何もない異世界にとばされたんだけど、神様になるわ
「俺が死んだら、パソコンのHDDを海へと沈めてくれよな」
って冗談で友達に言った5秒後に、トラックが突っ込んできた。神様がそれが最後の言葉でいいんだなって感じで、俺をあの世へと送ったような気がした。これを神のいたずらと呼ばすになんと呼ぶのか。
次に目が覚めた時には、いつの間にか真っ白な何もない部屋へ寝ころんでいた。本当に何もない部屋だ。
「死後の世界?」
ここが死後の世界になら、これほどつまらない事は無い。何せ何もないのだ、あるのは服を着た俺と、白い壁。
こんこんと壁を叩くが、何で出来ているかさえ分からない四角い箱の中。監獄だ。
「えええ、、どうしろと?」
ためにして手をつねってみるが、痛みは感じた。
「本当に何処なんだここは、、」
そんなことをしながら、だらだらと横になる。なんせ何もすることが無いのだから、大人しくしているのが吉だろう。
「暇」
だらだらとすること数時間。不思議なことにお腹は一切減らないし、眠くもならない。だけれど、それだけ。
「あ~暇。誰かいませんか~」
叫んでみても帰ってくる返事は一切ない。
「あ~あ。こんな変な所に来るなら、もっと魔法とかでこう、、ファンタジーな世界に行きたかったな」
心の願望を、言葉にして発した。すると、今までうんともすんとも言わなかった白い壁が突然虹色に輝き始めた。
(ピxピ,,プログラムコード2045番,魔法系統の物理演算処理の世界を構築開始)
頭の中へと直接叩き込まれるかのように、機械音が響き渡った。さらに、視界が一気に白くなる。
「え、、、何これ、、は??え」
困惑する俺に対してさらに、頭に声が響く。
(構築完了。対象データ転送開始ーー3%,4%...)
この数字はなんだと、何が起こるんだとキョロキョロよ周囲を見渡した。だが、虹色の壁が輝く以外は特に何も起きていない。
(11%,15%...)
「あ、、、足が、、」
下を見て気が付いた。足が無くなっているのだが。というよりも、現在進行形で消え続けている。
(31%...40%...)
カウントが進むにつれて、消える速度は加速していく。段々と俺の体は光になって消えていき、ついには頭だけが残った。
「ちょっえ?もう一回死ぬの?いやだよ、、!!」
そうして再び意識は闇の中へと消えていった。
再び目が覚めると、俺は何もない原っぱへと横たわっていた。ごしごしと目をこする。微かに葉の匂いが漂ってくる。
(ピッ転送完了.ユーザー名の設定を:___)
目覚めたばかりの俺に機械音が追い打ちをかける。さっきから何なんだこの声は。何処からするんだ??
でも、名前を聞かれたからには答えないとな。設定とかっていうぐらいのなのだから、新しく今決めてもいいのだろう。どうせならかっこいいの、、。
「、、、ヒカル」
名前を決めようとして浮かんだのは、親の顔だった。家族が決めてくれたこの名前、ここで使わないと面目が立たない。
(ピッ。ユーザー名を"ヒカル"に設定。権限をAdminへと昇格します。ようこそ、新しい世界へ)
「新しい世界?」
目の前へと広がっているのは、何もないだだっ広い原っぱだ。本当に何もない。
(ピッ.基本設定の入力を行ってください)
目の前には、VRなのかARなのか大きなWindow画面が映し出された。そこには様々な文字が書かれている。
****************************************
基本設定項目 1/100
世界に名前をつけてください
「 」
この世界の広さを決めてください
一周「 」km
この世界の魔法の種類を決めてください(複数選択)
「土」「闇」「光」、、etc
この世界の種族を決めてください(複数選択)
「人間」「猫」「いぬ」
.........
****************************************
「なっが」
よく上を見ると、1/100と書かれている。これだけの入力項目をあと100ページも入れないといけないのか、、。
「名前は、光るの世界で、、シャイニングワールドと、種族は、、」
指で漂うWindowをタッチすると、次々と入力していった。苦痛に思えたその作業は、ずっと四角い部屋にいたこともあって不思議と楽しく感じた。
「こんなもんかな」
最後に決定ボタンを押した。まるで、自分でゲームの世界観を設定しているような感覚がした。何せ楽しい。
(ピッ...設定を反映しています....設定完了...生命誕生まで加速します..)
