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孤高の世界最強~ボッチすぎて【世界最強】(称号だけ)を手に入れた俺は余計ボッチを極める~  作者: ナザイ
第1章 ボッチの自主的に過激なスローライフ

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閑話 勇者軍1 緊急世界会議

節分投稿です。

 


 中央城塞都市メリアヘム。


 アスリオン大陸とジエスタン大陸のニ大大陸に囲まれた地中海の中央、人類圏のおおよそ中央に位置するこの都市は、百万人を収容できる大都市で有りながら、要塞でもあるフィーデルクス世界最大の城塞都市だ。


 魔王に脅かされてきた人類が長きに渡り増築を重ねて来た砦であり、全てが魔王に対抗する為に造られて来た人工島である。

 その起源はおよそ五千年前、史上第三の魔王ゼルアノスの討伐後にあるとされ、以来五千間陥落する事なく、人類最後の砦で有り続けた。

 魔王に大陸中を蹂躙されても、他方の大陸への侵攻は食い止めてきた大要塞である。


 この都市には各種ギルドなど、国際組織の本部が集結している。

 世界的に重要な機関は殆どこの都市の中だ。


 その街並みは独特で、ただ城塞都市であると言うだけで無く、五千年もの間、何度も増築され修復されてきた事により、様々な時代と地域の文化が入り混じっている。

 守り重視でそれぞれの装飾性は少ないが、それを個性の数により補う美しい都市だ。


 城の一部だと言う以外の共通点は屋上。


 そこは畑だ。


 最後の砦と言う前提から、長期の籠城、つまり自給自足が可能なようにほぼ全ての屋上が畑になっている。

 ついでに街路樹も全てが果樹や薬になる木である。


 曰く、メリアヘムは雑草の一本に至るまで有用植物だと言う。


 また街のいたる所に石像や銅像が置いてあるが、これも飾りでは無い。

 全て歴代の錬金術師達が造り続けて来たゴーレムだ。

 魔王軍との戦いを経験した事のある、戦い抜いたゴーレムまで現存しており、現在伝説に謳われているゴーレムまで存在する。


 そしてメリアヘムの象徴、都市の中央に位置するのは大神殿。

 フィーデルクスの神々を遍く奉る神殿であり、フィーデルクス世界で現存最も古い神殿である。

 元々はメリアヘムの大神殿と呼ばれていたが、いつしか大神殿と言う言葉だけでこの神殿を指し示すようになった、誰もが認める神殿である。どこの国でも大神殿と言うだけで伝わる。


 管理するのは神官では無く、都市を管理する勇者軍。

 一つの城であるかのような城塞都市の中心であるので、都市管理者が管理している。

 どの宗教からしても重大な地であり、更に人類全体にとっても重要拠点である為、混乱を許さない為に勇者軍が管理していると言う事情もある。


 勿論神官も存在するが、居るのは神殿の規模に合わない程度の人数。

 また、全ての神々を祀る場所である為か、特定の神が最も力を発揮できる聖域と言う訳でも無く、神託を受け取るなど出来る高位の神官も、通常時は常駐していない。


 しかし今は魔王軍の脅威に曝された非常時。


 各地から替えの効かない人材が集まっていた。


 所謂聖女や聖人と呼ばれる者や、神の加護を授かった者、神託を受け取れる者、その中でも非戦闘員が集結している。


 更にはその非常時にすら集まらないような人々も集結していた。


 既に魔王軍によって滅ぼされてしまった国々の主要人物達だ。


 そして大神殿の一角、建物的には一部なのだが神像の一つも置いていない勇者軍の大会議室。

 そこでは今、世界会議が開かれていた。



 会議の参加者は勇者軍主要幹部が全員、各神殿の巫女と言った主要人物、そして各国の代表者。大臣や宰相、王子王女から王太子に皇太子、王自ら出席している国も少なくない。


 だが、ここにいる人々は今日招集された者達だ。

 何ヶ月も前から準備していた者達では無い。


 それにしては会議の規模は大きかった。

 間違い無く、世界会議と呼べるものであった。


 勇者軍主要幹部は簡単に集まれる。

 元々この都市は勇者軍の拠点だ。

 主要幹部が居ない事の方が珍しい。


 尚、勇者軍とは言い換えると対魔王人類軍、魔王に対抗するために人類が一丸となって集結した軍勢だ。

 魔王戦役の先頭には常に勇者がいた事から、いつしか勇者軍と呼ばれるようになった。まあ、時代によっては魔王を倒した者を勇者と読んだ事もあったが、兎も角、勇者軍に勇者が居なかった事は無い。


