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Sランク魔力持ちの天才冒険者、刀というユニーク武器とともに学園最強を目指す   作者: メナ=ソウド
第2.5章 魔法刀製作:研究発表編
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57.メイドさんに決闘を申し込まれた

 カロナとコノハに謝罪しに行くべく、俺はカロナの自宅であるエルメス邸へとやってきた。


さて、町のど真ん中に位置する王宮には、王族が有する3つのドデカい城がある。

本家と分家のそれぞれに城が与えられている。


真ん中にあるのが本家のアルメナ邸。

当然ここが一番位が高く、国王様がいらっしゃる。


また、右に見えるのがジョーカー邸。

ジョーカー先輩やラピス理事長さんなんかがこっちに住んでいる。


そして、一番左に立しているのが今から訪れるエルメス邸だ。

カロナん家だ。


ふう、久しぶりだわ、カロナん家。

たしか1回目は汚れた服を洗濯してもらいに行ったっけか。

それと2回目は新歓戦の打ち上げだったな。

ってことはこれでここに来るのは3回目になるんだな。


その相変わらずの家屋の大きさに驚きながらも、俺は正門前までやってきた。


門の前にはガタイの良い警備のおっちゃんが一人いる。

彼に話を通してみよう。


「すみません、俺メナ=ソウドって言います。友人のカロナさんに会いに来ました」

「おお、やはり参られましたね。ここで少しお待ちください」


警備員さんは待ってましたと言わんばかりの対応を見せる。

おっちゃんは急ぎ足で宮廷の中に入っていく。

誰かを呼びにいったようだ。


うむ、どうやら俺が来るのを分かっていたようだな。

ってことはカロナの差し金か?


などと考えながらしばらく待っていると。


「お久しぶりですね、メナ様」


それから5分もかからないうちに玄関からメイド服を来た金髪の女性がやってきた。

彼女は丁寧なお辞儀をして俺を出迎える。


「あ、あなたは!?」

「お、その様子だと覚えていらしてくれてたんですね。私はエルエス家の筆頭メイド兼衣装係、キエ=オーガルです」


おお、キエさんだ。

カロナん家のメイドさんだ。

すげえ久しいぞ。

たしかこの人に服を洗濯してもらったんだよな~。


懐かしさもあり、感極まった俺たちはその場で再会の握手を交わす。


「ふふ、懐かしいですね」

「ええ」


「それで、メナ様はどうして我が家に?」

「はい、カロナを泣かせてしまいまして。それで謝罪に」


「ごめん、知ってた」

「え?」


それまではのほほんとした雰囲気で会話していたのだが、最後の一声を皮切りに、キエさんの顔が非常に険しくなる。

なるほど、この人もかなり怒っているみたいだ。


「やはりカロナ様の申されたことは事実でしたか。残念です、メナ=ソウド様。あなたが女に不埒な輩とは存じませんでした。申し訳ございませんがお引き取りくださいませ」


キエさんは皮肉めいた敬語で中に入るのを拒否してきた。

その言い草が妙に心にツンと刺さる。

たしかに彼女の言うように俺に落ち度があったのは紛れもない事実。

でもそれを反省したからこそこうしてここまでやってきたのだ。

だから俺としてはきちんと話を聞いてほしい。

門前払いとか冗談じゃない。


あきらめたくない俺は彼女に反論する。


「お願いです。せめて話だけでも」

「お引き取りください。カロナ様以外の女性に手を出すお方にここを通す理由などございません」


くっ。

まるで効果がない。

キエさん、あなたはなんて剛情な人なんだ。

ちくしょう、せめてカロナの母さん、アリアさんに話を通せればっ。

なぜ一介のメイドさんの一存でここまで拒否されねばいかんのだ。

そこんところもなかなかに腹立たしい。


「どうしてもお願いです。なんでもします、なんでもしますからせめてチャンスをください」


命乞いするかのごとく俺は迫る。

もともとこれくらいはする覚悟でいたんだ。

なんなら靴をなめる覚悟までできている。


そんな強い意志が通じたのかキエさんの表情に笑みがこぼれた。


「いいでしょう。でしたら仰せのとおりチャンスをあげましょう。こちらへ」


こうして門の中へ入ることを許された。



 エルメス邸は巨大。

正門から玄関の間には広いスペースがある。

庭のようにたくさんの草木をおいていたり、噴水のオブジェクトがおかれていたりとよく想像する王宮と同じような間取りをとっている。

そんな敷地に案内されたわけなのだが、城内に案内される気配が全くない。

入り口とはまったく違う方向に連れて行かれている。

それについて疑問に思ったので、キエさんに恐る恐る聞いてみる。


「あの、入り口はもっとあっちなのですが」

「おや? 誰も中に入れるだなんていってませんよ。チャンスを与えると言っただけですから」

「チャンス?」

「ええ。さて、メナ様、そちらの戦闘フィールドに立ってください」


よく周りを見渡してみれば、そこは何も置かれていない決闘広場のようなところだった。

たくさんの戦闘フィールドが陳在しており、観客席までついている始末だ。

もちろん今はギャラリーに誰もいないけど。


気づいたらとんでもないところに案内されていららしい。

これが王宮の庭ってやつか。

さすが広いだけあるわ。


「エルメス邸も王宮内にあります。つまり、アルメナ邸とも繋がっているのです。ここはアルメナ邸、国軍の旧演習場です。もうおわかりですね?」

「決闘……ですか?」

「聡明ですね」


いや、別に聡明とかじゃねえよ。

こんなとこまで案内されたら誰でもわかるわ。


「決闘といっても対戦相手がいないように見受けられるのですが。広場に兵士がいるってわけでもなさそうですし」

「いるじゃないですか」

「え?」


は? 

いやいや、俺とキエさんしかいないよ。

俺とキエさんしか……。


え、嘘、まさか。


「私です」


は? 

キエさんだと。

耳を疑うぜ。

キエさんメイドだよね。

戦闘なんて心得ているのか? 

それに俺の強さご存知だよな? 

刀士であるこの俺にわざわざ決闘を吹っかけてくるとは片腹痛いわ。

マジで秒で終わらせちゃうよ?


とかいう俺の浅はかな思考を見え透いたかのごとく彼女は続けた。


「エルメス邸のメイドとは表の姿でしかありません。アルメナ王国軍第3部隊隊長、キエ=オーガル。これが私の裏の姿。もしあなたが私を倒せたあかつきにはカロナ様にお会いさせてさしあげましょう」


キエさんはかっこよくメイド服を脱ぎ捨て、ビキニアーマーの姿に変身する。


マジかよ、国軍の部隊長さんだって~!?

マジもんの女モンクだ。

めっちゃ強そうなんですけど。


その変容ぶりに俺はただただ驚愕するしかなかった。




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