地理解説
地理解説です。長くなってしまいました。
・人類圏
ジエスタン大陸とアスリオン大陸の事を示す。近年、デルクス大陸が再発見され開拓が始まったが、こちらは新大陸と呼ばれる。
中央城塞都市メリアヘムがその中央、地中海メリアの中央に位置する。
メリア海は東西に長い楕円形で、北にジエスタン大陸、南にはにアスリオン大陸が存在している。
・ジエスタン大陸
北大陸とも呼ばれる。人類圏の中央に位置する中央城塞都市メリアヘムから見て北に位置する。
東側には五大列強のケペルベック神国、正統ケペルベック帝国、東端にパリオン王国が存在している。大陸東部の約三分の二がこの三国に占められている。尚、その西は山脈で、その更に西は砂漠地帯。オーラム山脈にはドワーフが多く住むドワーフ王国があり、砂漠地帯は交易路として栄えている。また、砂漠地帯デュラマには多くの古代遺跡、二代魔王から三代魔王の時代のものと思われるものが多数眠っており、発掘と研究で栄えている魔導都市も存在する。その更に西は国々が乱立しており、アスリオン大陸との交易に有利な西端付近が発展している。
・アスリオン大陸
南大陸とも呼ばれる。人類圏の中央に位置する中央城塞都市メリアヘムから見て南に位置する。
東端には五大列強のパリオン王国、西側にはモルティエ選帝国、南端にはオスケノア王国が存在している。
大陸中央付近にはエルフ大森林と呼ばれる広大な森林が存在し、その奥地にはエルフ族の集落が存在する。エルフ大森林の南には世界最大の湖マッシュール湖が存在し、その湖畔では多数の国々が栄えている。
・デルクス大陸
初代魔王によって実質滅ぼされた大陸。魔王封印後も高濃度の瘴気で汚染され、魔獣の跋扈する魔境となった為に人類はこの大陸から去った。
アルガンリテル伝説として誰もが知る存在ではあり続けたが、近年までは伝説の中だけの大陸とされて来た。
二百年程前にオスケノア王国によって再発見され、現在では外縁部の開拓が進んだ。しかし未だ下手なダンジョンよりも濃い瘴気で大陸全土が汚染されており、当たり前のように高位の魔獣が出てくる為、開拓領域は外縁部の域を出られていない。
・大帝国ケペルベック
元々はジエスタン大陸東端に存在した国家。領土拡大に成功し、アスリオン大陸へも進出した。しかし八代魔王により王都を含めジエスタン大陸側が壊滅させられ、アスリオン大陸東端付近のパリオン地方パリオンベックに首都を移す。
八代魔王討伐後にアスリオン大陸を復興、ジエスタン大陸の領土を拡げる形で元々ケペルベック王国と呼ばれていた国家は大帝国ケペルベックと呼ばれるようになる。
最大版図はジエスタン大陸とアスリオン大陸の半分、つまり人類圏の半分、世界の東半分を支配するまでに到ったフィーデルクス人類史上最大の国家。
しかし十代魔王の時代に魔王の侵攻と後継者争いが重なり大きく三つの国家に分裂する。その時には魔王との戦いによりアスリオン大陸の領土は四分の一以下に減少し、度重なる帝位継承者争いによる反発からの離反やその隙を突いた侵攻によりジエスタン大陸側の領土も三分のニ程度に減っていた。
現在ではアスリオン大陸とジエスタン大陸の東端にパリオン王国、ジエスタン大陸の南東に正統ケペルベック帝国、ジエスタン大陸の北東にケペルベック神国として後継国が存在している。
・五大列強
世界の覇権を争う、もしくはそれだけの力を持つ五つの超大国家。
ケペルベック神国、正統ケペルベック帝国、パリオン王国、モルティエ選帝国、オスケノア王国の五ヶ国がそう呼ばれる。
・ケペルベック神国
大帝国ケペルベック後継三国の一つ。人口約三千二百万人。
首都は大帝国ケペルベックの前身、ケペルベック王国の王都があった神都ケペルベック。ジエスタン大陸の北東側に位置する。
十代魔王討伐後、魔王討伐の功績により即位を宣言したウレア一世に反発したケペルベック教皇リーペル三世が即位を宣言し生じた。教皇であったリーペル三世の支持者達によって構成された為、現在でも宗教色の強い国家となっている。
大帝国が分裂してからも三国の国教は同じくケペルベック教、初代皇帝達歴代の偉人を神格し崇拝する宗教であった為、最初の首都があった神都ケペルベックが聖地である事には変わりなく、宗教権威も丸ごとリーペル三世について行った為に変わる事はなかった。ニ国から参拝に行くものも多く、宗教権威自体は二国も認めている。
