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ボッチ119 ボッチの休息?

本編6周年投稿です。



迫り来る魔族の大軍。

迫り来る人類の砲撃。


争うなら俺達が相手じゃなくて魔族と人類だろうが!?

何故に敵の敵は味方みたいに俺達に攻撃を!?


魔族の方はまだ良いとしても、人類の方は酷過ぎる。

助けたのに仇で返された。

人間怖い。怖いと言って来るのは饅頭だけで十分だ。


どっちも焼き払ってやろうか。


そう思っていると名案が降りて来た。


「そうだ、結界を張ってただ守りを固めましょう。俺達に辿り着けなければお互いに戦う筈です」


直接艦隊に手を出すのは流石に憚られるが、本来の目的である魔王軍の討伐により倒れても本望な筈。

それを高みの見物するという訳だ。


「……何気に、一番激怒していたのは貴方だったのかも知れませんね」

「別に死をただ見届けようって考えている訳じゃないですよ。ピンチに陥って態度を改めたら助けてあげなくもないです」

「態度が変わらなければ助けないのじゃな……」

「ノーコメントで」


何かあれば因果応報、ただ世の理が作用しただけ。

気にしても仕方のない自然現象である。


二人共、それが分かっているのか、それとも俺のように怒りが収まらないのか、驚いた様な表情をしつつも止めたりはしなかった。


「儂は、魔力を使い過ぎたから休みたいのじゃが?」


しかし、付き合ってはくれないらしい。

確かにリオ爺さんは疲れた様子だった。

お年寄りにとって重労働だったのは間違いない。というかあれが重労働でない世代なんて存在しない。

疲れて当然だ。


加えて、怒るのにも疲れてしまったのかも知れない。


「分かりました。じゃあ、村までの転移門を開きますね」

「悪いのう。明日はゆっくり茶でも飲もう。茶菓子ぐらいなら出せるでな」

「ありがとうございます」


リオ爺さんは転移門を潜って村まで帰って行った。


「私も一度、神界に戻りますね。ヴィルディアーノに力を与えたこの遺跡が何なのか調べてきます」


女神様は調べ物をしてくるらしい。

確かに、とんでもない力を与える謎の神殿を放置する訳にもいかない。第二のヴィルディアーノが現れても全くおかしくは無い。

調査は必須だ。


「それでは」


そう言うと、女神様は消えた。


俺も気晴らしを止めて帰るか?

いや、でも神殿への魔族の侵入を止めなければ、またヴィルディアーノ級の化け物が現れるかも知れない。

それに、艦隊が壊滅する可能性もある。


結局、結界を張って閉じ籠もるしか無さそうだ。


「“星守結界”」


神殿に足を踏み入れ、メリアヘムでの超演技で身につけた中で最も強固な広域結界を周囲に展開する。

天災魔法並の魔力と魔力操作技術を必要とする特製結界だ。

魔王軍四天王が来たのなら兎も角、下っ端魔族程度に破られる事はあるまい。



魔族達が到達する前に各種攻撃が飛来するが、結界にはヒビ一つ入らない。

消費魔力から判断するに、天災魔法と同等、つまり天災魔法をも防げる結界であろうから当然と言えば当然。


結界の全面に攻撃が飛来し、もはや外の様子が分からない程になってゆくが、まるでただ映画を見ているかの様に脅威を感じなかった。

やはり魔王軍四天王が特別強いだけで、結界一枚で十分な様だ。


しかし唯一の想定外として、外の状況が全く分からなくなった。

各種攻撃の轟音により声なども全く分からないし、神殿自体もそんなに大きくない事から本当に全面が光やら煙やらで見えなくなっている。


これは困った。


流石にもう、魔王軍四天王級の敵が現れるとは思えないが、万が一の可能性は残る。

外の状況が分からないのは非常に危険だ。


という事で、空間属性魔法を使い外の光景を映し出す。

全体が把握出来るように上空からの観測。

艦隊も魔族の大群の動きもはっきりと見える。


両者共、何故かここを集中攻撃している光景がはっきりと見えた……。


静かに空間属性魔法を解除する。


暫く自分を落ち着かせてからもう一度発動。


うん、気の所為じゃなかった……。

魔族と艦隊の小競り合いも有るが、基本的には両者共にこちらを攻撃している。


再び観測魔法を解除する。


「はぁ……」


もはや、怒る気力もない。

どっと疲れが出て来た。


土属性魔法で椅子を生み出すと、そこに座り込んだ。

本当ならベッドでも作って寝転がりたい気分では有るが、一応この謎かつ危険物な神殿の留守を守るという役目もあるから流石にそれは止めた。


でも、座り心地が良い椅子くらいは良いか。


そう考え直して、普通の椅子を再構築して王様が座っていそうな玉座を生み出す。

今は疲れを癒やすのが第一。

玉座に座った事など無いが、さぞ座り心地が良いだろう。


おそらく、世界で最も座り心地が良い筈だ。


そう思ったが、割と大した事は無かった。

肘置きは良い感じだが、そもそも土の椅子という時点で座り心地が悪い。

クッションが欲しい。


クッション作製魔法でも無いものか。

そう思っていると、魔導書が現れた。

まさかの有るらしい。

これもヴィルディアーノが作った魔法なのだろうか?

