【読み切り】東方project
わーにんぐ!
この小説は東方の二次創作作品です。
オリジナルキャラやキャラクターのイメージが壊れる場合がございますので、ご了承下さい。
ゆっくりしていってね!
—???
夢を、見ていた。
それは幼い頃の夢。
長らく会っていない、家族同然の三人の夢を…
『行っちゃうの?』
幼馴染の、同い年で妹分の少女が涙を堪えながら目の前の少年に言う。
『ごめんな、でも…絶対にまた会おう。何も一生会えないわけじゃない』
少年も慰める様に少女に語り掛ける。
『(寂しくなるねぇ)』
少女の後ろにいた半透明の少女がしみじみと言う。
『この子は任せな。私達が必ず守る』
さらにもう一人の半透明の女性が少女の頭を撫でる。
『そうだ、約束しよう』
『約束…?』
少年の提案に少女は首を傾げる。
『そう、約束。絶対に会うって』
『…うん!約束だよ!』
『ああ。約束だ』
そして少年と少女は別れ……———
—千葉某所
「懐かしい夢を見たな…」
千葉県のとある古ぼけた武家屋敷。
そこにその青年はいた。
障子からは僅かに朝日が差し込み、小鳥が鳴いていた。
青年は起き上がり、道着袴に着替え、傍に置いておいた木刀を持って庭に出る。
そして青年は、一心不乱に木刀を振るう。
(あいつ等と離れてから、もう七年か。誰かに泣かされてないだろうか?イジメに遭ってないだろうか…って何の心配をしてるんだよ!)
心配する余り、無意識に木刀の振るう速度が『ブォン、ブォン』から『ブンブンブンブンブン(ry』になっていた。
「…はぁ。俺もまだまだだな…。学校に行こうにも既に自宅学習期間。半ニート状態だしな…あいつんとこ、行ってやるか」
何かを決意した青年は道着袴から着替え、普段着で朝食を用意した。
それも何故か二人分を用意している。
そんな時だった。
「うぃーっす。あっそびにきたぜー」
玄関から平均より少し高めの青年の声がした。
その声に呆れる様に朝食を用意した青年は溜息をつく。
「来たな ただ飯喰らい」
玄関から来た青年を見て、家主の青年は毒を吐く。
「酷い言われ様だな。オレはただ遊びに来ただけなんだぜ」
しかし毒を吐かれた青年は何処吹く風で受け流す。
「精々俺の鍛練をぼぉーっと見て、畳の上でゴロゴロして、ただ飯食らって、遊びに来た?お前は俺をバカにしてるのか?」
「大親友に恐れ多いぜ」
家主の青年の呆れた怒りも飄々と受け流す客人の青年。
「はぁー…もう良い。お前は先に食っていろ。漬物取ってくる」
完全に呆れて諦めた家主の青年は溜息をつきながら台所へ向かう。
「柚子白菜の漬物はー?」
「黙って食っていれば出す」
「おkだぜ」
家主の青年…名を『矢切弥都』。
客人の青年の名を『伊吹槙徒』。
弥都は所謂武道青年。
槙徒は所謂オタクである。
この二人が知り合った経緯は後に語るとして、二人は自他共に認めるほどの親友であった。
「あ、そうだぜ。今日はこれを持って来たんだぜ」
朝食を食べ終えた槙徒は持って来た鞄を漁って何かを取り出す。
その様子を弥都は『またか…』という表情で眺める。
「じゃっじゃ~ん!『東方風神録』!」
「また東方とやらか。お前も飽きないな」
嬉しそうに取り出す槙徒を見て弥都は溜息をつきながら言う。
「そりゃあ飽きないぜ。東方は『弾幕』と『女の子』と『BGM』、『ストーリー』が最高だからな!
お前も良くBGMのアレンジ聴くだろ?」
「…まぁ、な。何事にもモチベーションとかは大事だろう」
東方を熱く語る槙徒、それに図星を突かれた弥都は頭を掻いて少々苦しい言い訳をしてしまう。
「おっ!弥都がデレt「黙れ」一発入りましたァ!」
弥都は即座に立って座っている槙徒の首にミドルキックを叩き込む。
因みにこの光景は二人にとって日常茶飯事である。
「…と、言うわけで今回もお前をギャフンと言わせてやるぜ!」
「ギャフン(超的棒読み」
「そう言う事じゃなぁーい!
今回は俺だって『Hard』をクリアしたんだぜ!」
「……」
声高らかに勝利を宣言する槙徒。
しかし…それは無残にも砕け散る。
~~弥都プレイ中~~
「何故だ…何故だァー!」
「む…何かすまん」
「『Normal』なら良いさ…だが!駄菓子菓子!!
何故『Hard』飛んで『Lunatic』がノーミスなんだよ!!お前のスペックおかしいだr「落ち着け」もう一ッぱァつッッッ!!」
騒ぎ立てる槙徒の首に再びミドルキックが入る。
すると一気に鎮静化した槙徒。
「最近やっていなかったからな。普通で慣らしたんだ」
「…そういやお前、STGは異様に得意だよな。武道青年なのかゲーマーなのかハッキリさせろ。常識的に考えて」
槙徒がジト目で弥都を見るが、弥都は気にも止めずに出掛ける準備をする。
「お?何処行くんだ?」
「長野にな。小旅行と言った所だ」
「長野だって!?」
長野と聞いた瞬間、槙徒が突如立ち上がる。
その目は嬉々とした目だった。
その時、弥都は苦い顔をした。
槙徒がこういう目をする時は大抵の面倒ごとが起きる。
そして巻き込まれるのが常だった。
「実はな?『博麗神社』のモデルになった『諏訪大社』ってとこがあんだよ!」
「ブッ!」
聞き覚えのある地名が出て思わず噴いてしまう弥都。
槙徒は不思議そうな顔をして弥都を見やる。
「どーした~?いきなり噴き出して」
「い、いや…何でもない。で?その諏訪大社がどうした?」
「ああそうそう。で、そこに行けば『幻想入り』が出来るんじゃね?って」
「…はぁ。どうせ俺の目的地も諏訪大社近くだ」
「お前も?まさか…」
「お前の考えてる事じゃない。幼馴染に久々に会いに行くだけだ」
「なるほどなるほど…うっし。じゃあ今日の午後1時出発だぜ!オレも準備して来るぜェーーー!」
槙徒は、弥都が何かを言う前に帰って行ってしまったのだった。
そして弥都は、未だに点いているゲーム画面を見やる。
「何でお前等が出ているんだ…?」
弥都の目には三人の女性…
緑の髪と、蛙と蛇の髪飾りが特徴的な巫女服の少女。
『東風谷早苗』
大きく円を描いた注連縄に、威圧感を感じる眼光…紫の髪に赤い服の女性。
『八坂神奈子』
特徴的な帽子に金の髪、紫と白の服の少女。
『洩矢諏訪子』
その姿は——早苗は成長しているが——紛れも無く、幼馴染とそれを見守る存在であった……
end...
ちょこっと設定
・早苗と弥都は幼馴染。
・東方がある<時間軸的に東方風神録が出るが、早苗たち本人は『未だ』>
・元は八坂神社か諏訪大社らしいけど、大まかに諏訪大社に。
・弥都はルナシューター
・槙徒は弱ハードシューター
つづく…?
ゆっくりしていったね!