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孤高の世界最強~ボッチすぎて【世界最強】(称号だけ)を手に入れた俺は余計ボッチを極める~  作者: ナザイ
第2章 ボッチは人里を目指す

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ボッチ65 ボッチ、木を創る

本編五周年記念投稿です。

 


 目が覚めると、そこには空があった。

 雲一つ無く青々と広がる空が。


 何故、外で寝て……そうだ、思い出したくもない悲劇があったからだ……。


 友達作りとか言うスキルに途方も無いポイントが必要だと判明した悲劇。

 相性により必要ポイントが変動すると言うが、あまりにも失礼過ぎる。


 一度気絶すると、ショックより怒りが強くなり精神的ダメージは大分少ない。

 それでも空と真反対に清々しくは無いブルーな気持ちだ。


 美しい景色でも見て心を癒そう。


 周囲に広がる雄大な山々。

 抉り取られ、所々が崩落している雄大な……。


 うん、そう言えばこの問題もあった。


 取り敢えず、昼食でも食べて落ち着こう。


 薪ごと焚き火を生み出し、無限に尽きないパンを千切ってこれまた生み出した枝に刺しては焼いてゆく。

 合わせるのはこの前作ったジャム。


 先に焼いてしまったが、焼くならバターとか他のものをつけた方が良かったかも知れない。

 尤もバターなど持っていないのだが。


 やはり、食がこの秘境ライフの悩みだ。


 何とか調達したい。


 パン自体の味は申し分無いのだが、やはり物足りない。



 昼食を終えると、山の崩落現場へと向かう。


 改めて近くで見ると、絶句する規模だ。


 千メートルを優に越えていそうな巨大な山が大きくくり抜かれ、歪な大渓谷を作り出している。

 人には不可能な規模で、自然には不可能な形態を有しており、違和感から来る不気味な圧迫感が凄まじい。

 まるで底の見えない谷底を覗いているかのような気持ちになる。


 どうしようこれ?


 これ以上崩れたところで実害は無い。

 崩れれば正しく大災害となるだろうが、ここは人里から最も離れた大秘境で有るからどんな連鎖を起こしたところできっと誰も被害を受けない。


 だが、それでも直したくなる程に景観は悪化している。

 特にやらかしてしまったと言う黒歴史が呼び起こされる。


 精神衛生上よろしく無い。


 治す、のは無理にしても辛うじて自然物に見える程度には修正したい。


 取り敢えず大地を隆起させてみよう。

 どの程度の規模までなら埋められるか挑戦してみる。


 コゴゴゴゴゴコゴ……。


 魔力は水の様に容易く大地に浸透し、視界を超える範囲がゆっくりと隆起してゆく。


 取り敢えず大地を隆起させるのを止めよう……。

 静かに元の位置に戻す。


 まさかの規模だった。

 何なら、一から山を創ることだって出来そうだ。


 だが、この方法では取り返しの付かない事になる気しかしない。

 規模が大き過ぎて魔法的に制御は出来ても造山的には制御出来る気がしない。


 なら発想を変えて、山を治すのでは無く木属性魔法で木を生やして抉り取られた部分を隠してみるか。

 別に元通りの山が必要な訳では無い。破壊跡が精神衛生上よろしく無いだけだ。見掛けが記憶を呼び起こさなければ問題無い。


 そうと決まれば先ずはどんな風に木を生やせるか試してみよう。

 木属性魔法と言うからには十中八九可能そうだが、やってみなければどの程度の事が可能か判らない。


 しかし、火属性や水属性を使う様に感覚では発動出来ない。

 薪を生み出す事、元々ある草木を急成長させる事は感で普通に出来るが、望むように木を生み出す事は出来なかった。


 こんな時は既存の魔法を使うに限る。


「出よ、木を生やす魔法!」


 魔導書が現れページが独りでに捲られる。


 どうやら魔法は有る様だ。

 感覚が掴めなかっただけらしい。


 魔導書に魔力を注ぐ。


 そして災害魔法のように殆どの魔力を持って行かれることも無い。

 少し多い気もするが吸われるのは保有魔力の十分の一程度。

 消費魔力量からして安心安全の魔法だ。


「――始まりは一本の木 枝葉は大地となりて 実は命を育む 空は吐息 雲を生み海を成す 全てはここから始まった 初まりに所以無し 無から木は生ずる――“原初の樹(ユグドラシル)”」


 何故か呪文があったが、消費魔力量は大した事がないので問題あるまい。


 光が生じる。

 光はやがて二つの尾を空まで伸ばし、先端は螺旋を描き目の前で収束してゆく。

 光は粒のような形へ収束を続け、それは種となる。


 種は大地へ潜ると根を下ろし、急速に成長してゆく。

 成長が止まると目前には立派な林檎の樹があった。


 魔法名がユグドラシルだったが、トネリコの木では無い様だ。


 試しに林檎をもぎ取り口に運ぶ。

 うん、よく食べる林檎の味だ。

 手間暇かけて作られ売り物になる林檎と同じ味とは、魔法って凄い。


 ただ植樹するだけのつもりだったが、新たな食料の確保まで成功した。


 もしかして、林檎の樹以外にもいける?


