表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤高の世界最強~ボッチすぎて【世界最強】(称号だけ)を手に入れた俺は余計ボッチを極める~  作者: ナザイ
第3章 ボッチと世界最強

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

156/294

閑話 貴人5 真世界会議

 


「それでは、会議を開始します」


 メリアヘムが陥落してから約2日、災害の被害もある程度収束を見せ、やっと詳細な情報が集まって来た。


 やはりパリオン王国とケペルベック神国でクーデターが発生し、それぞれの新たな指導者が七星宝具を手にした事も事実であると判明した。

 元の七星宝具所持者の死も確かであった。


 今日は各地の勇者軍は勿論、各国の代表や各地の有力者も参加しての実質的な世界会議。

 衝撃的な大事件が立て続けに起こり、各地も混乱の渦中にいるが、それ故に参加者達の集まりも普段の国際会議よりも迅速かつ集まりが良かった。

 普段は国際会議に顔を見せない有力者達の姿も複数ある。


 通信網も街道もまだまだ復旧は不十分なのに、この会議が開催出来たのは各々が全力を尽くし一丸となったからだ。

 嵐が吹き荒れ地は強固に固まったとでも言ったところか。


 英雄様の献身で最悪の事態は避けられ、人類の結束はこれまでに無いほど固く繋がれた。

 希望は尽きていないどころか、魔王軍四天王の一角を討滅した事は反撃の狼煙となり得る。


「まず始めに、メリアヘム陥落について報告させていただきます」


 始めはメリアヘム陥落の詳細報告。 

 全ての人々が知る必要がある。

 魔王軍の力を、そしてとある英雄の勇姿を。


「創始暦7015年土の6月23日、日の出から間も無く、【煉獄の戦神イフリート】が突如暴走。メリアヘムの南方面の守護を総括していた“アズロイヤの城”を破壊し北進。南の大結界を維持していた“エスティマの塔”に侵攻し塔を破壊しました。

 大結界が破られると同時に魔王軍四天王バールガン・ドゥ・アッシュール率いる魔王軍が襲来。バールガンは大魔術により都市中の魔力を奪い、この一撃で都市の大部分の機能がダウン。数万人以上の死傷者が出たと推計されます。またこの時点までにメリアヘムの龍脈の支配権を奪われました。

 生存者はクライシェ様の結界の張られたメリアヘム中央で応戦し、ある程度魔族を討つ事にも成功しましたが、イフリートが到達した事も有り、【樹聖神】リュリュリーラをその身に降ろしたクライシェ様の結界も破られましたが、仮面の戦士のその身を挺する介入により、また【天翼の聖者】ミカエリアス殿が殿を努めてくださったおかげで生存者はメリアヘム脱出に成功しました。

 その後、ミカエリアス殿姿は既に無く、我等が到着した頃には仮面の戦士とバールガン、そしてバールガンが召喚したアンデットと激しい戦いを繰り広げていました。アンデットの中にはかつての英雄や魔王まで含まれており、我々は撤退する事しか出来ませんでした。そんな戦況下でも仮面の戦士、いえ仮面の英雄は最後まで残り、撤退の時間を稼いでくれました。

 その後の監視魔法で観察したところ、仮面の英雄が激しい光を放ち、光が収まった後には仮面の英雄もバールガンもその配下も消えていました。その時メリアヘム方面から発せられた神力から考えるに、仮面の英雄がその身に収まりきらない神の力を降ろし、バールガン及び配下を浄化したと考えられます。

