なんか変な所来ちゃったんすけど。
と言う訳で(どういう訳だ)、新シリーズ開始です。
飽きないように頑張ります。
ごく普通の高校生で、ごく普通のぼっち。それが、村崎霧也という男だ。
そう、ぼっち。霧也は、別にコミュニケーション障害――通称「コミュ障」と呼ばれるものではない。コミュニケーションだって、求められれば簡単に取ることができる。ただ、ぼっちを望んだだけなのだ。
霧也が通う高校の、霧也が所属する2年C組には、ライトノベルには付きものの、勇者系男子や天使系女子が存在する。要するに、顔面偏差値が高く、人望の厚い人間だ。
そして、ライトノベルの定番と言えば、その無駄に注目を集める人間に霧也のようなぼっちが絡まれ――もとい、構われたり、天使系に何故か好かれている、というのがあるだろう。
しかし、霧也に関してはそんなことが全くない。窓際最後列の霧也の席の周辺は、基本的に誰もいないのだ。
だから、ガラの悪い奴らの嫉妬によるイジメというテンプレも無用。
ここまで定番が揃わなければ、その後の勇者召喚に巻き込まれて異世界転移なんていう定番も有り得ない。
――霧也は、ずっとそう思っていた。
そして今、霧也は思う。
(……いや、いやいやいや。何これ。嘘だろ? 有り得ねぇだろ!?)
と。
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その日も霧也は、いつも通り一言も喋らず、いつも通り人と目を合わせずに放課後を迎えようとしていた。
理由は単純。コミュニケーションを取るのが面倒なのだ。
霧也は自由人だ。束縛というものをすることもされることも嫌う。ルールやマナーは出来る限り守ろうとするが、その常識に無いこととなれば、やりたいことはやり、やりたくないことはやらない。
だから、人と関わることにより必要以上に束縛されることを嫌う。
もちろん、霧也に話しかけようとする人はいる。
霧也自身、決して見た目が悪いということはない――というか、どちらかと言うと良い方なので、女子だって普通に寄っては来る。もっとも、それもこの高校に入ってめっきり減ったが。
そして、寄って来る人間に対しての反応はというと、そこはコミュニケーションを嫌う霧也の事だ。まず最初は、無視。話しかけて来ようが、いないものとして扱う。それでも話しかけて来るようであれば、睨みつける。大抵はここでいなくなる。いなくならない馬鹿に対しては、必殺の、舌打ちをしてからドスを効かせた声で「しつこい」の一言〜心底嫌そうな顔を添えて〜だ。これをやられていなくならなかった者はいない。皆が皆、何かしら謝罪の言葉と共に退散してしまう。
「霧兄からは変なオーラが出てる」とは、霧也が唯一コミュニケーションを取る相手である妹の村崎沙菜の弁だ。これを聞いた霧也は、さすがに笑うしかなかった。
ちなみに、コミュニケーション相手が妹しかいないというのは、両親が既に死去しているからだが、霧也は全く気にしていない。もともとそこまで仲が良くはなかったし(悪かった訳でもないが)、霧也の中では故人は故人であり、気にしたところで何の意味もないのだ。薄情なのか割り切っているのかは、沙菜にも分からなかった。
閑話休題。
そんな薄情霧也君も、妹にはダダ甘だ。決してシスコンではない。……ない、はず。唯一気軽に取れるコミュニケーションを楽しんでいるだけだ。
だから霧也はこの日も、沙菜とのコミュニケーションを楽しみに、さっさと家に帰ろうと動いていた。
教室の中はいつも通りだ。勇者系の天野紘輝と天使系の橘琴音が笑顔を振り撒き、クラスメイトと楽しそうに話している。
紘輝は、この現代日本において、純系日本人なのに金髪のイケメンで、成績優秀な上運動神経も抜群、更に性格も最高という、完全な勇者属性を持ったただのモテ男だ。
