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Sランク魔力持ちの天才冒険者、刀というユニーク武器とともに学園最強を目指す   作者: メナ=ソウド
第2章 魔法刀製作:西の町ウェルトラ編
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50.帰還への道

 エリシアさんを討伐した翌日のことである。

俺たち一行はギルドの最上階に招かれた。


その部屋は王様の間に近い感じである。

一番奥のイスには、町一番の権力者である長老さんが座っており、その手前に何人かのギルドのスタッフさんを侍らせている。

そんな長老さんから、俺たちは祝福の儀をいただこうとしているところだ。


長い白髭をいじりながら長老さんが発した。


「おっほん。昨夜、我らアルメナ王国はこの王様勅令の高難易度クエストを見事に達成させた。その中でも最も活躍されたのは間違いなくそなたたちであろう。そなたらの勇敢なる戦いぶりにウェルトラの長として、報償を遣わせよう」


「ははっ、ありがたき幸せ」


続けて長老さんはそばに並ぶ部下たちに言う。


「ほれ、お主たちありったけのブツを用意するのじゃ」


「かしこまりました、長老様」


数人の部下たちは、すでに用意していた人間サイズほどの大きな布袋を俺たちの前に差し出す。


いったい何が入っているのだろう?

やっぱり金か、金なのか?


期待でウルウルになりながら、俺はそのスタッフさんがしゃべるのを待つ。


「受け取ってください。ウェルトラ火山の地下深部で採掘される高級金属及び鉱石たちです」


「おお……」


報酬の豪華さに俺たちは思わず息を飲んだ。


特に目についたのは、純紺に輝く【ウェルライト】という宝石。

噂には聞いたことがあったが、この目で見るのははじめてだ。


この町で採掘されるということは昔小耳にはさんだことはあるのだが、その存在率は非常に小さく幻の鉱石と呼ばれている。

しかし、その質は立派なもので、ミスリルやアダマンタイトをも上回る耐久度、柔軟性をもっている。

まさに、世界最高級の素材なのだ。


よもやそんな素晴らしいものを頂けるとは。

とてもありがたいことだ。


俺は二度三度とお辞儀をし、しつくしてもしきれないほどの感謝の意を示した。


「ありがとうございます!」


ああ、なんてラッキーなんだ。

ウェルライトクラスの代物ならば、間違いなく良い刀が作れるぞ。

俺の魔素を流し込んでもそこそこ耐えてくれるはずだ。


たしかにこの町へ来た目的は刀の素材集めだ。

もちろんこの鉱石以外にもそれなりに上質なものはゲットできるにはできただろうし、はじめからそのつもりでいた。

ウェルライトが取れたらラッキーだなと思っていた程度だ。


そんな淡い期待に答えてくれるかのように、その青い宝石は俺たちの手に収まることとなったのだ。

あまりの嬉しさに俺は興奮を抑えられないでいた。


「財の授与はこれにて終了じゃ。じゃが、この度の偉業はこれに収まるものではない。名誉の授与へと移ろうかの」


「えっ、まだあるんですか!?」

「左様」


ただでさえウェルライトを頂けただけでも、感無量であるのに追加の報酬があるときた。

長老さん、太っ腹もいいところだよ。


「さきまでのはクエストに対する特別報償じゃ。じゃが、これは別枠……。魔界の幹部の一人であるエリシア=ファントムの討伐。これは王国の定めとして授与が義務付けられている勲章なのじゃ。ぜひともこの名誉を受け取って頂く」


