ボッチ88 ボッチ、飼い主バカになる
正月投稿です。
ペットのホルスの鑑定を行う。
テイムして姿が変わったから、もしかしたら種族も変化しているかも知れない。
名前:ホルス
称号:【世界最強のペット】
種族:ベンヌフェニックス
ランク:11
「おお! 世界最強のペットらしいですよ! 格好良くて美しくて賢くてお利口なだけじゃなく強いなんて! 流石は俺のホルスだ!」
『今更ですが、飼い主バカが発現するの早くないですか? あとその称号、貴方のペットって意味じゃないですかね?』
「そう言えば俺、称号だけは世界最強でした。でも見てください! ホルス、何かランクが上がって種族も変わっていますよ!」
出会った頃はランク10でエルダーフェニックスだったのに、今はランク11のベンヌフェニックスだ。
『……ランク11、これは本当にペット自身の力として世界最強のペットかも知れませんね』
「え? ランク11って結構強いんですか?」
『ランク11は、討伐にS級冒険者が必要な天災級の魔獣のランクです。仮に大国の首都に現れたとして、討伐する事よりも全力で避難する事を考えなければいけないレベルの脅威です。世界に数人しかいないS級冒険者がいたとしても、戦闘でその地は廃墟となるでしょう』
「そんな強いんですか、こんなかわいいのに?」
「ピュエ?」
俺が疑問の声をあげると同時に、首をコテンと傾げるホルス。
なんてかわいい子だ。
すかさずヨシヨシと撫でる。
『……本当にもうペットにしていますね。戦力としてでは無く。後、今更ですが、燃えてる身体を触って熱く無いんですか?』
「この黄金の炎、ぽかぽかする暖かさでさわり心地も最高ですよ」
「フィフィ」
ずっと触っていられる。
と言うか手を離したくない。
撫でながらホルスの種族について詳しく鑑定してみる。
種族:ベンヌフェニックス
説明:魔獣から神獣の領域に踏み込んだフェニックス。フェニックスは高い再生能力を持つ事で知られている魔獣だが、ベンヌフェニックスはその高い再生能力に加えて不死性を有する。死亡しても朝日と共に復活する。
おお、まさしく不死鳥、無敵ではなく死ぬが死んでも復活出来るらしい。
だが、そう言う説明は求めていない。
「ペットとしての飼い方は出て来ませんね」
『……需要が有りませんから。飼おうとしたのも貴方が史上初ではないですか? と言うか神獣に近い魔獣にどんなお世話が必要なんですか? 放し飼いで問題ありませんよ。注意が必要なのはか弱い人間の方です』
「いやでも、放し飼いにすると野生のカラスにやられちゃうかも知れませんし、チョコレートとかあげちゃ駄目なものが有るかも知れないじゃないですか」
『……どこにランク11のフェニックスをどうにか出来るカラスがいるんですか。そんなのがうじゃうじゃ生息していたら、そこは人間の住めない危険過ぎる世界です。あと、相性の悪い食べ物でどうにかなるなら、S級冒険者が必要になったりはしません』
フェニックスは飼いやすいペットらしい。
でも心配だ。近所の野良猫にいじめられたりしないだろうか。
『……近所の野良ドラゴンにだってそうそう負けないと思いますよ』
「野良ドラゴン、やっぱり放し飼いは……」
『……もう打つ手無しですね』
そう話しながらも撫で続けるていると、ホルスは嘴で自分の背中を指した。
どうやら乗せてくれるらしい。
フカフカでさわり心地も座り心地も最高だ。
俺が乗るのを確認すると、ホルスは大きく飛び上がった。
ここら辺を案内してくれるらしい。
「そうだホルス、良い牛乳を出す魔獣はいないか?」
「ピュィー!」
探しているものを尋ねると、ホルスは大きく曲がった。
どうやら居場所を知っているらしい。
このまま二体目の従魔をゲットだ。
少し飛ぶと、早くもホルスは降下を始めた。
目的地は湖に浮かぶ島だった。
この近くは邪神がいた影響か、過激な環境が多いがここは湖外こそ草も生えていない荒野だが、とても穏やかな湖で、目的地の島は草花が風になびき平和そのもの。
島にはシルクの様な美しい毛並みの山羊が一頭だけおり、おそらくこの山羊が美味しいミルクを出す魔獣なのだろう。
牛乳じゃなくて山羊のミルクだが、同じ様なものだろう。そもそも魔獣だったら牛型でも正確には牛乳では無いのだから、多分些細な違いだ。
山羊は大人しそうだし、簡単にテイム出来そうだ。
そう思っていると、湖全体が島を中心として突如渦巻いた。天候までもが急激に荒れる。
そして巨大な濁流の柱がこちらに放たれた。
「うおっ!」
「ピュイッ!」
ホルスは急転回して避ける。
すると今度は打ち上げられた水が槍に変化し、こちらを狙い降り注いできた。
ホルスは急加速し、槍の隙間を縫ってゆく。
流石は我がペット、飛ぶ姿も格好良い!
槍の雨が止まると、湖に下手人の姿が見えた。
現れたのは、何だあれ?
半魚人の巨人、人魚の巨人、上半身が鬼な人魚? いや下半身も尾びれは見えるが、龍の様に長い。
取り敢えず鑑定してみる。
種族:リムネーアケローオス
説明:ランク10の魔獣。湖を縄張りとするアケローオス。広大な水場を支配する天災級魔獣。
テイムしていないからか、情報が少ない。
しかし人魚や半魚人の亜種ではなく、アケローオスと言う魔獣の一種らしい。
と言うか上半身だけでも二、三十メートルくらいあり、凄まじい迫力があるのに、うちのホルスの方がランク的に格上らしい。
流石はうちの子だ。
そして攻撃された事にうちの子も黙っていない。
激しく燃え上がると、大きく羽を広げ、急降下。
流れ星の様な速さでアケローオスに接近すると、その横を通り過ぎた。
アケローオスが炎の刃で大きく斬り裂かれる。
上に飼い主が乗っているのに激しく燃え上がり突撃するうちの子、お茶目なところもかわいい。
『……普通なら重体では済まないですよ』
「これも飼い主への信頼があってこその行動です。大丈夫だと分かっているからこうしているんですよ」
「フィ、フィ!」
「ほら、ホルスもこう言っている」
『……私には慌てて誤魔化しているように聞こえますが』
ホルスに大きく斬り裂かれたアケローオスだが、まだ倒れはしない。
しかし傷口からは炎が吹き出し続けていた。水の中に潜っても、濁流を纏っても、決して消えない。
うちの子は炎までも不滅のようだ。
流石はホルス。
しかしペットにばかり戦わせる訳にはいかない。
飼い主として、良いところを見せなければ。
「よいしょっ」
ホルスの背中から飛び降りると、剣を構える。
「“ギャラクシアス”!」
そしてそのまま上段から光の剣を振り下ろす。
アケローオスは断末魔をあげる間も無く、真っ二つに別れる。
ちょっと気合を入れ過ぎて、湖もその先の荒野も真っ二つに斬れたが、まあ問題無いだろう。
成人の日あたりまで投稿を続けたいと思います。




