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戻ってきた彼女
俺は目が覚めると、機械的に登校前の作業を進めていった。
あれこれ考える余裕は全くない。作業を続けるだけでいっぱいいっぱい。
学校が見えてきた。そして、教室。
さて、どうなっているか…
「あ、あの~…」
背中からするのが、素子の声だというのはすぐにわかった。
「お、おはよう」
俺はぎこちなく笑顔をつくった。
「ちょ、ちょっと」
素子は俺を教室の外に連れ出した。
…誰もいないところまで来て、素子がこっちを振り返った。そして言った。
「私たち、付き合ってないよね?」
校舎の影。僕らは草むらに並んで座った。
「戻ったんだね。元の世界に」
俺たちはほっとして、しばらく無言になった。
素子が口を開いた。
「もう、大変だったんだから。あなたが私の彼だって言うのよ。キスさせろ、とか…」
僕らはまた黙った。
「何だったんだろう?昨日って?」
沈黙…
俺が口を開いた。
「考えても答え出ないから、帰ろう?」
俺は立ち上がった。素子も続いた。そして、恥ずかしそうに手を差し出した。
「…手、つないで帰ろ」
小さな声で素子が言った。そっと僕は彼女の手に手を重ねた。




