村崎家の休日 パターン1
おまけ的な。転移前の霧也の日常風景です。少し短め。
あとこれ、章の合間にちょくちょく入れようかなって。本編との繋がりは無いです。つまり、最悪読まなくても問題無い。
「……なぁ、妹よ」
とある休日の昼下がり。村崎家のリビング、そのソファの上に、1組の男女の姿。
「何さ、兄よ」
この家の長男である霧也と、長女の沙菜だ。
「なんでお前は、当然のように俺の膝の上に座ってるんだ?」
「別にいいじゃん。ほら、後ろから抱きしめてよ」
「何でだよやだよ降りろよ」
「えー。霧兄のケチ」
何故か霧也の上に座っている沙菜が、すねたように顔をプイッ、と背ける。長いツインテールがフリッ、と揺れる。
「うっわ何それ理不尽……」
「そう思うなら抱きしめて」
「いや、何が『そう思うなら』だよ。それが理不尽だっつってんだよ」
「いいから早く」
沙菜の意志は固いようだ。
霧也が諦めたようにため息を吐き、沙菜の体に腕を回す。しかしその腕は、これが最大の譲歩だ、と言うように回されるだけで止まる。
しかし、沙菜はそれでも満足したのか、幸せそうな顔をしている。
と思いきや、霧也にピッタリとくっついて、霧也の胸に頬をすりすり、すりすり。まるで飼い主に甘える猫のようだ。
「んにゅぅ〜」
沙菜の口からおかしな声が漏れる。
「やっぱ霧兄とくっついてると落ち着く……」
「俺はいろんな意味で気が気じゃないよこのブラコン」
「あたしブラコンじゃないもーん。ただ霧兄が好きなだけだもーん」
「それを世間一般じゃブラコンっつうんだよ」
「あたしに世間なんて通用しないもーん」
「お前それで大人になったらどうする気だよ……」
「霧兄に養ってもらう」
悪びれずに言う沙菜に、霧也が再びため息を吐く。
「お前はアホか」
「え、ダメなの?」
「当然だ」
「……どうしても?」
「媚びたってダメなもんはダメ。っつか、普通に考えて兄に養ってもらう成人した妹っていねぇだろ」
「むぅ……霧兄のくせに生意気! そんな霧兄には……こうだ!」
「あ?」
そう言った沙菜が、自慢のツインテールを霧也の鼻に向かって発射する。
「うおっ!? ちょっ、待っ、鼻はっ……! あぁ、ムズムズする!」
「えーい。こちょこちょこちょ〜♪」
霧也はとても辛そうだ!
しかし、沙菜はとても楽しそうだ!
霧也がくしゃみが出そうで出ないという状況に喘いでいると、沙菜が満足したのか手を止め、再び霧也に甘え始める。
「ふがぁ……」
霧也が変な声を漏らすが、沙菜は気にしない。このスルースキルこそ、村崎兄妹クオリティである。
そんな間にも、沙菜のすりすりは続く。
すりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすり。
「熱い熱い熱いっ! 摩擦熱がっ! お前擦りすぎだろ!?」
すりっ。ピタッ。ぐで〜。
「んふふ〜♪ そんらことらいよぉ〜」
沙菜は霧也に寄り掛かったまま今にも眠ってしまいそうだ。
「呂律が回ってねぇっつの……ったく」
霧也は、仕方ないなぁ、というように笑って、沙菜の頭を撫で始める。沙菜の表情が放送禁止になりそうな程崩れる。
先程は沙菜にブラコンだと言った霧也だが、彼自身も人の事は言えないのだ。
「すぅ……すぅ……」
いつの間にか沙菜は眠ってしまっている。とても幸せそうな寝顔だ。
これが村崎家の日常で、村崎兄妹のいつも通り。
そして、自由人である霧也の、やりたい事の――やっていたい事の1つ。
ソニアが犬なら、沙菜は猫!
で、今日はもう1本投稿してます。まだ読んでない方はそちらもどうぞ。




