神隠し?いや、拉致誘拐が妥当だろう!
携帯からの投稿です。読みにくいかもしれないですが、よろしくお願いします。
「もしもーし、聞こえてるかー」
スマホを片手に開いてる手は腰に当て、夜風が心地よい中、満天の星空を見上げ冒頭のセリフを無感情に棒読みで読み上げているのは、泥で汚れ、所々破れた所がある学生服を着た少年だ。
「おーい。聞こえてんだろ?返事ぐらいしろよなー。あんたのお陰で散々な目にあってんだぞー」
そんな彼の周りには灯りのない暗闇の中、沢山の者達が座り込み動けるものは仲間達の傷を癒すため忙しなく動いていた。
『ひっどいなー、これでも結構危険を犯しながら真矢〈しんや〉達の手助けをしてるのよ?』
スマホから可憐な少女の声が聞こえてくる。
真矢と呼ばれた少年の額に青筋が浮かぶ。耳に当てていたスマホを自分の正面に持ち替え一息吸い込むと一気に怒鳴り散らした。
「ふざけんじゃねえ‼︎‼︎元はと言えばあんたがちゃんと“ココ”の連中を監視管理してりゃこんな迷惑被るこたァなかったんだぞ‼︎俺達は‼︎‼︎‼︎」
周りにいたもの達は静かに真矢が言い放った言葉に頷き合っていた。
俺の名前は畑中真矢。ごくごく普通の受験真っ只中の中学三年生だ。受験生の俺達が夏休みの間遊び呆けてなかったかの確認の為か、俺の通う中学では夏休みが明けてすぐ学力テストがある。確かに俺は教師達の期待を裏切らず夏休みの大半を遊びに費やしていた。だって中学最後の夏休みだぞ?遊ばんでどうする。
そんな訳で親からの小言を右から左で聞き流し適当に返事を返しながら俺は趣味の読書やゲーム、そして偶に小学生からの友達達がやっている草野球チーム(皆受験生で部活が終了して暇で作った)で汗を流し楽しく過ごした。偶に身体を動かすのって気持ちいいよな。まぁ、俺自体は程々身体は動かせる方だとは思っているが、周りからはモンキー、野猿などとからかってきたりする。どうやら動きが猿みたいに素早いらしい。褒め言葉だと受け止めたかったがどうも脳みそも猿並みだと言われたからあれは完全にバカにしてたんだろう。許さん。
そんなこんなで事の起こりは二週間ほど前か、テスト期間中でその日のテストは二科目だけだったが、明日のテストの為に殆どのクラスメイト達は既に放課後ということもあり教室には数人しか残っていなかった。
すると教室の空いてる扉からよく見知った顔が覗き込んできた。
「シン、居るかぁ?って居た居た、お前帰りどうする?どっか食いに行く?」
隣のクラスの友人、斉藤京介がヒラヒラとハンバーガー屋のクーポン券をヒラつかせながら行ってくる。それを見て俺は「もう行くとこ決まってるじゃねーか」と笑いながらカバンを手に持ち京介の方へと歩き出そうと足を一歩前に出した。その途端急に身体に浮遊感を感じると自分の身体が宙へと浮かんでいるのが解る。そして自分を中心に光の縁が広がっている。
「シン⁈‼︎」
京介が顔面蒼白になりながらも急な事態にもかかわらず俺に咄嗟に手を伸ばしてくる。
「ーーー京介‼︎‼︎」
俺も京介の方へと腕を伸ばすが光の壁に阻まれ、更に身体は上へと浮き上がり俺は光の渦へと飲み込まれていった。
教室に残されたクラスメイト数人は腰を抜かし、京介は呆然と俺が消えた教室の天井を見上げていた。
目の前で消えた真矢を見た京介は次の瞬間「シンが宇宙人に攫われたーー‼︎」と叫びながら職員室に駆け込んだら可哀想な子を見る目で「今日はもう真っ直ぐ家に帰ってゆっくり休みなさい」と教師達に言われる…と。