 これは遂に念願の衣食住の食を手にしたかも知れない。


 魔力をそんなに使わない割にはかなり複雑な魔法、木属性以外の属性に様々な要素が含まれている魔法だったが、魔力操作を極めているから問題無い。

 あっさりと再現に成功する。


 《熟練度が条件を満たしました。

 ステータスを更新します。

 魔法〈神属性魔法〉を獲得しました。

 アクティブスキル〈神属性魔術〉を獲得しました。

 アクティブスキル〈創造魔法〉を獲得しました。

 魔法〈木属性魔法〉のレベルが6から7に上昇しました。

 魔法〈神属性魔法〉のレベルが1から3に上昇しました。

 アクティブスキル〈木属性魔術〉のレベルが5から10に上昇しました。

 アクティブスキル〈神属性魔術〉のレベルが1から5に上昇しました》


 …………木属性だけでなく、神属性さんがいらっしゃったらしい。


 まあ、神力を持っているし今更か。


 気にせず木を生やそう。

 食料の前では神云々も関係無い。


 続いて他の木も生やせるのか試みる。

 林檎ときたら次は梨か。


 出来た!

 これで野菜果物、更には香辛料も好きに手に入る!


 ついでに神属性と神力は関係ありそうだから色々と神力や魔力を混ぜながら術を行使する。


 おっ、楽に発動できるようになった。

 神力を混ぜると魔力消費量が大分減る。

 加えて自分の魔力よりも自然界の魔力を用いた方が相性が良いようだ。少し混ぜれば魔力を節約出来る。



 《熟練度が条件を満たしました。

 ステータスを更新します。

 アクティブスキル〈神術〉を獲得しました。

 魔法〈木属性魔法〉のレベルが7から10に上昇しました。

 魔法〈神属性魔法〉のレベルが3から10に上昇しました。

 アクティブスキル〈仙術〉のレベルが1から6に上昇しました。

 アクティブスキル〈神属性魔術〉のレベルが5から10に上昇しました。》


 何やらまた色々と急激にレベルアップしたが、今はそんな事どうでもいい。


 こうして俺は食を手にするのだった。


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設定集
〈モブ達の物語〉あるいは〈真性の英雄譚〉もしくは〈世界解説〉
【ユートピアの記憶】シリーズ共通の設定集です。一部登場人物紹介も存在します。

本編
〈田舎者の嫁探し〉あるいは〈超越者の創世〉~種族的に嫁が見つからなかったので産んでもらいます~
【ユートピアの記憶】シリーズ全作における本編です。他世界の物語を観測し、その舞台は全世界に及びます。基本的に本編以外の物語の主人公は本編におけるモブです。ボッチは本編のアンミール学園で裸体美術部(合法的に女性の裸を見ようとする部活)の部員です。

兄弟作
クリスマス転生~俺のチートは〈リア充爆発〉でした~
ボッチと同じ部活の部長が主人公です。

本作
孤高の世界最強~ボッチすぎて【世界最強】(称号だけ)を手に入れた俺は余計ボッチを極める~
本作です。

兄弟作
不屈の勇者の奴隷帝国〜知らずの内に呪い返しで召喚国全体を奴隷化していた勇者は、自在に人を動かすカリスマであると自称する〜
ボッチと同じ部活に属する皇帝が主人公です。

兄弟作(短編)
魔女の魔女狩り〜異端者による異端審問は大虐殺〜
ボッチと同じ学園の風紀委員(ボッチ達の敵対組織)の一人が主人公です。

英雄譚(短編)
怠惰な召喚士〜従魔がテイムできないからと冤罪を着せられ婚約破棄された私は騎士と追放先で無双する。恋愛? ざまぁ? いえ、英雄譚です〜
シリーズにおける史実、英雄になった人物が主人公の英雄譚《ライトサーガ》です。

― 新着の感想 ―
[一言] またやべぇことしてんな…このぼっち
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