視界が一気にグルグルと回転をしだした。目の前に広がっている景色が、コンマ単位で入れ替わっていく。
それが、なんと1時間も続いたのだ。途中から見ていられなくなり、目を閉じると蹲った。耳にもキィーンと高い音が鳴り響く。
音が収まると同時に、目を開いた。ふらふらとする身体を起こすと、ゆっくりと当たりを見渡した。
まわりの景色はほとんど変わっていない。が、何か違和感を感じた。そこまで気にしていたわけではないが、微かに生えている植物が変わったような気がした。
(1億2千年加速完了.知能所持による生命体の確認...完了)
(世界構築シーケンス終了....命令文を入力して下さい)
視界の上の方に小さな検索ボックスのような物が表示された。どうやら、一連の動作がこれで終了したようだ。
「はぁ~気持ち悪かったぁあ」
ふらふらとする頭を揺り起こす。まるで世界を創ったとか神様みたいだ。
「神様?、、そうか俺は神様なのか、、?」
検索ボックスに$水と入力をした。すると、そらから頭の上にこれでもかというほどの水がじょばじょばと降り注ぐ。
「アハハハハ、、そうか!!」
次に$ドライ取得と入力した。ドライとはさっき自分が設定した中にあった、取得できる魔法一覧の項目に書いたものだ。一瞬で身体を乾かすという魔法だ。
(ドライを取得しました)
先ほどまでの機械音とは異なるが、似たような機械音声が頭の中へと響いた。
「ドライ!!」
声を大きくして唱えた。が、原っぱに寂しく声が響くだけで特に何も起きない。
「あ~そうか、、MPか、、そういえば設定したな」
検索ボックスに$MP最大値9999と入力する。これが確か最大値に設定してたはずだ。ついでにHPも最大の9999に設定する。
(MPとHPが適応レベルに達していません。レベルを最大まで上げますか?)
エラー音声らしき音と共に、最初にした機械音声がする。どうやら、2種類の機械音があるのは確実のようだ。まだ予想段階だけど、システムに直接関連することは最初の音声なようなきがする。最初の声を、SAIさんとでも呼ぶか。後のは、、そうだなATOさん?そのままだけど区別できればいいや。
「レベル最大で」
(....ヒカルのレベルが99に上がりました。)
「ドライ!!」
再び声を高らかに魔法を唱えた。自分の周りをグルグルと暖かい風が駆け抜ける。バサバサと服がたなびくと、濡れていた服が渇いていった。と同時に、身体が何がな抜けていったような感覚がした。
「すげー魔法!!」
検索ボックスで検索した訳ではないが、何故かMPが2持っていかれた事が感覚的に分かる。でも、瞬時に2は回復されたようで999へと戻っていった。
$ライトニング取得と打ち込む。これは雷属性魔法でもかなり威力が高い魔法へと設定したはずだ。
(ドライを取得しました)
よし、あそこの大きな岩があるあたりにしよう。
「ライトニング!」
石へと意識を集中させる。雷雲があるわけでもないのにも関わらずにピカッと光ると岩へとドンという音と共にぶつかると粉々に砕けちった。
MPが減る感覚がする。今度は10減ったらしい。この調子ならポンポン打つことが出来そうだ。
自分で設定した魔法が、自分で全て使えるというこの素晴らしさ。この楽しさ。だけど、他に誰もいないと少し退屈だ。
「そういえば、SAIさんが知能所持による生命体の確認...完了とか言ってな、、。ってことは俺が設定した種族がいるってことだろ!」
設定した種族それは、「人間、エルフ、ドワーフ、猫人族、悪魔族」の5種族。あまり多すぎないように設定した。そして、出来るだけ人間に近いような種族を選んだつもりだ。
「SAIさん!近くに誰かがいる場所は?」
検索ボックスがあるにも関わらず、いちいち入力するのが面倒になってきた俺は、いっそのこと音声入力が出来ないか試してみた。
(...SAIをデバイス名として.......登録。音声入力を許可....こんにちは)
「こんにちは」
言ってみるもんだな。
(近くの知的生命体の位置を検索...西南方向2km先に10ほど確認)
「よし、行こう」
魔法でワープして行っても良かったのだけど、折角自分が作った世界だ。もう少し、この移り行く景色を楽しみながら移動していきたかった。
