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素子の世界
次の日。
今日の素子は昨日と同じ、元の素子だった。
「…実はね、私の頭の中で、私の取り合いが起こってるの」
「それ、どういうこと?」
「誰が現実の自分になって、あなたと付き合うか、もめてるの」
…
「ねえ!あなたはどの私がいいの!答えて!」
俺は、少し考え込んで、そして答えた。
「みーんな、好きだよ」
みるみる、素子の顔が歪んだ。素子は頭を抱えながら、叫び声を上げた。
すると、空やあたりが黒い霧に包みこまれはじめた。
「世界が崩壊するっ!」
素子が霞んで見えなくなっていく。
俺は、崩れていく世界を、ただ呆然と眺めていた。




