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現実のチュートリアルはこんなものその3

俺は佇まいを正し、倒した椅子を元に戻し姿勢よく立ってから言葉を発した。

「じゃあ、今度は俺の自己紹介ですね。俺の名前は畑中真矢、中学3年で出身は奈良で育ちは東京です。それから先ほどから皆さん俺のこと小さいだの、チンマイだのおっしゃってますが俺は至って平均身長のはずです。そこのところよろしくお願いします」

やっと言った。言ってやったぞ。これを言うためにどれだけ時間を費やしたことか。


俺はやっと言えたことに満足感を得て自分の席に着いた。

「中3って受験生か、おいおいこんなとこにいてる場合じゃないな、さっさと帰って勉強しないといけないんじゃないか?」

柏木のおっちゃんがニタァっとにやけながら言ってくる。腹立つ。

「おぅ!受験生、勉学のほうは滞りなくすすんでるか?」

川田のにぃちゃんもニタニタ…。あんたらほんと腹立つな!!

「テスト期間中で文字通り勉学に勤しんでましたよ!」

まぁその前の夏休みは遊びつくしたがな。後悔はない…たぶん。

ガタタッ!!

川田のにぃちゃんと柏木のおっちゃんは座っていた椅子を倒しながら立ち上がり盛大にぶちかましてくれた。

「あらいやだ、テスト期間中ですってっ」

しなを作るなレスキュー隊員。おねぇのレスキューか。どっかに需要がありそうで怖いな!

「ゴクゴク、あ~危うく気を失うところだった。その単語を聞いただけで意識が遠のくな!!」

気付けの一杯か!ってあってるかそれは。泡の出る飲み物は手放せないね!!それより立ち上がったんだから気を失ううんぬんは飲むための言い訳だろうが!もうやだこの人たち…

「それぐらいにしておけ、そろそろ本題に入らないといつまでも終わらないぞ」

岡島さんが悪ふざけする二人を嗜め、話を進める。

「畑中君、一度きりの選択になるが君は君が生きていた世界とは違うこの世界に住むか、元の世界へと戻るか選ぶことが出来る。私個人の意見としては、君はまだ義務教育課程に居る身だ。すぐにでも元の世界へと帰るべきだと思う。」

岡島さんは真剣な表情で俺に向き合い話をする。

「この世界には魔素という力が存在する。」

「魔素?」

「ああ、その力はこの世界では全ての生き物の生命を維持するために必要なものなんだ。その力を使いこの世界の生き物たちは生活を営んでいる。それがここ近年魔素の対流が一所に集中し流れが滞っていた。その影響か自然に生活していた動物たちが最初に影響を受けたようで、動物たちが変異し、魔獣と呼ばれるものが生み出されてしまった。魔獣は魔素を求めて人々が住む村や町を襲い始めた。」

「なんで魔素を求めて村や町に魔獣が襲うんだ?魔素って村や町にあるものなのか?」

「そこは人の英知ってやつだな」

川田のにぃちゃんがまたもやウィンクをかました。

「何処の世界の人間も生活水準を上げるための努力は惜しまないんだよ。」

それにうなずき岡島さんが続ける。

「人はわずかに手に入る魔素を蓄える方法を生み出し、その魔素を利用し村や町の生活を維持するようになった。」

「なるほど、魔獣はその魔素を狙って襲いだしたんだな。」

俺はなるほどとうなずいた。

「でも、なんで魔素が無いからって動物が魔獣になるんだ?だいたい魔素ってなんなんだよ。」

俺の疑問に岡島さんが答えてくれた。

「魔素というのはさっきも行ったとおり、この世界における生命を維持するために必要な力のことだ。こちらの世界の生き物たちは魔素が欠乏すれば死んでしまう。まさしく生命力といったところかな。それに魔素は使い方によっては魔法を使えるようになる。」

「魔法?!魔法使えるの?まじか!すっげぇ使ってみたいな・・・え、でも魔素って要するに生命力であって魔法を使うために必要・・・MPってことか?MPがHPに直結してるって考えたら良いのかな?」

ゲームの世界に入り込んだ感じ・・・でも、この世界は現実でリアルなんだよな、あのジェットコースターはリアル以外の何物でもなかった。うん。

「そして魔獣は魔素が限りなく少なくなった動物たちが生き残るために己の身体の構造を極端に変えた結果だ。しかし、寿命が短い。魔素を取り込めば生きながらえることが出来るんだ。そのために魔獣となった動物たちは魔素を求めて村や町を襲うんだ。」

「生きるために襲ってるってのか・・・」

俺は岡島さんの話を聞いてなんだかやるせなくなってしまった。





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