灰色の世界の中で
以前、私が投稿した『レラシムの再誕』 ( http://ncode.syosetu.com/n7042r/ )と『イシュールの変貌』( http://ncode.syosetu.com/n8243r/ )の続きの物語です。なお、このお話は構想中の物語の一部ですので、設定などは変更する場合があります。
『レラシムは虐殺されたラフィス人を憐れみました。彼女は堕天使となってから、初めて憐れみの心を持たれたのです。だから、彼女はラフィス人を再び蘇らせました、彼女の僕として。――神話の語り手、ノワール』
―灰色の世界の中で―
レラシムが再びこの地に蘇った時、イシュールは負の感情で満ちていた。絶望、憎悪、悲哀、彼女にとって、とても居心地の良い空間だった。
そして、レラシムは目の前に、白銀に輝く一本の剣が転がっていることに気付いた。
「これは……」
すると、レラシムの脳裏に、彼女が再びこの地に蘇る以前の、最後の記憶がフラッシュバックしてきた。
「お前の邪悪な心が、私に対する復讐心から生み出されたというのならば、私は己を犠牲にしてでもお前を止めなければならない」
白銀に輝く剣を携え、怒りに満ちたミシュカの表情。
「私は確かにあなたを憎んでいた……でも、今は変ったわ」
レラシムは多数の邪悪に満ちた呪文を、ミシュカに放つ。
「変わった、だと……」
ミシュカはレラシムの放った呪文を、白銀の剣で次々と打ち破っていく。
「私の使命はこのイスタリアの大地に絶望と混沌をもたらすこと。今のあなたは私にとって、その使命の邪魔をする存在でしかない……終わりにしましょう」
そう言って、レラシムは自分の心に巣食う巨大な闇を体現したような、強大な呪文を放った。その呪文は世界の全ての負のエネルギーを、全て形にしたように、巨大で、禍々しかった。
「レラシム、お前の心は完全に闇に染まってしまったのか……私への復讐心すらも忘れてしまうほどに。ならば、私はお前の心に巣食う闇を打ち破る」
ミシュカはレラシムの放った、強大な暗黒の呪文の中を突き進む。肉体と精神に多大なるダメージを受けながら……
人々が見守る中、白と黒、二つの死闘に終止符が打たれようとしていた。
この時、ミシュカは悟っていた。この戦いに勝利したとしても、自分という存在が壊れてしまうことに……
ついに、その時は来た。
ミシュカはレラシムの放った強大な闇の呪文を突破し、レラシムの胸部に白銀の剣を突き立てた。
ミシュカの剣には、彼の信念が宿っていた。正義、希望、平和、慈悲、愛、彼の心は白銀に輝く剣を通して、レラシムの身体に入っていく。
「ミシュカ……こんな事をしたらあなたも……」
「わかっている……でも、これでいいんだ……」
レラシムの身体の中で、白と黒の心は混じり合う。相反する二つの心は、レラシムの身体と精神の活動を止めていく。
そして、レラシムは薄れゆく意識の中、白銀の剣に貫かれたまま、イシュールの地に堕ちていく。慈悲にあふれるミシュカの表情を見ながら……
ミシュカもまた、薄れゆく意識の中、レラシムがイシュールの地に堕ちていくのを見ていた、白銀の剣が彼女を貫いたまま大地に突き刺さるのを……
「レラシム、次にお前が目覚めるとき、暗闇から解き放たれんことを……」
まもなく、二人の意識は完全に無くなった。
「なぜ、あなたは私の存在を完全に抹消しなかったのでしょう……」
レラシムはミシュカの白銀に輝く剣を見ながら、呟いた。
「今、イシュールの地は凄まじい負の感情に満ちている。それが私の身体からあなたの剣を抜き、私を蘇らせたのでしょうか……」
そして、レラシムはラフィス人がノーザレア人に虐殺されている光景を見た。その時、彼女はラフィス人に対して憐れみの心を持った。それは彼女が堕天使となって、初めての感情だった。
「可哀そうなラフィス人よ……私がこの争いを終わらせ、あなたたちを再び蘇らせてあげましょう。私の僕としてね」
そう言って、彼女は微笑んだが、その表情は狂気に満ちていた……
このような不完全な形で物語を投稿することをたいへん申し訳なく思っています。ある程度構想が固まったら、長編小説として投稿しようと考えています。それでは、ご意見やご感想、等ありましたらよろしくお願いします!




