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現れたり消えたり
朝、素子はいなかった。
放課後、洋子と街を歩いていた。
…素子、どうなったんだ?
「気になるの?」
洋子が尋ねた。
「そりゃ、まあ」
「素子のこと、気にしてもいいけど、私がいるんだから、いいでしょ?」
笑顔で俺の顔をのぞき込む洋子。
ベンチに座って、空を眺めていた。
「そんなに悲しい?」
「そりゃ、いろんな思い出があったからね」
「そう…」
気がつくと、洋子が小刻みに震えている。
「な、なんか、お、おかしい…」
ベンチから崩れ落ちて、洋子が痙攣をはじめた。
「大丈夫か!洋子!」
洋子の姿が霞み始めた。霞は一度雲のようになった後、また人型になりはじめた。
素子だ!
「おまたせ!」
素子が俺に抱きついた。
「ねえ、キスして!」
言われるままに、俺たちはキスした。