長老さんは一呼吸置くと、"彼女"を指差した。


「シホ=ハーティ、前に出なさい」


「えっ、アタシ!?」


長老様に直々に単独指名されたシホは困惑を見せる。


「左様。なんせ彼女を討伐したのは紛れもない主であったからな。その様子、しかと儂の目にもおさめさせてもらった」


なるほどな。

たしかにエリシアさんにパンチを食らわせて止めをさしたのはシホだしな。


くっ、てっきり俺たちにも勲章がもらえると内心期待してたんだけど、そう都合の良いことはなかったようだ。

こんなことになるんだったら、俺がエリシアさんと八百長するべきだったか。

コノハに刀あげるんじゃなかった。

ちょっと悔しいけど、ここは指を加えてシホに譲るとしようか。


ま、あの作戦自体思い付いたのはあいつだしな。


「その実績をを称え、王国直属機関、冒険者ギルドの代表として、長老兼冒険者ギルドウェルトラ支部長がここに【優れし退魔者】の勲章を与え給う」


こうして賞状とともに、勲章を示す腕輪がシホに謙譲された。

その腕輪は金色であるので、それが勲章の中でも最上位のものねあるということがわかる。

まあ、魔王軍の幹部を手にかけたのだからそれくらいは当然なのかな。


王国のシンボルである白の十字マークが刻まれたデザインがめっちゃカッコいい。

正直俺も欲しかった。

ぐぬぬ。


けれど諦めよう。

いつまでも嫉妬していても仕方ないしな。

ここはおめでとうとでも言っておこうじゃないか!


「おめでとう。よかったじゃないか、シホ。これでハーティ家がフォーカードのなかでも一歩リードしたんじゃないか、ハハハ」


「ヘッ、こんな勲章アタシにとってはたいしたものではないわ。アタシが一番望むのは【メナっちの嫁】という勲章なんだからね。ここ重要だからっ!!」


真面目に彼女を労った俺がバカだった。

今のは聞かなかったことにしよう。


「さて、帰るか」




 俺たちはギルドを出た。

そして馬車小屋で馬車を借りた。

そして町の正門までやってきた。

そしてやることを全てやり終えた俺たちはこれより王都アルメナへ帰る。


「さて、帰るか!」


「「「おお!」」」


中に座る三人が勢いよく返事するのを、確認した俺は鞭を打って、馬車を進行させた。


町の景色が徐々に遠退いていく。


少しの名残惜しさを胸に、俺たちはとうとうこの町を去っていくのだった。





 ウェルトラを去って、2日経った。

もうすぐ王都へ着く。


なんだかんだでこの旅を以てそれぞれが成長した。

色々なことがあったけれど、今一度ここで彼女たちを祝福してやりたい。


そこで俺は帰路であるウェルナメナ平原のとある場所へ寄り道することにした。


"キィッ"


馬車を止めた。


「メナくん、もしかしてここって……」

「そうだ、温泉だ」


往路に訪れた例の温泉に俺たちは再び足を踏み入れた。




 服を脱いだ俺たちはすぐさま浴槽につかった。


「あああ~、気持ち~ぜ~」


「ふひょ~、いい湯でごさる~。拙者、昇天しちゃうでござる~」


「この温泉、私の家で買い取ろうかな。土地の値段はいくらになるかしら?」


「湯船に揺られながらメナっちの半裸をまじまじできるとかヤベーわよ、ウフフ」


あまりの気持ちよさに、当初の目的であった三人へ労い言葉を送るということを後回しにしたい気分となった。


「この温泉って秘境だよなあ。今までみんなきづかなかったのかなあ。こんな草原のど真ん中に温泉があるのによお」


「メナ師匠の意見に同意でござるな。もしや最近できた温泉では? 突発的に沸き上がることもあり得るでござるからな」


「ハハハ、だとしたら次第に認知されるようになるかもな」


「それは嫌!」


カロナが割って入ってきた。


「えっ、急にどうしたの、カロナ?」


「私この温泉買いたい。みんなに知られる前に抑えておきたい」


「なるほどね~。民営化したいわけだな」


「ま、そうなるわね。屋敷1つ分のこの大きさなら、私の貯金でなんとか買えそうだからね」


「ハハ、さすが金持ちだぜ」





 さて、適当に話し込んでいたが、そろそろ本番にうつりたい。

俺は改まった口調で三人に発す。


「カロナ、コノハ、シホ! ウェルトラでのクエスト、よく頑張ってくれた、よく成長した! 俺からもお礼を言わせてもらう」


浴槽から立ち上がって"勢いよくお辞儀した"。


「えっ、メナくん?」

「あわわ~でござる」

「ウフフ、メナっちったら♪」


唐突な俺の行動に三人とも困惑している模様。

やけに俺の下半身に視線を向けている気がするが、気のせいだろう。


彼女たちになりふりかまわず俺は順に言葉をかけてゆく。


まずばシホ=ハーティだ。


「シホ、君は自慢の莫大なMPを使い、魔族だけでなくエリシアさんまでもを討伐した。さらにその成果によって、君は優れし退魔者の勲章を得た。これはすごいことだぞ。ぜひとも誇ってくれ!」


「あ、う、うん。ありがとね、メナっち……」


シホは歯切れなく返事する。


どこか元気のない返事だ。

もしやエリシアさんを倒してしまったことで落ち込んでいるのでは?