ヴィルディアーノからの賠償金は、魔法という事で手を打っておこう。


「“傲慢なる糸(アラクネ)”」


発動してみると何も起こらない。

だが、使って見ることでどの様な魔法かは分かった。


あらゆる繊維を意図に変え自在に操作する魔法だ。

別途糸に変える繊維、もしくは糸の原料となるものが必要らしい。


幸い、討伐した魔獣がアイテムボックスに有るので、良さ気な毛皮を持つ魔獣を出して再び魔法を使う。


「“傲慢なる糸(アラクネ)”」


すると毛皮だけが綺麗に剥がれ、思い通りの形へと変わってゆく。

素晴らしいのは、完成形を思い描くだけで、織物や裁縫の知識が殆ど無い俺でも欲しいものが織れる事だ。


その分、魔力消費量が異様に大きい、天災魔法にすら届くレベルの魔力を持って行かれるが、糸一本一本が精密に動いてあっという間に布になってゆく。

かなりの数の糸を同時に操作していることを考えると、妥当な魔力消費量かも知れない。

おそらく、単なる魔力操作では難しい部分を魔力で乗り越えているのだ。


そうして、素晴らしい玉座が完成した。


クッションだけでなく、一度の発動で装飾までされていた。

どういう原理か色まで着いている。


しかし問題は座り心地。


どれ。


「おお〜」


思わず声が出る程、しっくりする座り心地。

完璧だ。

まさか、一回の魔法でここまでの事が出来るとは。

多分、織り方だけでなく繊維の質そのものが場所ごとに適度なものに変えられている。

普通なら、織り方だけでなく材料に拘り、科学技術も駆使しなければ作れない完成度だ。


座わっただけで、疲れすら取れてゆく気がする。

いや、確実に取れている。

物性以外にも、魔法的な効果までもが込められている様だ。





いつの間にか、眠っていたらしい。


立ちたくないフィット感。


玉座の心地良さを前に陥落してしまったらしい。


んっ、眩しい。


そして非常に騒がしい。


何事だと周囲を寝惚けながらも見渡すと、神殿を囲っていた結界が破られていた。


更には、ボッチ能力である空洞による守りすら幾枚か砕かれて攻撃が迫ろうとしている。


目の前には広がっていたのは、海ではなく見覚えのある溶岩の島。


もっと見渡せば、寝る前に見た何倍も規模が大きい大艦隊に、似たような旗を掲げた人の軍勢。

マッドサイエンティスト、如何にも狂っていそうな老魔術師は天災を放ち。

まるで山が人の形になったかのような巨人は天まで届きそうな拳を振り下ろす。

神気を有している存在まで多くおり、地形が容易く変わる攻撃を放っていた。


そして、何より最も空洞結界を削っていたのは、見覚えのある人物。


第一村人(魔王)が、そこにはいた。



追伸、次話からは暫く閑話が続きます。

今回はあまり書き溜めていないので、連続投稿ではなく夏休み投稿という事で夏中に今章最終話まで投稿していきたいと思います。


また、次章執筆にあたり、皆様のお好きな話が知りたいので、お好きな話にいいねを付けていただけましたら幸いです。

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設定集
〈モブ達の物語〉あるいは〈真性の英雄譚〉もしくは〈世界解説〉
【ユートピアの記憶】シリーズ共通の設定集です。一部登場人物紹介も存在します。

本編
〈田舎者の嫁探し〉あるいは〈超越者の創世〉~種族的に嫁が見つからなかったので産んでもらいます~
【ユートピアの記憶】シリーズ全作における本編です。他世界の物語を観測し、その舞台は全世界に及びます。基本的に本編以外の物語の主人公は本編におけるモブです。ボッチは本編のアンミール学園で裸体美術部(合法的に女性の裸を見ようとする部活)の部員です。

兄弟作
クリスマス転生~俺のチートは〈リア充爆発〉でした~
ボッチと同じ部活の部長が主人公です。

本作
孤高の世界最強~ボッチすぎて【世界最強】(称号だけ)を手に入れた俺は余計ボッチを極める~
本作です。

兄弟作
不屈の勇者の奴隷帝国〜知らずの内に呪い返しで召喚国全体を奴隷化していた勇者は、自在に人を動かすカリスマであると自称する〜
ボッチと同じ部活に属する皇帝が主人公です。

兄弟作(短編)
魔女の魔女狩り〜異端者による異端審問は大虐殺〜
ボッチと同じ学園の風紀委員(ボッチ達の敵対組織)の一人が主人公です。

英雄譚(短編)
怠惰な召喚士〜従魔がテイムできないからと冤罪を着せられ婚約破棄された私は騎士と追放先で無双する。恋愛? ざまぁ? いえ、英雄譚です〜
シリーズにおける史実、英雄になった人物が主人公の英雄譚《ライトサーガ》です。

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