プロローグ
「グォォォォォ!!」
憤怒の叫びと共に、ドラゴンは口から風の塊を放った!
敵の攻撃を予備動作の時点で見抜いていた私は風の塊をサイドステップでかわす!
視界左上に固定表示されている細い横線を確認する。大丈夫だ。今の攻撃では減っていない。
横線――HPバーの名で呼ばれる緑色のそれは、命の残量を数値化し可視化させたものだ。まだ最大値の九割ほどあるため、ある程度の余裕がある。だがそれと同時に、一割がた死に近づいたということだ。
だがそのHPバーは、ポーションなどの回復アイテムや回復魔法で、回復させることができる。
《魔法》――それはHPバーの下に固定表示されている青色のゲージ――MPゲージを消費して発動させられることができる奇跡の一つだ。基本的に自然回復するが、スキルや魔法発動をさせて、《MPリジェネ》で回復を早めたりもできる。
HP・MPともに限界値を、レベルや装備、スキルや魔法で上げるたりすることができる。
そして『敵』とは?――この世界での敵とは、《マナ》が集まり、形作られできる。と――《神聖なる奇跡の窓》《システム・ウインドウ》の《奇跡の辞書》《システム・ディクショナリー》に載っている。つまり、誰にも分からないのだ。この世界を創造した当人――つまり、私が分からないのなら(、、、、、、、、、、)分かるはずもない(、、、、、、、、)。
敵が再度の攻撃モーションに入るより早く、私は敵との距離を詰める。
それを察したのか、ドラゴン――レベル53モンスター《ウインドドラゴン》は口から風の塊――《ウインドブレス》を放ってくる!
「危なッ!」
間一髪でそるを避け、ドラゴンの懐の飛び込むっ!……が、そうやすやすと攻撃させてくれはしない。
噛み付き攻撃や爪での引っ掻き攻撃を連発してくる!
私は剣で弾いたり避けたりしどうにかやり過ごすが、何回か攻撃がかすってしまいHPが約一割ほど減る。
それでも仲間がヘイトを上げない程度に、〈回復魔法〉(ヒール)をかけてくれるため、HPは常に九割以上だ。
これも、HP管理の上手な『冒険者』(プレイヤー)が〈回復師〉(ヒーラー)がいてくれるからである。
回復は仲間に任せ、攻撃に専念する私は、〈身体能力強化魔法〉《フィジカルエンチェンント》を発動させ、攻撃を放つ!魔法で動きを速くし、何発もの攻撃をあたえる。
さらに、《創造剣技》《ソードアーツ》、二刀流連続技を発動させ、ドラゴンのHPを一気に削りとる。名前通りの嵐のような連続回転切りだ。
「うおぉぉぉ!!」
《ソードアーツ》とは――規定の動作をすると、体が見えない力――奇跡――にうごかされ、攻撃を放つ技である。武器ごとにあり、熟練度を上げて技の数を増やしたりできる。
《ソードアーツ》と《魔法》と併用することで『冒険者』は強いモンスターを倒し、この異世界『ファンタジーワールド』を攻略――元の世界へ帰るための闘い――している。
ほどなくして、ドラゴン――《ウインドドラゴン》は地に伏せた。
獲得した経験値やお金、アイテムが視界に表示される。
スキルをスキルスロットにセットし、闘いで使用できるようにする。
モンスターと戦う。
ふと、私は思った。
《ソードアーツ》って、誰が考えたのだろう?
《ソードアーツ》が半自動なのって、私たちに戦いを覚えさせるためなのかな?
こんな終わりの見えない世界でどうやって生きていこうかな?
リア充爆発しないかな♪
いや……リア充爆発しろ!!!