その宗教権威が最大の武器であり、それよって国を維持してきた。それが無ければ実力的に二国に劣る。経済も軍事も第三国から見たら圧倒的だが、ニ国からすれば劣る同格では無く格下とすら言える。
またニ国を上回っている点として、星槍と星杖、七星宝具を二つ所持している。この抑止力と宗教権威が三国との均衡を保ってきた要因であり神国の強みである。
・正統ケペルベック帝国
大帝国ケペルベック後継三国の一つ。人口約三千五百万人。
首都は大帝国ケペルベックの副首都と呼ばれ、当時ジエスタン大陸では最も栄えていた港湾都市ディアメシア。大帝国ケペルベックではメリアヘムに最も近かった大都市。
十代魔王討伐後、魔王討伐の功績により即位を宣言したウレア一世に反発したディアメス公爵リュートリッヒが即位を宣言し生じた。リュートリッヒは元々帝位継承権第一位の次期皇帝最有力候補であった為、その支持者も有力貴族が殆どであった。
分裂後は地理的な関係上、離れた有力貴族も多かったが、それでも最も有力貴族領の数が多く、それに伴い有力である理由、先祖伝来の古代遺物や秘宝、有力な鉱山や肥沃な穀倉地帯をそのまま受け継いだ。国土の質と宝物の質が高い。七星宝具は星盾しか所持していないが、強大な宝具は及ばなくとも他に多数持ち、有力な交易都市も多く抱える。
しかしその分、貴族の力も大きく、皇帝位も貴族達の選挙によって決まる。候補者は帝家にしか選出出来ないが、その中から選ぶのは貴族である為、皇帝の権威が相対的に低い。
・パリオン王国
大帝国ケペルベック後継三国の一つ。人口約四千五百万人。
首都はアスリオン大陸の東端近く。大帝国ケペルベックの帝都パリオン。ジエスタン大陸とアスリオン大陸の東端に位置している。後継三国の中では最も広大な領土を誇るが、海峡によって領土が分断されており、二国が存在するジエスタン大陸においては三国の中で最も国土が小さい。
十代魔王討伐後、魔王討伐の功績により即位を宣言したウレア一世により生じる。分裂時の支持層は民衆と低位貴族、そして軍部。
後継三国の中で最も広い国土を獲得したが、海峡により国土が分断され、また有力な大帝国の遺物で確保出来たのは当時ウレア一世が使用していた星剣くらいなもので、大帝国への道を拓いたパリオン王朝三代オルカス一世の時代に大々的に鉱山が開発された為、鉱物資源等も少ない。
しかし人口が多く、要衝かは兎も角として規模の大きい都市が多く存在する。また建国時に軍部が有力な支持者だった歴史から、軍事国家となっており、強大な軍事力を保有している。
・モルティエ選帝国
アスリオン大陸西部に位置する現フィーデルクス最大の国土を持つ国家。人口も最も多い。人口約七千万人。選帝への被選挙権及び選挙権を持つ選帝公が治める選帝公国の集合体。国土は肥沃でフィーデルクス最大の農業大国として知られる。
世界最強との呼び声も高いS級冒険者【竜王】ラダガスが切り拓き討伐しきった広大な魔獣跋扈する魔境、モルティエ大森林の跡地に築かれた国家で、魔獣が最も少なく安全な国家と言われる。
ラダガスに睨まれる事を恐れた当時この地方を治めていた国王達が、戦乱を起こさないよう一つの国家にまとめ上げ成立した。五大列強の中では最も新しい国で七百年ほど前に建国された。
成立した経緯から政治情勢も比較的平和かつ穏やかで、大国だが選帝公国と言う適度な距離感もある為に肥大化と権力集中で腐敗していると言うような事もない。食料自給率が安定していると言う要因も大きく平和な国。
しかしその分、軍事力が些か低い。また、あくまでも選帝は議長的な役割であり、選帝公は同格な為に意思決定も遅い。が、軍事力が微妙なだけであって肥沃で平和な国土である為、この国で活動する者は多く、在野の戦力は非常に豊富で、意思決定も遅いが故に、在野の力が活躍する事の多い国家でもある。
・オスケノア王国
アスリオン大陸南部からその先の諸島に広がる国家。近年、デルクス大陸に入植を始めた海洋国家。主な都市は諸島部に広がり、アスリオン大陸部の国土は大国とは評せども列強と言う程ではない。人口三千四百万人。