 詳細は資料の通りです。しかし余りにも被害が大きく、メリアヘムでの調査も行えていない為、御説明した事も含めて幾つかの部分は推測で補完しています」


 会議参加者は息を呑むような反応が殆どだった。

 各地に可能な限り連絡していたが、このような場で聞くまで信じきれなかったらしい。

 無理も無い。私も何度悪夢であってくれと祈ったことか。


「この場を借りまして、皆様に、全人類の皆様に謝罪を。私達は、人類最強の城塞都市を守る事が出来ませんでした。

 罰は私が全て受けます。ですのでどうか、勇者軍に皆様の御力をお貸しください!!」


 私は深く頭を下げた。


「頭を上げてください! 勇者軍は勇者様達を、人類の希望を全員守り抜いてくださった!」

「そうです! 勇者軍がいなければ、貴方様方で無ければ全滅していた筈です!」

「今こそ人類一丸となる時! 協力する事に何を迷う事がありましょうか! 我々人類には勇者軍が、貴方様が必要です! どうか頭をお上げください!」


 誰も私を責めなかった。

 何も出来なかった私を。


 私は、顔を暫く上げられなかった。

 自責の念とは、別の理由で。



「…失礼いたしました。それでは質問のある方は挙手を願います」


 大事件であったが、挙がった手は少なかった。

 衝撃が大きく、内容を精査できた人数は少数らしい。

 事前に資料は渡していたが、それでも色々と大き過ぎたようだ。


「では、S級冒険者【金山】のダムス様」

『まずクライシェ様が樹聖神の力を降ろしたそうじゃが、クライシェ様の容態は?』

「意識は戻りましたが、まだ危ない状態です。常に複数人の回復術師が治療にあたっています。しかし、肉体的で無い部分の消耗が激しいらしく、暫く動けそうに無いとの事です。樹聖神様も巫女が問いかけても返答が無く、相当消耗しているだろうとの事。同時に世界樹の力も弱まっているそうです」

『このタイミングで世界樹が……』

「クライシェ様も動けないとなると、世界樹の回復も難しい……」


 世界樹は世界の魔力循環を大きく助けている神樹だ。

 瘴気を清らかな魔力に浄化し世界に還す。世界樹から世界に戻された魔力は自然環境に力を与え、自然の魔力を増やしていた。


 大龍脈の魔力が枯渇した中で、世界樹までも弱まり、非常に拙い状態だ。

 環境の再生が大幅に遅れるのは間違いない。


『資料によると、大龍脈の魔力枯渇はバールガンが召喚したアンデットが原因の可能性が高いとあるが、それについても詳しく教えて欲しい』

「バールガンは伝説の龍と思われるアンデットを使役していました。そのアンデットは大龍脈から莫大な魔力を吸い上げ、海を蒸発させる程のブレスを放ちました。余りに強大な魔力で感知しきれませんでしたが、大枯渇の原因である可能性が高いと考えられます。少なくともその一撃でメリアヘム一体の地脈の魔力は失われました」

『儂からも補足を。各地の観測地点から魔力の減少時間を調査したところ、アンデットがブレスを放った時刻、ブレスの魔力が観測された時刻と殆ど同じじゃった。時間のズレもメリアヘムを中心として遠くなるほど遅くなった。まずバールガンのアンデットが原因と考えて間違い無いじゃろう』


 世界最高峰の魔術師であるオルゴン様の補足もあり、場にざわつきが広がる。

 それは原因が判明したからではない。


 その原因が厄介なものであったからだ。


『……魔王軍が大龍脈を堰き止めた、そのような原因であったらどんなに難易度が高かったとしても、魔王軍を討伐さえすれば魔力は元に戻ったであろうが』

「魔力が消費されたと言う事は、魔王軍を討伐しても世界の魔力は枯渇したまま……」

『永い時間をかけて自然回復を待つしか無いと言う事ですか…』

「ええ、現状では、大龍脈の枯渇は我々人類にはどうする事も出来ません」



次話も閑話が続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
設定集
〈モブ達の物語〉あるいは〈真性の英雄譚〉もしくは〈世界解説〉
【ユートピアの記憶】シリーズ共通の設定集です。一部登場人物紹介も存在します。

本編
〈田舎者の嫁探し〉あるいは〈超越者の創世〉~種族的に嫁が見つからなかったので産んでもらいます~
【ユートピアの記憶】シリーズ全作における本編です。他世界の物語を観測し、その舞台は全世界に及びます。基本的に本編以外の物語の主人公は本編におけるモブです。ボッチは本編のアンミール学園で裸体美術部(合法的に女性の裸を見ようとする部活)の部員です。

兄弟作
クリスマス転生~俺のチートは〈リア充爆発〉でした~
ボッチと同じ部活の部長が主人公です。

本作
孤高の世界最強~ボッチすぎて【世界最強】(称号だけ)を手に入れた俺は余計ボッチを極める~
本作です。

兄弟作
不屈の勇者の奴隷帝国〜知らずの内に呪い返しで召喚国全体を奴隷化していた勇者は、自在に人を動かすカリスマであると自称する〜
ボッチと同じ部活に属する皇帝が主人公です。

兄弟作(短編)
魔女の魔女狩り〜異端者による異端審問は大虐殺〜
ボッチと同じ学園の風紀委員(ボッチ達の敵対組織)の一人が主人公です。

英雄譚(短編)
怠惰な召喚士〜従魔がテイムできないからと冤罪を着せられ婚約破棄された私は騎士と追放先で無双する。恋愛? ざまぁ? いえ、英雄譚です〜
シリーズにおける史実、英雄になった人物が主人公の英雄譚《ライトサーガ》です。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