そして琴音は、長い黒髪を緩くまとめ、普段からほんわかニコニコ、性格もふわふわほわほわしているただの天使だ。超絶美少女だ。霧也は大して興味が無いが。あと、紘輝とは幼馴染みらしい。
(あの2人、絶対お似合いだと思うんだけど、付き合ってねぇんだよなぁ……何でだろ)
といつも考える霧也だが、絶対に口には出さない。
ちなみに、紘輝と琴音は、霧也の声を聞いたことがある数少ない人間だ。つまり、睨まれてもめげずに話し続けたと言う事である。
数少ない、と言うのは、つまり授業中に話したりもしないと言う事だ。指名されないの? と思うだろうが、そこは他人と壁を作るのが大得意な霧也の事だ。教師陣にすら苦手意識を持たれていて、指される事は無い。霧也はそれに対して快適だとか思っているのだから重症だろう。ちなみにこれは、沙菜の考えだ。
友達作りが大好き(だと霧也が思っている)な紘輝と琴音がさりげなく向けて来る視線を完全に無視して、霧也は教室を出て行く。そして、霧也が扉から出ようとしたその時だった。
異変が発生したのは。
「――なっ!?」
それは、声を出さない事に馴れきってしまっている霧也をもって、驚愕にか細いとは言え声を漏らさずにはいられない出来事であった。
2‐Cの教室が、一瞬、虹色の光に包まれた。誰もが眩しさに目を瞑る。そこから一足早く回復した霧也は、それを目にする。
教室いっぱいに――端にいた自分の足下にまで広がる、光と同じ色の、フィクションの世界によくある「魔法陣」によく似た円を。
他のクラスメイトも視力を回復し、それを目にする。教室がざわめきに包まれる。その間にも、魔法陣らしき物の輝きが強くなる。
霧也も驚きのあまり硬直してしまっていたが、そこから立ち直り、慌てて教室から出ようとする。
しかし、それは少し遅かったようだ。
教室が再び、今度は先程よりも強い光に包まれ、
「沙っ――!」
話は冒頭へと戻る――
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(……いや、いやいやいや。何これ。嘘だろ? 有り得ねぇだろ!?)
それが、目を開けた霧也が最初に思った事だった。
それもそのはずだ。今霧也達がいるのは、つい先程までいたはずの教室ではないのだから。
まず最初に目につくのは、いくつも飾られた巨大で精緻な壁画だろうか。天使や悪魔を模したと思われる者や、人間が戦っている絵。神々しい光を纏った女性――恐らく女神を中心に、農民らしき人々が頭を垂れる絵。他にもいくつかあるが、その全てに神や天使、悪魔、魔物らしきものが登場している。
(なんか、宗教じみてんな……いや、その通りなのか?)
ふと天井を見上げると、そこにも巨大な絵が見て取れる。壁画よりも一回りも二回りも大きい、天井を埋め尽くすほどの大きさの絵だ。
そこには、壁画に登場していた神々が全て描かれていた。さらにその中央には、壁画にはいなかった神が、自分が主神だと言わんがばかりにでかでかと存在する。実際その通りなのだろう。
それを確認した霧也は、続いて左に首を回す。そちらにあるのは、全体を見ればシンプルだが、よく見ると至る所に精緻な彫刻が存在する、これまた巨大な2枚扉だ。
そのまま後ろを向くと、そちらにも壁画がいくつもある。
そして最後に、今までなんとなく見ていなかった、最初の向きからすると右側、部屋の構造から考えると正面となる場所を見る。
そちらにあるのは、背もたれが無駄と思える程に高い玉座。そして、そこに腰掛ける王冠を身に着けた壮年の男性――THE・国王と言った人物の姿だった。
このシリーズは、霧也と同じように自由に、いきあたりばったりで書いていきます。
伏線とかは特に期待せず、ゆるーい感じで読んでいただければ幸いです。
ちなみに、文字数もいきあたりばったりです。