歩くと直ぐに原っぱは消え、深そうな森が目の前に現れた。ここを入っていくには少々勇気がいる。が、多分無敵の俺にはそんなの怖くない。
「SAIさん、サーチ取得」
(サーチを取得しました)
「サーチ」
頭の中に、直接周囲の情報が3Dデータとなって流れ込んでくる。分かりやすく言えば、複数のカメラが辺り一面を自分の目の代わりとなって動き回っているようなイメージだ。
「なんだ?」
この森に直ぐ入っての所に洞窟があることが分かった。中には複数の人がいることが分かる。が、暗くて良くは分からない。
こんな洞窟にいるのはドワーフかな?と思いながら、入口へと近づいた。
「おじゃましまーす」
のんきに入口で大きな声を叫んだ。
「あ”?なんだお前?どうやってここを嗅ぎ付けた?」
中から出てきたのは、いかにも盗賊ですといった格好の大男だった。ニコニコとしていた俺は、予想と違う場面に少しキョドル。
「あ~、、お邪魔しました、、」
と、回れ右をして去ろうとすると、ガッ腕を掴まれた。
「おい、何逃げようとしてるんだ?とりあえず中に来い。話を聞こうか?」
案外いい人だったのかも、と振り向くがそんな事は無かった。俺の腕を掴んだ大男の後ろには物騒な武器を持った男たちが、ニコニコとしながら立っていたのだ。
「見逃しては?」
「まさか」
そのまま洞窟の中へと引きずり込まれた。中はじめじめとしていて、何だか居心地が悪いような空気を感じる。
引きずられながら、$絶対零度取得と検索ボックスに入力した。これだけの数をヤルことになるなら、攻撃の魔法を覚えておきたい。
(絶対零度を取得しました)
「リーダーこいつどうします?」
連れてこられた先は、少し広い広間だった。その真ん中にどさっと置かれると、周囲を取り囲むように屈強な男達に取り囲まれる。
「人間の男か、、仲間は?」
「周囲にはいません」
「なら殺せ」
なら殺せってそう簡単にいう世界なのかここは。誰がこんな理不尽な世界を作ったんだ?全く、、神様?
「そうだよ、俺だよ!!絶対零度!!」
俺を中心にして辺りに冷気が渦巻く。囲んでいた男達の足元が凍り付いた。
「なんだこれ!?」
「おい、こいつかなり高位の魔法使いだ」
「誰だ連れ込んだの」
騒ぐ盗賊は足から腰、、そして体へと徐々に凍っていく。そして最後には、頭まで凍り付いた。手でちょっと、1人を押すと倒れて、そのままバラバラに割れ崩れていった。
「貴様!!何んだ!?」
唯一離れていて凍らなかった、リーダーが震える手をこちらへと向けてきた。馬鹿いえ、そんなに怖いなら盗賊なんぞやらなければいいのに。
「ライトイング」
洞窟内部なのにも関わらずに、雷が落ちてリーダーは真っ黒こげになってその場に崩れ落ちた。嫌な焦げ臭い匂いが狭い洞窟内部に充満する。
「うぇ、、二度と室内でやらないことにしよう」
辺りをキョロキョロとする。SAIさんは確か10名と言っていたが。最初に凍らせたのが、7人でリーダーが1人。あと2人足りない。
「SAIさん。周囲に生命反応」
(...10m以内に2。周囲10km圏内にそれ以外の知的生命体は存在しません)
やっぱり2人何処かに隠れているのか。
辺りを見渡すと扉が2つ見えた。もう、ばれてはいるだけロうけど、念のためそっと扉を開いた。中は倉庫のようで、肉が天井からつるされ、果物などが転がっていた。となると、いるのはあと1つの方だろう。
「そこか!!」
バンと勢いよく扉を開いた。
「?」
武器を構えて飛び掛かってくる男どもは姿を見せなかった。その代わりにあったのは、小さな牢屋だ。
ぴょこりと生えた猫耳。長く伸びる細長いしっぽ。中にいたのは、猫人族だ。愛くるしい養子とは裏腹に、貧相な服装をして小刻みに震えている。
「お、お助けを、、」
俺の顔を見ると、2人は身を寄せ合って震えあがった。
「大丈夫だよ。俺は助けに来たんだよ」
こうして始まる物語は、きっと俺のハーレム物語だろう。話に終わりなんてない。死ぬことなんてない。
無限に続く。この平和で安全な物語は、きっと何処までいっても平和なんだろう。
誰か、、止めてくれ。
書いてて、、飽きた、、、マジで
滅び行く世界は不思議で溢れている
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