 そして各神殿の主要人物も簡単に集められる。

 非常時につき、ここ大神殿に巫女や聖人と言った主要人物達が集まっていたからだ。


 問題は各国代表者だが、彼らの多く、参加者の大部分を占める彼らは王子王女と言った若い世代だ。


 実は、メリアヘムには世界最大の学園も存在する。


 昔から、魔王軍に問わず力ある存在は様々な勢力から狙われてきた。そんな中で絶対中立を掲げる勇者軍の治めるメリアヘムに、彼らは保護を求め続けた。

 それによって、メリアヘムはいつしか高名な学者や魔術師、錬金術師の集まる都市になっていた。

 そんな彼らに教えを求めた者達が集まり、メリアヘムは学問の都市としても名を馳せるようになった。


 そうして建てられたのが、勇者立メリアヘム学園だ。


 最高峰の学問と技術を学べるだけでなく、単純に立地が世界の中心にあると言う理由からも、この学園の生徒は多い。


 そして最高峰の学園。

 ここで高い成績を残せばそれ即ち世界中に通用する箔付けとなる。

 よってこの学園には世界各国の王侯貴族が集まっていた。


 しかし多かった訳ではない。

 高い成績を残せなければ、また他国の者に無残に負けてしまえば、汚点となる可能性もあったからだ。


 しかし魔王軍が現れてからと言うもの、急激に各国の主要人物達の子弟が集まり出した。

 メリアヘムは、世界屈指の安全地帯であるからだ。

 本国に万が一の事があった時に備え、各国は子弟を送り出した。


 残る王や大臣達は、滅びた国の者達や、元々別の交渉で来ていた者達だ。


 そう言う事情で、その日の招集でも世界各国の主要人物達が集まったと言う訳である。


 全員座った所で、議長を務める勇者軍総統デオベイル・デューク・フォン・シェルトベインが立ち上がる。


 彼はフィーデルクス史上最強と謳われる放浪の勇者シェルトベイン、およそ千年もの時を生き、三柱の魔王を討伐したとされる半ば以上伝説の人物の子孫、シェルトベイン家の当主だ。

 魔王に備え代々勇者や賢者の血を取り入れ、反対に何人もの勇者を輩出して来た名家中の名家であり、家も勇者軍と同じく絶対中立を掲げているが、各国の名誉公爵位を押し付けられている名家の当主。


 そんなシェルトベイン家の当主の彼は元S級冒険者であり、シェルトベインの名に恥じない実力者だ。

 齢六十を超えているが、その衰えは微塵も感じられず、三十でも通用しそうな外見を保っている。

 シワの代わりに刻まれているのは無数の傷。それが彼を歴戦の勇士だとこれでもかと主張していた。


 立ち上がった彼の身長は二メートルを越えていたが、長身だと言う印象は抱きにくい。

 全体的に大きいからだ。

 だからと言って大男と言った印象も長身である事により抱きにくい。


 無数の傷が刻まれていても、遠くから見たら温和な印象だ。

 服装も固く、髪型も姿勢もぴっちりしゃっきりとしているのだが、それでも堅苦しい雰囲気は無く、どこまでも温和に感じる。

 大将軍や大貴族では無く、執事、それもじいやと呼ばれるタイプの執事と言った印象を受ける男だ。

 その眼光は、歴戦の勇士にしてはどこまでも優し過ぎる。


 しかしそんな彼に、今は優しい眼光は無かった。


 思わず何人もの代表者が椅子を後ろに引きずってしまう程、彼の眼光は厳しいものだった。

 その厳しい眼光は、会場に居る誰に向けられたものでも無かった。

 それでも、圧倒されずにはいられなかった。まるで龍の羽ばたきを遠くから眺めるように、意識させられた。


 遅れて皆、覚悟する。

 彼を変えた何かがあると。

 それが今、語られるのであろうと。


「新たな魔王が現れました」


 だが、その覚悟では足りなかった。



もう一話今日中に投稿します。

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設定集
〈モブ達の物語〉あるいは〈真性の英雄譚〉もしくは〈世界解説〉
【ユートピアの記憶】シリーズ共通の設定集です。一部登場人物紹介も存在します。

本編
〈田舎者の嫁探し〉あるいは〈超越者の創世〉~種族的に嫁が見つからなかったので産んでもらいます~
【ユートピアの記憶】シリーズ全作における本編です。他世界の物語を観測し、その舞台は全世界に及びます。基本的に本編以外の物語の主人公は本編におけるモブです。ボッチは本編のアンミール学園で裸体美術部(合法的に女性の裸を見ようとする部活)の部員です。

兄弟作
クリスマス転生~俺のチートは〈リア充爆発〉でした~
ボッチと同じ部活の部長が主人公です。

本作
孤高の世界最強~ボッチすぎて【世界最強】(称号だけ)を手に入れた俺は余計ボッチを極める~
本作です。

兄弟作
不屈の勇者の奴隷帝国〜知らずの内に呪い返しで召喚国全体を奴隷化していた勇者は、自在に人を動かすカリスマであると自称する〜
ボッチと同じ部活に属する皇帝が主人公です。

兄弟作(短編)
魔女の魔女狩り〜異端者による異端審問は大虐殺〜
ボッチと同じ学園の風紀委員(ボッチ達の敵対組織)の一人が主人公です。

英雄譚(短編)
怠惰な召喚士〜従魔がテイムできないからと冤罪を着せられ婚約破棄された私は騎士と追放先で無双する。恋愛? ざまぁ? いえ、英雄譚です〜
シリーズにおける史実、英雄になった人物が主人公の英雄譚《ライトサーガ》です。

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