ボッチ43 大魔術師ボッチ
さり気なく新たに習得した空間属性魔術が他の魔術スキルよりも高レベルになったので、元々獲得している魔術の修行も開始する。
出来れば同時並行で全て上げたいが、同時展開は何属性まで行けるだろうか?
既に展開している空間属性、時属性に加え既にレベル4の水属性を展開してみる。
おっ、成功した。
空間の歪み、時の歪みに加え水球が幾つも生み出された。
だがやはり少し難しい。いや、多分両手にペンを持って文字を書くよりは簡単だ。しかし手足を動かすように自然にとはいかない。集中力がいる。
しかしまだまだ限界と言った感じでも無い。
今度は火属性を試みる。
む、想像以上に難しくなった。
水属性と火属性が反発している。
魔力の効率的な属性変換が出来ない。
お湯や蒸気を生み出すのなら時と空間と水を同時展開するよりも簡単そうだが、それぞれ単体で維持するのは難しい。
それぞれの属性が属性を打ち消す不純物となり混ざろうとし、それを別けるのに精密な魔力操作が必要だ。
だが、俺は楽する為の苦労なら惜しまない男。
色々と試行錯誤を続ける。
そうだ、魔力を操作して別け難いのなら、魔力自体を変えれば良い。
温泉で何時の間にか獲得していた力、魔力変換、魔力精製を使ってみる。
やはり、このスキルは魔力の質を変える、魔力自体を変化される力らしい。
魔力感知と魔力操作で魔力の流れを捉えつつ、魔力変換で魔力特性を変え、魔力精製でその純度を上げ混ざらないようにする。
この試みは成功した。
スムーズに火と水が両立する。
良し、この調子でどんどん行こう。
次は風属性。
火属性に飲み込まれそうになるが、少し魔力を制御すればコツが掴めた。
土属性。
これは難しい。水属性と風属性と反応しそうになる。
だからと言ってこれは避けて通る事ができない。使う順番としては反応が少ない風と水を使ってから火と土を使うと言う方法もあるが、おそらくその発動方法が一番難しい。火と土を発動するときに反応してしまう属性が二つもあるからだ。
だから多重展開方法としては多分これが最適解。
《熟練度が条件を満たしました。
ステータスを更新します。
アクティブスキル〈火属性魔術〉のレベルが2から4に上昇しました》
試行錯誤している内にスキルレベルが上がった。
操作能力が上達し、火属性の魔力に対する理解を深めたからだろう。
そしてスキルレベルを上げた事で、より深く火属性について分かるようになった。
風属性と水属性と同等に使える。
その状態で再び挑戦する事で、遂に土属性の発動にも成功した。
《熟練度が条件を満たしました。
ステータスを更新します。
アクティブスキル〈水属性魔術〉〈風属性魔術〉〈火属性魔術〉のレベルが4から5に上昇しました。
アクティブスキル〈土属性魔術〉のレベルが1から5に上昇しました》
そして何故か、四属性全てのレベルが上昇した……。
土属性に関しては1から5の大幅上昇だ。
どうやら、楽をする為にとんでもなく高度な操作を行っていたようだ……。
《熟練度が条件を満たしました。
ステータスを更新します。
アクティブスキル〈並列魔法〉を獲得しました。
アクティブスキル〈並列魔法〉のレベルが1から5に上昇しました》
……まあ気にせずに、修行を続けよう。
怒涛のレベルアップでもはや当たり前のように多数の属性魔法を維持できる。
今度は光属性と闇属性も追加だ。
このニつの属性は互いに反発し合うようだが、何ら問題無い。
二つ同時に追加出来た。
しかし四属性との相互作用が想定以上だ。
六属性合わせて全属性と呼ばれているように、それぞれ関連が深いのだろう。
それでもスキルの影響か、今の俺にとって難しいと言う程のものでも無い。
《熟練度が条件を満たしました。
ステータスを更新します。
アクティブスキル〈光属性魔術〉〈闇属性魔術〉のレベルが1から5に上昇しました》
もはや当たり前のようにレベルが急上昇した。
《熟練度が条件を満たしました。
ステータスを更新します。
魔法〈全属性魔法〉のレベルが2から5に上昇しました》
魔法適性も急上昇し、遂には手足を動かすように六属性を並列に使う事ができるようになった。
それにしても、時間的には空間属性と時属性の方が長く発動し続けているが、こちらは上がる気配が無い。
特に時属性はレベル1のままだ。
やはり難題を解決する事がレベルアップに繋がるらしい。
そして時属性のレベルが変わらない事から、更にステータスには現れていない適性と言うものも存在するのだろう。
まあ、急ぐ修行でも無いし気長に練習を続けよう。
そうだ、氷属性と木属性も。
おっ、この二つの属性は他属性との反応性が大きい。
氷も木も、ポケットに収納出来る某モンスターのイメージから火に弱そうだとは思っていたが、それだけで無くかなり複雑だ。
木属性に関しては六属性の大部分と反応する。加えて聖属性とも。全属性に分類されていないのも納得出来る特異性だと、全属性を高めた今なら分かる。
しかし、その六属性に習熟し、聖属性をマスターしている今の俺にとっては大した反動では無い。
上手く発動出来るかは兎も角、発動させるまでなら簡単だ。
後は精度を高めていけば問題無い。
問題が有るとすれば、氷属性と木属性のクリエイト系魔法は使った後に生成物が、氷と木材が生まれてしまうという点。
土属性も石が生み出され続け、水属性も当然水が生じるが、石は元から有る石と混ざって判別がつかない状態に、文字通り土に還り、水は染み込んで消えるが、氷と木材は不自然さしかない。
まるでゴミを捨て続けているような何とも言えない気持ちになってくる。
《熟練度が条件を満たしました。
ステータスを更新します。
アクティブスキル〈氷属性魔術〉〈木属性魔術〉のレベルが1から5に上昇しました》
そう思っていたら、これまたスキルレベルが急上昇した。
丁度いい区切りだから魔法練習は一旦やめ、温泉から上がるとしよう。
こうして今日も異世界での一日が始まった。
次話は今日か明日投稿します。




