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ボッチ27 ボッチと三日目の夜

 


 結局、ジャム用のビンは自然冷却される事を待つことにした。


 その間、ジャムは放置と言う事になるので鍋ごとアイテムボックスに収納。

 こんな事なら初めからアイテムボックスに収納しておけば良かった。

 鍋は使えなくなるが、そもそもジャムの他に煮込むものなど無い。


 そう気が付いた俺は夕食を迎える事にした。


 なんだかんだで日は沈んでしまった。

 焚き火を焚いたままでの夕食だ。


 立派な火は有るのに焼くものが無くてどこか虚しい。


 戯れに無限パンを千切り、木属性魔法の力で生み出した木の枝に刺してさっと火に潜らせる。


「どれ、……おっ、香ばしくなった」


 焼き立てふわふわパンがこんがりパンに変わった。

 地味ながら、ちょっした感動がある。


 そうだ、仕舞ったばかりだがジャムも使ってみよう。


 鍋に千切ったパンを直接つける。


「おお、ジャムだ」


 色々混ぜたから何のジャムかと問われれば答えられないが、普通にジャムである。

 普通に美味しい。

 まあ、普通でしかないが適当な実を摘んで初めて作ったのだから十分及第点だろう。


「ズズ……」


 どこか悔しいが、味噌汁が美味い。


 パチパチと弾ける薪。

 日の沈んだ空には満天の星々。


 なんだかんだで、充実している。

 良い夜だ。



 夕食を終えると、時々薪を新たに焚べながら、魔法の練習を再開した。


 水晶球で空間属性の歪みを生み出す。


 暗くて歪みが生じているのかよく分からないが、確かに魔力は持って行かれるから無事発動しているだろう。

 そもそも失敗した事は無い。

 この水晶球は万能だ。


 だが、火の前とは言え暗い中でやるとなんだか不気味だ。

 変なものが空間の歪みから現れそうな気がしてくる。

 炎の前で水晶球まであると、傍から見たら悪魔召喚の儀式をしているように見えるだろう。

 客観的に見て悪魔召喚の儀式に見える行為が健全である筈が無い。


 空間属性の修行は明るい時間帯にしよう。

 時と場所は弁えるべきだ。


 とは言っても、光属性はスキルまで習得したし、火もとっくに習得している。

 夜でこそ映える属性は残っていない。


 ん? 待てよ? 

 持っていなかった回復魔法の属性なら明るいかも知れない。

 少なくともおどろおどろしい何かが水晶球から生み出される事は無いだろう。

 回復魔法にそんなイメージは無い。


 ものは試しだ。


 魔導書に魔力を流した感覚を元に、その属性を水晶球に求める。


 すると全魔力を抜かれ、代わりに優しくも強い美しい光が生まれた。

 見ているだけで春の木漏れ日を浴びているような気分になる。

 同時に綺麗過ぎる光にも感じられた。


 これが回復属性、不思議な光だ。


 眩しい光では無いのに、かなり広い範囲を照らしている。

 いや、照らしているのでは無く、呼応しているように見える。

 自転車とかに付いている、光を当てられるとキラリと光るあれに近いように感じられる。

 反射じゃない。光を当てられたところが薄っすらと光っている。


 回復魔法は、人以外にも有効と言う事だろうか?


