました。
種族“勇者”を獲得しました》
しゅ、種族が増えた!?
《これまでの功績を讃えます。
種族欄にレベルが表示されるようになりました。
種族“異世界人”のレベルが1から2に上昇しました。
二つ名【覚醒者】を獲得しました。
最適化を行います》
途端、身体中、いや魂や精神も含めて俺という存在全体に溢れんばかりのエネルギーが満ちた。
温泉でレベルアップした時とはまるで違う。
あの時はエネルギーを注ぎ込まれ俺自身が大きくなったような感覚であったが、今回は内から湧き出すエネルギーがそのまま俺に成ってゆく。
温泉の時と同じく生まれ変わる、生まれ直すような不思議と心地良い感覚はあるが、どちらかと言う成長と言う言葉の方が合う気がする。
《魔法〈全属性魔法〉〈空間属性魔法〉のレベルが5から10に上昇しました。
〈木属性魔法〉〈氷属性魔法〉〈時間属性魔法〉のレベルが1から5に上昇しました。
〈聖属性魔法〉が〈聖魔法〉に覚醒しました。
加護〈旧神の力〉が固有スキル〈旧神の力〉に覚醒しました。
ギフト〈空洞〉〈風景同化〉が固有スキル〈空洞〉〈風景同化〉に覚醒しました。
固有スキル〈不屈〉のレベルが1から2に上昇しました。
パッシブスキル〈魔力操作〉のレベルが2から5に上昇しました。
〈再生〉が〈超再生〉に覚醒しました。
〈魔力回復〉が〈魔力超回復〉に覚醒しました。
〈並列思考〉が〈超並列思考〉に覚醒しました。
〈高速思考〉が〈超速思考〉に覚醒しました。
〈邪属性耐性〉が〈邪属性適応〉に覚醒しました。
〈状態異常耐性〉が〈状態異常適応〉に覚醒しました。
〈魔力耐性〉が〈魔力適応〉に覚醒しました》
怒涛の勢いで魔法やらスキルやらも覚醒した。
一度レベルアップが終わったと思ったのに、何故かもう一度だ。
おそらく、最初のスキルレベルアップとは別件、種族レベルの上昇、その最適化というものに付随したレベルアップなのだろう。
何が何だかよく分からないが、色々と大幅に強くなった事だけは確かだ。
一つ一つ試すまでも無く、さっきまでとまるで違う。
まあ、何よりも強大なのは何故このタイミングで急激にステータスが更新されたのかと言う疑問だが。
もはや色々有り過ぎて、最初の方は何に驚いていたのかもハッキリしない。
『一体、何が起きたんですか?』
今起きたことを報告しようとすると、その前に女神様が口を開いた。
俺の変化は外からも分かる程のものだったらしい。
『私の授けたギフトが、完全にあなたの一部になりました』
「何か急に、ギフトから固有スキルになりました」
相談したかったので正直に話す。
『ギフトから固有スキルに? やはり完全に自分の力としたようですが、何故このタイミングに?』
「それ以外にも、急にレベルが上がったんですよ。それもスキルレベルだけじゃなくて職業レベルが。後、変な二つ名も付きました」
『二つ名もこのタイミングで?』
女神様も何故かは分からないようだ。
『それに職業レベルが上がった、ですか? 職業はその職業によって何によってレベルアップするかが変わる、例えば料理人なら料理で、魔術師なら魔法を使う事で戦闘を行わなくともレベルアップしますが、あなたの職業は異世界勇者と勇者の筈。レベルアップ要件は勇者らしい行動の筈です』
「じゃあ、勇気を出して同級生を救出しようと頑張っていたからですかね?」
『確かに考えてみれば、それで1レベルくらいなら上がりそうですね』
「……30レベル上がりました」
『……また魔王みたいな相手を倒したので無ければ、魔物の群れでも殲滅しないとそこまで上がりません』
「攻撃魔法自体使った覚えが……」
……そう言えば、災害魔法をさっき使った。
すぐにレベルアップはしていないから炎が直撃したと言う訳では無さそうだが、消火の為に出した水は広がり続けている。
今になって、何かを巻き込んで倒したのかも知れない。
『その顔は、何やら心当たりが?』
ジト目の女神様。
「いえいえいえ! 早く同級生達を助けましょう! こんなに悠長に話している暇なんか有りません!」
『そうでした。一刻も早く助けに行きましょう!』
こんな時ばかりは不謹慎だが同級生達が襲撃されたのに感謝だ。
さっさと救出して話題を完全に逸してしまおう。
「“英雄の背中”」
空間を繋ぐ門が開かれる。
レベルアップ関係無しにもう実にスムーズに発動できる。誠に遺憾ながら慣れてしまった。
本日何度目だろうか?
さて、今度は何が飛び出すか?
転移門の先には青い海青い空、燃え盛る城塞都市。
うん? 燃え盛る城塞都市!?
「めめめ女神様! 何故か成功しました! あれですよねあれ!? あの燃えてる城みたいな街がメリアヘムですよね!?」
『そうです! あれがメリアヘムです! でかしました!』
こうして遂に、俺は転移魔法を成功させた。
誤魔化す為に発動して成功したのは腑に落ちないが、実に腑に落ちないが、なにはともあれ成功は成功だ。
そしてこの世界で初めて、俺は人里を目にするのだった。
陥落してるけど……。
次話は明日の投稿を予定しています。




