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ダイレクトアタック

 青年は突っ伏していた。オートビークルのハンドルをわなわなと握り、額をハンドルに押し付けていた。顔は青ざめ、口からぶつぶつと自己弁護の声が垂れる。


「俺は悪くない。悪いわけがない。そうだよ、悪くない。悪いのはこの車だ。絶対にそうだ。きっとちゃんと整備されてなかったんだ。だってアクセルすら踏んでない。自動運転なんだからな。コンピュータの不具合。メーカーだ悪いのは。俺が入力したのは目的地のみだ。だから俺は悪くない」


 不意にサイドのガラスを見やる。窓の外、右側に倒れている人影。先ほど、ボンネットの上を転がり吹っ飛んでいった人物。

 見ただけで急に嘔吐感がこみ上げる。逃げよう。幸いあたりに人影や、人家は見えない。何しろここは荒野だ。道路も街灯もない。


 が、彼は車を降りた。そして震える足で蹲った人物に歩み寄る。短髪の黒髪、端正な顔。倒れているのは男だ。自分より年上だろうか。


「おい!大丈夫か!?いや大丈夫じゃないだろうが。どこか痛むところは……いやどこもかしこもだろうが」


 ゆさゆさと体を揺らす。微かなうめき声に青年はほっと息を出す。


「と、とりあえず治療できる場所まで運ぶからな!死ぬなよ!頼むから!マジで!」


 男の腋に肩をくぐらせ、車へ運ぼうと


「オイ、トマレ!」


 やけに枯れた声だな、と青年は思った。声は車を挟んだ向こう側から聞こえた。

 バサッバサッと何かを仰ぐような音と共に、こちらより一回り大きな体が地響きを立て着地する。その姿を見た青年は、ああ、そうだったなと思い出す。

 ここが地球ではないこと。ここは、




 惑星レイルッカ

 地球とは違う星。

 

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