だとしたら慰めの言葉をかけておきたい。


「元気だそうぜ。たしかにエリシアさんをやっつけてしまったのは少し残念だったけどな。そこんところ落ち込まないようにね」


「気を使ってくれてありがとね、優しいね」


他にも何か言いたげな表情をしているが、言おうとしなかったので、話を進めよう。


よし、次はカロナ=エルメスだ。


「カロナ、君も君で頑張ってくれた。邪竜の炎眼、実戦で通用したのは見事であったぞ。セイラさんの前でそれを披露できたのも、よかったな」


「う、う、うん……」


あら?

おかしいな?

カロナも元気ない返事だ。

俺の顔になんかついてるのか?


いや、違う。

もしかしたらこいつはMP問題を気にしているのかも。

それについて同じように慰めてやるか。


「ただ消費MPが絶大で一発しか撃てないというところに課題はのこったけどね。別にこれを気にする必要はないさ。これはまた、シホのときと同じようにMP増大の訓練すればなんとかなるはずだ。頑張ろうぜ!」


「え、ええ。もっともっと強くなって、立派な魔法士になりたいからね。今後ともよろしくね……メナくん……」


カロナは視線を下げて、たどたどしく返した。

うーん、俺の下にナニかついてるのかな? ま、いっか。


ふう、色々気になるけど、これで最後だ。

コノハ=ヤマトだ。


「コノハ、以前は刀が欲しいと執拗に迫ってきた君も、刀士としての心得を得ることができたな。今となっては俺から刀をもらい世界で二人目の刀士として、魔族の討伐に大いに貢献してくれた。あの刀の扱いぶりといったら、素晴らしいものだった」


「あ、ありがとうでござる……。されど、あそこまで頑張れたのは……一応メナ師匠の教えがあったから……でござる」


あれれー?

コノハもすごく微妙な返事だ。


やはり何か原因があるのだろう。

彼女の場合は……。


そうか、勇者党を抜けるのが気まずいんだな。

フフフ、Aランクの知力を持つ俺にわからないことなどない。

よしよし、とにかくその点についてなんとか言ってあげよう。


「いやー、しかし刀を持ったコノハはまるで別人のように強かったぜ。まさに我が勇者党に勧誘したいくらいの人材だ。ま、あいにく体験入党だけどな。刀をもらうという目的を達成したから、帰ったら勇者党を抜けるのつもりなんだろう? それが気まずいんだろう? でも、気にするな。俺たちは大丈夫だから。少し寂しいけど、お別れだな。またいつでも入党しにきてくれてもいいからさ。待ってるぜ!」


「じゃあ、い、今から正式に入党したい……でござる」


「マジで?」


「マジでござる……だから、は、はやくタオルを(小声)」


ん、タオルがなんだって?

まー、そんなことはどーでもいい。


そうかそうか。

逆だったのか。

どうやらコノハはうちの党に正式に加入したかったんだな。

だから妙な返事をしてきたのだな。


さて、これで一区切りついたかな。

勇者党の仲間が一人増えたことだしね。


「じゃあ出るか~」


と言ったそのとき。


「あら? アナタたちは?」


「エリシアさん!?」


そばの茂みから見覚えのある赤髪の女性がやってきた。


それと同時に驚かされたものだ。

死んだと思っていたその人物が、そこにいたのだから。


エリシア=ファントム……彼女の無事を確認した。


「アタイ、最近この温泉を作っていてね。心機一転してここを経営しながら勇者を探そうかな~と思っていたのさ。あ、ちゃんとバレないように変装してね。………………ところで、メナ。アナタ彼女たちを前に素っ裸で何やってたんだい?」


「え?」


あ。

腰に巻いてたはずのタオル、床に落ちてた。

おそらく"勢いよくお辞儀した"ときに落ちたのだな。


それをみて俺は瞬時に全てを悟る。

さきほどお三方が変な返事をしてきた原因がこれだったのだ。


まもなく俺ことメナ=ソウドはひどく赤面した。


俺のもう1つのユニーク武器、エクスカリバーを彼女らの下に晒した俺は、このあと帰還するまで一言もしゃべらなかった。



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