その歴史は古く、列強の中では最古、大帝国ケペルベックの前身であるケペルベック王国が誕生する以前から存在する。四代魔王の時代に魔王軍から逃げて諸島部に逃げた人々を祖とする。
古すぎて正確な建国年などはオスケノア王国内に残っていない。また、大陸部に首都を移しては滅ぼされているので、記録の散逸も激しい。そしてその頻繁にある首都の遷移が記録の消失と共に新王国誕生であるとの学説まであり、少なくとも確実に存在した、今の場所が首都となった約千五百年前を建国時としている。実際は直系続きてこそ無いが少なくとも四千年前から王家は変わっていない。
国内で繁栄を積み重ねたと言うよりも、魔王侵攻の度に避難してくる難民を受け入れる事で拡大した国家。国土は魔王に攻められない大陸の端、諸島であっても交易路の途中にある訳でもないと言う立地から、多文化の流入が少なく時代の変化は少なかった。大陸部に進出して文化交流を進めるも、アスリオン大陸への魔王侵攻の度に大陸部から撤退させられている。
海軍は無類の強さを誇るが、他の軍事力は列強と呼べる程のものは無く、画期的な技術が開発された事も世界史に名を残す英雄が誕生した事も無い。
失う事で得たものは少ないが、失わなかった事で積み上げて来た。
近年、デルクス大陸に進出し、あらゆる面を飛躍させたが、それが無ければ規模は兎も角、列強と呼べる程の力は無い。そしてデルクス大陸はデルクス大陸で精一杯であり、動員出来る戦力は少なく、資源もデルクス大陸から産出されるものの多くはデルクス大陸で使われている。
・中央城塞都市メリアヘム
人類圏の中央に位置する城塞都市。人工島。三代魔王が築いた魔王城の跡地で、元々はそこに発生したダンジョンを抑える目的で陸地が築かれ、いつしか城塞となり、現在は百万人を収容出来る世界最大の城塞都市にまで発展している。
大都市であるが、その存在意義、人類の最後の砦であると言う意義が忘れられる事は無く、百万人規模の都市になっても建物の一つ一つが城の役割を果たす様に配置されている。
約五千年間、陥落せずに人類最後の砦であり続けている。
勇者軍の拠点であり、勇者軍が治める都市でもある。
人類圏の中央と言う立地から、各ギルドの本部や国際組織の本部が集まっており、本来は砦なのだが世界屈指の繁栄を見せている。
・ブルゾニア共和国
ジエスタン大陸北西部の大国。豊富な資源が産出出来る巨大ダンジョン【ゾニアの国庫】を中心として栄えたダンジョン中心の国家。人口八百万人。
その為、大国と呼ばれる国家の中でも数多くの戦力を保有していた。
魔王軍四天王【黒炎山】ディメグデウス率いる魔王軍により滅ぼされる。首都は壊滅し、ダンジョンは開かれ徐々に魔物が侵出している。
・セフィーロ公国
アスリオン大陸中央部、マッシュール湖の北東の国家。
かつて存在したロシュマール王国のセフィーロ公爵がロシュマール王国滅亡時、公爵領を独立させ誕生した公国。都市を一つしか持たぬ国で、国土は岩山に囲まれた天然の要塞。鉱山資源が豊富で、数は少ないが騎士団も精強であると評判であった要塞国家。人口一万人。
一夜にして魔族に滅ぼされる。
・サンピエ王国
アスリオン大陸中央部、マッシュール湖の北東の国家。
ロシュマール王国の王弟サンピエが王国の滅亡時独立して建国した国家。
ロシュマール王国をクーデターにより打倒し建国された新王国を滅ぼし、ロシュマール王国中央部を手に入れたロシュマール地方最大の国家。
人口約八十万人。
周辺国、特にロシュマール王国から独立した国家との仲は良好。これはロシュマール王家の血を引く者が邪竜ファブニルを封印していると言う事情からで、実は周辺国はサンピエ王国に合流し再びロシュマール王国となろうとしていたが、クーデターによりロシュマール王朝が打倒された経緯から、リスク分散の為にそれぞれ独立国家としていた。
ロシュマール地方自体が、一つの国と言ってもそこまで間違いでは無い。尚、ロシュマール地方の総人口は三百万人程。
しかしその結束力で友好国の助けに入り、また反対に協力を受けるも魔族に滅ぼされてしまった。そして邪竜ファブニルは解放されてしまった。
次話は閑話の登場人物紹介を投稿したいと思います。




