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Sランク魔力持ちの天才冒険者、刀というユニーク武器とともに学園最強を目指す   作者: メナ=ソウド
第2.5章 魔法刀製作:研究発表編
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71.魔法刀製作、深夜のテンション!で夜の学園へ

今回はギャグ調 (のつもり) です。

ここは王都アルメナの中心区から少し離れた住宅地の一角にあるアパート。俺の住んでる学生寮。


さきほどコノハと一緒に《(ブラック)スミス武具店》で買い物を終えたこともあり、外はすっかり暗くなっていた。まさに町も寝静まろうとする頃合いだった。



買い出しも終わり、晩飯も食い終わり、刀を作る準備が万端になったわけだ。

よーし、今からこの優勝賞金全額はたいて買ってやった最高級の金槌(かなづち)とその他諸々の工具を使って超一級品の魔法刀を作ってやる!!

そう意気込んだ俺は、拳を高々と突き上げた。


「よしっ、早速作るぞ、刀!!」


「おおでござる~!!」


工房部屋に気合いのこだまか響いた。




「それっ」


まずは《ウェルライト》の塊を(いろり)に突っ込んで熱す。

そして柔らかくなって変形しやすくなったところで金槌を用いて叩き、形を整える。

最後に上手い具合に微調整して刀の薄い刃の形に合わせる。


「そいやっ、そいやっ。ほら、コノハも手伝ってくれ!」


当然この作業は一朝一夕にできるものではない。

何時間も叩くのだ。

だからコノハにも手伝ってもらいたい。


「はいでござる。この設計図に描かれている形になるように叩けば良いのでこざるね。カンカン叩くでござる!」


「そうだそうだ、もっともっと叩けええええ!! そいっ、そいっ、そいっっ!!!」


「せやっ、せやっ、せやっっ、でござる!!」


刀は叩けば叩くほど頑丈になる。

だから俺たちは刀を叩き続けた。何度も何度も叩き続けた。眠くなるのを堪えて目をこすりながらも叩き続けた。


そう、何度も何度も、いつまでも。


都会も寝静まる時頃に、俺たちは何度も何度もカンカンカンカン騒音を響かせていた……。






……そういうわけでですね。






完成を目前に近隣の人たちから「眠れない!!」というクレームをたくさんいただいちゃいました。





「ちくしょー! 完全に盲点だった!!」


俺は持っていた金槌を地面に投げ捨てて、嘆いた。

あと五センチ左にずれてたら俺の右足に直撃してた。ヤバかった。


「仕方ないでござる、師匠。アパートにすんでいる以上、近隣の迷惑は考えるべきであったござる。拙者も気づかなかったでござる……」


この世の中、そう簡単にご都合主義にはならないらしい。


「ああ、これが学生寮のデメリットなのだな」


俺はため息をつく。


入学前に目をつけていた学生寮。

このアパートの109号室が偶々前の住人が鍛冶職を専門とする生徒だったらしく、おいしいことに工房部屋が最初からついていた。

これはラッキーと思った。

俺はすかさず不動産の人と契約を交わした。

実はそういう経緯でこの部屋を選んだのだ。


だけど忘れてた。

ここ、アパートなんだよ。

隣人との部屋を隔てるのは、たった一枚の壁。

住民はみな同じ屋根の下。


そりゃこんな夜遅くにカンカンカンカンやられたら、うるさいよね。迷惑だよね。


もうやだ、俺いつかこの部屋でる。

そして、新居に引っ越したい!

一軒家がいいな。

周囲に家がなければなおよし。

とするならば……また必要になってくるよな、お金。

さっき全財産はたいたばっかだし。

ポテチのバイト、頑張らないとな。



……話を戻そう。

実は俺、明日にクロと決闘するって約束しちゃったんだよな。

夜ももう遅い。

明日まで時間がない。

さて、何か方法はないのだろうか?


ん?

待てよ?

あそこが使えるんじゃないか?

クックック。


「どうしたでござるか?」

「ついてこいコノハ、学園行くぞ!」

「えっ、ええ~っ!?」


メナ=ソウドは頭がきれる。

悪知恵を働かせるのも得意なのであった。


俺たちは工房を出てアルメナ学園を目指した。




深夜のテンション! は、ときに人の行動を狂わせる。

俺たちは今、休日の夜のアルメナ学園にやってきている。正しくは正門の近くまでだが。


アルメナ学園は王国最高峰の教育機関。

当然冒険者として鍛冶職についている生徒も存在するので、そういった環境はそろっているのである。

それはもう立派な工房があるそうだ。

それを使わない手は……ないだろう?

悪いが勝手に使用させてもらう。


一方で、それならば町の賑わっている昼の時間になら迷惑にならないのだから、また機会を改めて別の日に製作すれば良いじゃないかという考えもある。実際、趣味として昼間にソウドコレクションを作っていた今まではクレームなど来なかったわけだし。

確かにそのように考えるのも全然有りなのだが、俺は気がせっている。

一日も早く作らなければならないのだ。


だから、こうまでして学園に忍び込むことを思い付いたのだ。


「ねえ、メナ師匠~、引き返しましょうよー。また明日のお昼にでも作ればいいことでござるに~」


「たしかにその言い分もありなんだけど、やっぱり少しでも早く作りたいんだ。明日クロと決闘するって連絡しちゃったし」


「そ、そうでござるか」


渋々納得するコノハ。


「それになんかいいよな。夜の学校に侵入するって、なんかスリルあるよね!」


正直こっちが本音。


「ま、まあそう言われてみれば、わからなくもないでござる……ね」


あ、今明らかに口角が上がった。

こいつ、実はワクワクしてるだろ。

口ではそう言っても、体は正直なものよの。


「じゃ、行くか!」


「待つでごさる。あれは守衛でござる」


コノハの言うように、校門のそばには大きなハンマーを持った一人の守衛さんが警備していた。


さすが王国ナンバー1の学園だけある。

警備も厳しいのな。

ふう、早速困難にぶち当たってしまった。

さて、どうする、メナ=ソウド?

己の素晴らしき頭脳を活用するときが来た。


――ふむ、閃いた!


「盗人だあああ!! 誰かあああ!!」


守衛さんから見えない位置に隠れた俺は大声で叫ぶ。


「なにっ!? 盗人だと!?」


守衛のおじちゃん、反応する。


「これでも儂はアルメナ学園の誇り高き警備員!! 盗人などという悪人を放っておくことなど魂が裂けてもできん!! 盗人よ、どこじゃああああ!!」


守衛のおじちゃん、騙される。

雄叫びとともに俺たちを通りすぎ、一直線に向こうまで走り去っていった。


ふふ、ちょろいぜっ♪


Aランクの知力を持つ俺にかかればこんなもんよ。


さて、正面に見えるのはアルメナ学園の正門。黒い鉄扉。


「入ろっか、コノハ!」


「は、はいでござる! 実は拙者、ワクワクしているのでござる!」


「おぬしも悪よのぉ……ホッホッホ」


メナ=ソウドとコノハ=ヤマト、これより夜のアルメナ学園に潜入します!!


そして、刀完成させにいきます!!



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