 そんな光景を繰り返し、長い間楽しんでいると、不意に脳内にアナウンスが響いた。


 《熟練度が条件を満たしました。

 ステータスを更新します。

 魔法〈聖属性魔法〉を獲得しました》


 回復属性と言う名称では無く、聖属性魔法だったらしい。

 聖なる光、確かにピッタリな気がする。


 どうせならこのままスキルを獲得してしまおうと、今度は水晶球無しで発動してみる。

 前は水晶球を使っていたが、散々魔術を使って慣れたから簡単な魔法なら自力で使える。

 多分、聖属性魔法もそれに漏れないだろう。


 目論見通り、水晶球で出したのと同じ光を生み出せた。


 《熟練度が条件を満たしました。

 ステータスを更新します。

 アクティブスキル〈聖属性魔術〉を獲得しました》


 そして早くもスキルを獲得した。

 既に他の魔法で魔法そのものの基礎技術が身に付いていたからだろう。


 この流れに乗じて氷属性の修行を行う。


 聖属性と比べて地味だ。

 氷のブロックをポコポコ生み出すだけ。


 炎の色に染まった姿は美しいが、やはり聖属性と比べると一段劣る。

 おまけに生み出せば生み出す程、冷えてくる。

 元々ここの気候は涼しい。寒い程でも無いが、長袖は必須だ。

 大量の氷はそんな涼しさを寒さに変えた。


 更には夜と言う環境がそこに拍車をかける。


 取り敢えず薪を増やそう。


 それでも少し物足りないので焚き火の数を増やしてみた。

 前後だと後ろが怖いので、前に元々あったものを一つ。斜め後ろの少し離れたところに二つ設置した。


 うん、今度は熱い。

 氷の増産を急ごう。



 《熟練度が条件を満たしました。

 ステータスを更新します。

 魔法〈氷属性魔法〉を獲得しました》


 焚き火が別の方向で修行の役に立った。

 短い時間で大量の氷。

 それは成果を短時間で返してくれた。


 《熟練度が条件を満たしました。

 ステータスを更新します。

 アクティブスキル〈氷属性魔術〉を獲得しました》


 スキル獲得もあっと言う間だ。


 今日はこれくらいにして布団に潜り込もう。

 また氷の分量を間違えて寒くなってしまった。


 早く布団で暖まりたい。


 俺はマジックテントを展開し、眠りにつくのだった。




 《3日目終了時ステータス》


 名前:マサフミ=オオタ

 称号:【異世界転生者】【異世界勇者】【複数の世界を知る者】【世界最強】【孤高ボッチ

 種族:異世界人

 年齢:15

 能力値アビリティ

 生命力 1011/1011

 魔力 1024/1024→1206/1206

 体力 1000/1000

 力 100

 頑丈 100

 俊敏 100

 器用 100

 知力 100

 精神力 100

 運 100

 職業ジョブ:異世界勇者Lv1

 職歴:なし

 魔法:全属性魔法Lv1→2、木属性魔法Lv1、→聖属性魔法Lv1、→氷属性魔法Lv1

 加護:転生の女神アウラレアの加護、龍の力

 ギフト:空洞Lv1→Lv5、風景同化Lv1→Lv3、超演技Lv1

 パッシブスキル:再生Lv1→2、→魔力回復Lv3、→睡魔Lv1、→就寝魔法Lv1、→並列思考Lv3、→高速思考Lv3

 アクティブスキル:鑑定Lv2、アイテムボックスLv1、魔力感知Lv1→3、魔力操作Lv1→3、→神託Lv1、→風属性魔術Lv3、→水属性魔術Lv1→4、→土属性魔術Lv1、→木属性魔術Lv1、→火属性魔術Lv1→2、→光属性魔術Lv1、→闇属性魔術Lv1、→無詠唱Lv1→3、→連続魔法Lv1、→探知魔法Lv3、→聖属性魔術Lv1、→氷属性魔術Lv1



次話は明日投稿します。

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設定集
〈モブ達の物語〉あるいは〈真性の英雄譚〉もしくは〈世界解説〉
【ユートピアの記憶】シリーズ共通の設定集です。一部登場人物紹介も存在します。

本編
〈田舎者の嫁探し〉あるいは〈超越者の創世〉~種族的に嫁が見つからなかったので産んでもらいます~
【ユートピアの記憶】シリーズ全作における本編です。他世界の物語を観測し、その舞台は全世界に及びます。基本的に本編以外の物語の主人公は本編におけるモブです。ボッチは本編のアンミール学園で裸体美術部(合法的に女性の裸を見ようとする部活)の部員です。

兄弟作
クリスマス転生~俺のチートは〈リア充爆発〉でした~
ボッチと同じ部活の部長が主人公です。

本作
孤高の世界最強~ボッチすぎて【世界最強】(称号だけ)を手に入れた俺は余計ボッチを極める~
本作です。

兄弟作
不屈の勇者の奴隷帝国〜知らずの内に呪い返しで召喚国全体を奴隷化していた勇者は、自在に人を動かすカリスマであると自称する〜
ボッチと同じ部活に属する皇帝が主人公です。

兄弟作(短編)
魔女の魔女狩り〜異端者による異端審問は大虐殺〜
ボッチと同じ学園の風紀委員(ボッチ達の敵対組織)の一人が主人公です。

英雄譚(短編)
怠惰な召喚士〜従魔がテイムできないからと冤罪を着せられ婚約破棄された私は騎士と追放先で無双する。恋愛? ざまぁ? いえ、英雄譚です〜
シリーズにおける史実、英雄になった人物が主人公の英雄譚《ライトサーガ》です。

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